「銀行の最終形」とも言えるサービスを提供するブロックチェーン・プラットフ ォーム企業が登場?

「銀行の最終形」とも言えるサービスを提供するブロックチェーン・プラットフ ォーム企業が登場?

私は文章を書くことが仕事であるため、色々な経済系雑誌に目を通すことが多く、「大学生就職人気企業ランキング」などの特集に遭遇することが時々ある。

その中で、銀行や証券会社、保険会社などの大手金融機関が毎年上位に位置しており、それを見るたびに私は心の中で、「止めておいた方がいいのに」とつぶやいてしまう。
金融機関は物理的なモノを作っているわけではなく、考え方を売り物にしているため、新しい商品やサービスを作る場合、稟議書というものを作成しなければならない。
この稟議書というものが非常に面倒な書類であり、大きなプロジェクトになると十人以上の承認が必要になるケースもある。
中小企業やベンチャー企業などへの融資を行う場合であっても稟議書の作成は必須で、上司、ローン担当部署、本部の偉い方々を説得し、承認を得なければならない。
稟議書の承認は、早くても数週間、遅い場合は数カ月以上時間がかかることもあり、顧客からは「早く融資してくれ」というプレッシャーを受けながら、社内の根回しを続けるという不毛な消耗戦を続けなければならない。
金融機関の融資姿勢は、「晴れた日に傘を貸して、雨の日には取り上げる」と揶揄されることがある。
企業が困っている時にはお金を貸さず、事業が順調な時だけ融資するという意味だ。
銀行などは、流動性の供給を通じて経済活動の潤滑油にならなければならないはずが、前例主義と性悪説に基づく組織運営により、社会からの評価は決して良好なものではない。
そんな金融機関が抱える問題を払拭すべく、ブロックチェーン技術によって中小企業や零細ビジネスに資金提供を行うための企業が登場した。
その名は、「Genevieve Company」である。

「本当の人々と本当の経済」のための金融技術?

Genevieve Companyは「Gx Coin」という仮想通貨を通じて、中小企業や零細ビジネスに資金を迅速に供給するため、適切な監査やスコアリングによる審査を行うとしている。
Genevieve Companyは、Gx Coin専用のウェブサイトを立ちあげており、中小企業や零細ビジネスに対して、資金供給を行う際のプロセスや仕組みに関する説明動画を掲載している。
世界を見渡すと、銀行口座を持っていない人が多数おり、中小零細企業が金融機関などに融資を依頼しても、82パーセントが断られる現状について、GenevieveCompanyは疑問を投げかけている。
Genevieve Companyは、Gx Coinの説明動画の終盤で、「本当の人々と本当の経済のために金融技術を最大化する(Optimizing finance technology for real people and real economies)」と宣言している。
元銀行員の私からすると、「既存の金融機関は本当に融資を必要としている人々に流動性を供給せず、それによってビジネスチャンスを喪失させ、経済社会の発展を阻害している」と、Genevieve Companyが暗に銀行などを批判しているように聞こえる(まあ、実際その通りなのだが)。

Gx Coinは銀行の最終形?

既存の金融システムでは、預金者はお金を預けるだけで、銀行などがどの企業に融資するかの判断に預金者は関与することができない。
銀行が乱脈融資を行い、不良債権が増大して経営が危なくなると、預金者は取り付けという行動で反乱を起こすことはできるが、銀行の融資先に口出しすることは仕組み上できなくなっているのだ。
一方、Genevieve Companyが提供しているGx Coinの所有者は、どの企業に対して融資を行うかについて投票する権利が与えられることになっている。
また、融資先の企業から得られる配当を原資として、Gx Coinの保有者にリターンが還元される仕組みになる予定である。
出資者が融資先の選定に参加することができるGx Coinの仕組みは、銀行の最終形と言うことができる。
現在の銀行は、高学歴であることだけが自慢のエリート達(自称)がネクタイとスーツという現代の鎧(よろい)に身を包み、オンライン全盛の時代に紙のやり取りを延々と行いながら融資可否の判断を行っている。
そこに預金者の意志は入ることがなく、往々にして融資希望者が担保として価値がある不動産を保有しているかどうかが判断基準になっている。
Gx Coinであれば、保有比率に応じて融資に対する影響力を行使することができ、融資先企業のその後の経営が好ましいものであれば、配当という形でリターンを受けることも可能になる。
Gx Coinの保有者たちは融資候補企業を必死で研究し、どこに流動性を供給すればリターンが向上させられるかを考えつくすことになる。
銀行員が融資のための稟議書を作成する場合、Gx Coin保有者のように融資候補企業を真剣に調べ尽くすかと言うと、非常に疑わしい。
なぜならば、銀行の融資が焦げ付いたとしても、銀行員が損失を受けることはないからだ。
人事上のマイナスになるかもしれないが、稟議書を作成した銀行員が身銭を切って不良債権化したローン債権を買い取ることはないし、仕組み上、買い取る自体ができなくなっている。

Gx Coin保有者に適用される投票ルールとは?

Gx Coin保有者には、融資候補先にローンを提供するかどうか投票する権限が与えられる予定である。
そこには、投票ルールというものが存在している。
1つ目は、Genevieve Companyが提示する融資候補先に対して、3分の2以上のGxCoin保有者の賛成が得られないとローンを行わないというルールである。
仮に、10人のGx Coin保有者がいるとして、10人全員が同じ額のGx Coinを持っている場合を考えてみる。
このケースであれば、Genevieve Companyが融資を検討している候補先企業について、10人中7人が賛成すれば(3人が反対)、ローンが実施されることになる。
逆に、10人中4人が反対すると(6人が賛成)、3分の2以上の賛成が得られないことになり、ローンは実行されない仕組みになっている。
2つ目のルールは、Gx Coin保有者がスマートコントラクト上で、72時間以内に意思表示をするというものだ。
Genevieve Companyから融資候補先が提示された際、Gx Coin保有者は72時間以内にローンに対して賛成か反対かの意思表示をしなければならないことになっている。
銀行における審査プロセスが、Gx Coinであれば3日(72時間)で決まることになり、融資希望企業にとっても、このスピードはありがたいものになるだろう。
しかも、銀行であれば特定の数人で審査が行われるが、Gx Coinの場合、多数のGx Coin保有者が意思表示を行い、その中でローン可否が判断されることになる。

Genevieve Companyは、2017年8月25日からGx CoinのICO(仮想通貨による資金調達)を実施する予定である。
Gx Coin保有者は自らが融資先への影響力を持ち、融資先の経営状況によってリターンが変動する「銀行の最終形」とも言える革新的な金融の仕組みが提供される予定である。
既存の金融システムに疑問を持っている人にとっては、非常に魅力的でエキサイティングなサービスに映るだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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