ブロックチェーンで紙ベースの契約書とサヨナラ?

ブロックチェーンで紙ベースの契約書とサヨナラ?

私は普段の買い物で必ず領収書をもらうことにしているのだが、日本の場合、スーパーなどで100円程度の買い物をした時でも押印した領収書を発行する文化がある。

レシートの時は押印を行わないため、ハンコがない領収書でも問題はないはずなのだが、商慣習上それが続けられているようだ(非効率!)。
領収書でも押印するくらいであるから、紙の契約書の場合はハンコが必須になる。
そんな中、ブロックチェーン技術で紙ベースでの契約手続きを不要にし、個人間の取引を飛躍的に効率化させるためのサービスが登場した。
その名は、「Agrello(アグレロ)」である。

紙ベースの契約書がいかに非効率であるか君は知っているか?

私は金融機関の企画部で働いていたことがあるが、合併などがあると膨大な数の契約書が発生し、法務部や担当の弁護士、合併先とのやり取りなどで、とんでもない事務作業が出てくる。
紙ベースで契約書を作成し、代表取締役の押印が一度入ってしまうと、軽微な修正でも再び関係者との打ち合わせや会議を設定して、非常に非効率な業務が行われる。
国境を超える合併になると、時差がある中で関係者間のやり取りが行われるため、紙の契約書のせいで体調を崩すスタッフが出てきたりして、本当に大変だった。
しかも、紙ベースの契約書だと保管する場所が必要になる。
これが結構厄介で、契約書をバインダーに入れて(分厚い契約書だと、パンチで穴をあけるのがまた面倒だったりする)、キャビネットを確保しなければならない。
金融機関の場合、規制産業ということもあって、大手であってもいまだに紙ベースの書類にこだわっているところが多く、どんなにソフト化を主張しても受け入れられないケースが多い(私が金融機関を辞めた理由の一つだ)。

すべてオンラインで処理可能な契約システム

紙ベースの契約書手続きにお悩みのビジネスパーソンにとって、Agrelloは救世主的な存在と言えるだろう(上司や組織を説得するのは、また別問題だが…)。
Agrelloはオンライン上のテンプレートに内容を入力するだけで、必要な事項が自動的に埋められていく仕組みになっている。
大企業で働いている人にとっては導入が難しそうに見えるかもしれないが、個人事業主や中小企業の経営者にとって、Agrelloは画期的なイノベーションである。
紙ベースの契約書の場合、弁護士などの専門家を経由して手続きされることが多い。
しかしながら、Agrelloの登場によって、専門家を介さなくてもスマートコントラクトの仕組みで個人間契約が可能になり、オンラインで処理が可能になるため、コストはもちろんだが、何よりもムダな時間を浪費する必要がなくなるのだ。

Agrelloの利用料支払い方法がネック?

紙の契約書が多すぎて仕事を辞めたいと思っている人にとって朗報のように見えるAgrelloだが、一つ大きなネックがある。
Agrelloの利用料を、Agrelloが発行する仮想通貨で支払わなければならない点である。
シリコンバレーにあるハイテク企業なら分からないが、日本にある会社で「Agrelloの仮想通貨を購入し、オンライン契約書を利用したい」旨の稟議書を上げたとしても、承認してくれる上司や企業の数はそれほど多くないだろう。
自分でビジネスを行っている人であれば、Agrello発行の仮想通貨を買って、スマートコントラクトを試してみることができる。
また、Agrelloでよりよりテンプレートを作成すれば、その人に報酬としてAgrelloの仮想通貨が支払われる仕組みになっている。
つまり使う人が増えれば増えるほど、Agrelloのテンプレートは進化していき、良いものを作る人に仮想通貨というニンジンが出る形になっているのだ。

ブロックチェーン技術の先祖返り?

2008年にサトシ・ナカモトという謎の人物によってビットコインに関する論文が発表された時、ブロックチェーン技術を用いて、個人間取引(英語では「Peer-to- Peer(P2P)」と言う)を効率化することがテーマだった。
仮想通貨は中央管理者がいないため、地球の裏側に住んでいる人への送金処理であっても、瞬時に安いコストで手続きできることが売り文句だった(最近は取引量が急増して、コストが上がり、時間もかかっているが…)。
個人間の効率的な決済システムを構築することがブロックチェーン技術のはじまりだったわけだが、Agrelloは個人間の契約をブロックチェーンで効率的に行おうとしている。
Agrelloは、10年前に提唱されたブロックチェーン技術の先祖返りと言うことができるかもしれない。

自由契約を原則とする資本主義社会において、契約書は非常に重要であり、人類の発展に大きく寄与したと考えられる。
今後、Agrelloでオンライン上の契約が拡大していけば、不動産の賃貸契約やシェアリングエコノミーなどの取引が効率化されることが予想され、コストと時間をムダにすることなく多くの人の生活を効率化させてくれる可能性を秘めている。

コインマン
日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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