ビットコインはクレジットカードになれるのか?

ビットコインは決済時間が長すぎ?

2017年になって、日本の家電量販店が仮想通貨取引所と提携し、ビットコインによる決済を開始している。ただ、1会計についての上限が10万円相当額のビットコインになっており、大きな買い物には利用できないというデメリットがある。

また、電気料金の支払いにビットコインが利用できるなど、さまざまな決済に仮想通貨が登場し始めている。現時点では、ビットコインなどによる決済は少額のものに限られており、大きな取引になると銀行振り込みやクレジットカード決済が利用されている。

2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱されたビットコインは、既存の送金にかかる高い手数料や決済までの長い時間に対する代替案だったと考えられている。

現在の銀行システムを利用して1万円を日本からアメリカに送金をしようとすると、外国為替手数料や海外送金手数料、着金手数料(リフティング・チャージ)などで、半分以上がなくなると言われている。

また、日本にある銀行から送金処理を行い、アメリカの銀行で着金を確認するまでに数日かかるケースがある。元銀行員の立場からすると、マネーロンダリングや事故を防ぐために金融機関がいろいろな処理を行っていることは理解できるが、それでも決済時間が長すぎる印象がある。

ビットコインなどの仮想通貨を日本からアメリカに送金しようとする場合、銀行システムよりも安い手数料、短い決済時間で処理することが可能になっている。ただ、ビットコインについては、世界中で取引が急増していることもあって、運営が開始された2009年から比べると、現在は送金手数料が上昇し始めており、処理時間が長くなっている。

この記事を執筆している2017年9月時点で、ビットコインの決済時間は10分以上になっている。日本からアメリカに送金するような場合であれば、10分程度の時間は問題にならないだろう。

ただ、店舗での買い物などで10分以上決済時間がかかってしまうと、大きな問題になる。また、2017年9月の1カ月間でも、中国政府のICO(仮想通貨による資金調達)禁止措置やアメリカ大手金融機関トップによる「ビットコインは詐欺」発言などがあり、数分の間で仮想通貨の価格が乱高下している。

仮に、私が家電量販店で5万円相当のマッサージ・チェアをビットコインで買う際、決済時間が10分以上かかってしまうと、その間にビットコイン価格が暴落してしまうリスクがある。

10分の間でビットコイン価格が半値になると、理屈の上では5万円ではなく、10万円相当分のビットコイン支払いが必要になる可能性があるわけだ。

日本の場合、ビットコインでショッピング可能なお店では、提携している仮想通貨取引所がビットコインの値動きや決済時間の問題を肩代わりすることになっている。そのため、私は5万円相当額のビットコインを支払うだけで、マッサージ・チェアを購入できる。

ビットコインの決済時間が長くなっていることは、いろいろなメディアで取り上げられているが、実際のショッピングで値動きや決済時間のことを気にする必要がないように工夫されているわけだ。

仮想通貨による店舗側にメリットはあるのか?

2017年に改正資金決済法が施行されたことによって、店舗側が安心して仮想通貨決済を導入できるようになり、ビットコインなどを使ってショッピングできる場所が増え始めている。

最近は、インターネット・ショッピングサイトでもビットコイン決済が可能になっているところがある。クレジットカード決済、銀行振り込みなどに加えて、ビットコイン支払いの選択肢があり、顧客は買い物額に相当するビットコインを支払うだけで決済が完了する。

店舗側からすると、ビットコインを管理する必要はなく、買い物客から受け取ったビットコインは仮想通貨取引所が一旦受け取る形になる。その後、ビットコインは即座に日本円に転換され、為替変動分も含めて仮想通貨取引所が吸収してくれるようになっている。

また、ビットコインによる決済手数料は1パーセント以下になっており、店側に10,000円の売り上げがあれば、9,900円の入金は保証されるようになっている。

過去の記事を読まれている方はご存知かもしれないが、私は以前クレジットカード会社で働いていたことがある。クレジットカード・ビジネスはなかなか魅力的であり、大きな収益を計上していた。

クレジットカード会社が儲かる理由の一つとして、高めに設定されている手数料がある。クレジット決済可能な店舗で買い物を行うと、その店舗は2パーセントから6パーセント程度の手数料をクレジットカード会社に支払うことになる。

5パーセントの手数料を支払う場合、店舗で10,000円の売り上げがあっても、500円がクレジットカード会社に取られることになり、実際の入金は9,500円になってしまう。

私もそうであるが、中小零細企業や個人事業主などの場合、5パーセントの手数料は重い負担であり、1パーセントの手数料で済むのであれば、店舗側がビットコインなどの仮想通貨決済を利用するインセンティブは結構あると言えるだろう。

店舗側がクレジットカード決済を導入する際、クレジットカード会社での審査手続きが必要になるが、ビットコイン決済の場合、この審査は不要になっている。クレジットカード会社の審査では、1カ月以上時間が必要な場合がある。仮想通貨取引所経由でビットコイン決済を行う場合、最短10分で導入が可能になっており、審査不要のスピード感は大きなメリットと言えるだろう。

また、クレジットカードの場合、店舗側が入金を確認できるのは決済後1カ月以上先になってしまうことがある。ビットコイン決済の場合、最短3営業日以内に仮想通貨取引所から振り込みをしてもらうことが可能になっている。

ビットコインが普及するかは2020年までが勝負?

ここまでビットコインによる決済の詳細を説明してきたが、今後もビットコインで買い物できる場所は増加が見込まれている。その背景には、2020年に開催される予定の東京オリンピック・パラリンピックがある。

2017年は来日外国人観光客が2,000万人以上になることが確実視されており、日本政府は将来的に、この数を4,000万人以上に増やすことを目標にしている。アメリカやヨーロッパでは仮想通貨でドリンクを購入できる自動販売機が登場しており、仮想通貨専用ATMも増加している。

日本にやってくる外国人観光客はビットコイン決済を求めるケースがあり、大手家電量販店がビットコインを利用可能にした背景には、急増する外国人観光客があると言われている。

日本の場合、主要国の中でクレジットカードを使えない店舗が多いとされており、外国人観光客が来日時に感じる不満の一つになっている。現金しか使えない店舗がクレジットカード決済を導入する際、ビットコイン決済も同時に可能にしてしまうのが効率的だと感じる。

私自身、仮想通貨評論家としてビットコインなどの仮想通貨決済が日本で拡大して欲しいと感じている。クレジットカード会社で勤務経験があり、仮想通貨の専門家としてビットコインなどの決済に関する記事をこれからも執筆する予定であり、コンサルティング的な業務を始めることも検討している。

少しずつビットコイン決済が日本で広がりつつあるが、東京オリンピック・パラリンピックがある2020年までが仮想通貨業界にとって勝負と言えるだろう。ビットコインなどの仮想通貨がクレジットカードのように利用されるべく、微力ながら私も貢献していきたいと考えている。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。