【Mandarin】中央管理者がいない仮想通貨取引所が誕生?

中国政府が国内のICO禁止を発表

2017年9月に入って、1ビットコインの価格が5,000米ドルを史上初めて突破し、イーサリアムなどの他の仮想通貨も上昇を続けていた。

しかしながら、2017年9月4日、中国政府が国内のICO(仮想通貨による資金調達)を禁止する発表を行い、多くの仮想通貨価格が急落してしまった。
私は一応(?)仮想通貨評論家であるため、今回の中国政府の発表に関していくつか問い合わせを受け、関連する記事の執筆を行った。
いろいろな意味で話題を欠かないのが仮想通貨であり、そのおかげで私はこうして仮想通貨評論家として仕事ができているわけだが、実際に仮想通貨に投資を行う場合は、法定通貨とは違うということをきちんと認識しておくことが大切になってくる。
日本でビットコインなどの仮想通貨売買を行う場合は、取引所経由で買ったり売ったりすることが一般的である。
2017年9月時点で10以上の仮想通貨取引所が日本には存在しており、2016年に成立した改正資金決済法によって(施行は2017年)、仮想通貨取引所は、所在地がある財務局で登録を行うことが義務付けられた。
日本は世界で最初に国レベルの仮想通貨規制を始めており、システムに不備があったり、内部管理体制が問題を抱えている仮想通貨取引所に対しては、所管の財務局が業務改善命令を出したり、登録を取り消すなどの行政指導を行う仕組みが整備された。
「仮想通貨の取引について規制をかけるべきではない」という意見があるかもしれないが、日本政府の姿勢に対して評価する声もある。
日本の改正資金決済法成立をきっかけとして、シンガポールに本拠地を構えていた仮想通貨取引所が、東京に拠点を移したケースもあるくらいである。
日本の場合、2014年に当時国内最大のビットコイン取引所だったマウントゴックスが経営破たんし、幹部が顧客資産を横領していた事実が明らかになったことから社会問題化し、政府が仮想通貨取引所の規制に乗り出したという歴史的背景がある。
2017年8月のビットコイン、ビットコイン・キャッシュの分裂騒動時も、日本の仮想通貨取引所ではトラブルがほとんどなく、非常にスムーズに手続きが行われた。
2017年9月以降、財務局で登録を行った仮想通貨取引所が出てくる予定になっているが、当局からのモニタリングを受けている取引所で仮想通貨の売買を行うことで、トラブルに巻き込まれる可能性は低くなるだろう。
法整備が整いつつある日本とは違い、世界ではCryptosy(2014年)、Bitfinex(2016年)、BTC-e(2017年)などの仮想通貨取引所が、外部からハッキングやサイバー攻撃を受け、数十億円単位のビットコインが盗まれるなどのトラブルが発生している。
これらの取引所での事件を引き合いに出しながら、「現状の仮想通貨取引は多くの問題を抱えており、利用者のためになっていない」と立ち上がったブロックチェーン企業がロシアにある。
その名は、「Mandarin Exchange」である。

トークン保有者が全員で管理する仮想通貨取引所?

日本にある仮想通貨取引所の場合、多くは株式会社であり、最高経営責任者や社長の指揮の下で組織運営が行われているケースがほとんどである。
改正資金決済法によって、仮想通貨取引所は財務局からモニタリングを受ける予定になっており、システムや内部管理体制をきちんと構築するために、会社組織で運営せざるを得なくなっているのだ。
今回紹介するMandarin Exchangeは、中央管理者のいない仮想通貨取引所である。
Mandarin Exchangeは、自らを「分散型管理(distributedmanagement)」を行う仮想通貨取引所であるとしており、ブロックチェーン技術によって、特定の経営者や幹部による管理が不要になっていると述べている。
Mandarin Exchangeは、2017年8月29日から9月29日までの1カ月間でICOを実施し、資金調達を完了する予定になっている。
ここで発行されるのが、Mandarin Exchangeの仮想通貨であるMandarinトークンである。
このMandarinトークンを保有するすべての人が、Mandarin Exchangeの運営に関与し、直接民主主義的な手法によって仮想通貨取引所の経営を行うとしている。

意思決定の度にトークン保有者が投票する?

私は長年、金融機関の企画部に所属していたため、取締役会の議事録作成や経営会議の運営事務局の仕事をしていたことがある。
株式会社の場合、取締役会が最高の意思決定機関であるが、上場企業など一定規模以上の会社になると、業務執行の判断は経営会議で行う傾向にある。
経営会議の頻度は1週間に一度開催するところが多いが、私が所属していた金融機関の経営会議では議題が多かったこともあり、いつも時間がオーバーするほど議論が白熱していた。
組織の重要な判断を行う会議体であり、機関決定をする場でもあるから、侃々諤々(かんかんがくがく)の話し合いになるのも無理はない。
Mandarin Exchangeは中央管理者がいないため、取締役会や経営委員会が機関決定するのではなく、Mandarinトークンの保有者が投票を行うことで、経営判断を下してく仕組みになっている。
Mandarin Exchangeのホワイトペーパー(ICO時にブロックチェーン企業がウェブサイトに掲載する説明資料)によると、「取引所に新しい仮想通貨を導入するかどうか」などの判断においては、Mandarinトークン保有者全員による投票を実施し、「賛成が多ければ導入、反対が多ければ見送り」というシンプルな仕組みを採用するようだ。
「そんな無茶な」と思う人がいるかもしれないが、株式会社の場合でも株主の意向を背景にして取締役会が行われている。
株主の言い分を無視する取締役がいれば、遅かれ早かれ株主総会で解任されることになり、取締役会は、大勢の株主の意見を代弁して議論を交わす場とも言える。
Mandarin Exchangeが発行する仮想通貨であるMandarinトークンの保有者は、株式会社における株主と同じ立ち位置にいるわけである。
そのため、ブロックチェーン技術で直接投票を行って、仮想通貨取引所であるMandarin Exchangeの運営に関する重要な判断について、トークン保有者が関与するというのは、ある意味合理的かもしれない。
少なくとも、私が以前いた金融機関の取締役会よりは合理的なように思える。

キャッシュカードを発行する取引所?

いろいろな意味で興味深いMandarin Exchangeだが、2018年夏に米ドルを基本としたキャッシュカードを発行する予定になっている。
口座に米ドルが不足している場合は、Mandarin Exchangeに保有しているビットコインやイーサリアムなどが法定通貨に転換され、世界中のATMで現地のキャッシュが引き出し可能になるそうだ。
また、米ドルだけではなく、ユーロ、中国元、ロシア・ルーブルの預金業務も行う予定になっている。
Mandarin Exchangeは仮想通貨取引所でありながら、預金業務も開始しようとしているため、金融当局との話し合いが必要な気がするのだが、ウェブサイトやホワイトペーパーにはその点に関する記載がなかった。
Mandarin Exchangeの社名にある「Mandarin」は、「標準中国語」という意味と「役人」という意味がある。
役人(金融当局)との関係について、もう少し説明が欲しいと思いながら、Mandarin Exchangeのウェブサイトとホワイトペーパーを読み終えた。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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