「腐敗した音楽業界」を変革するブロックチェーン・ベースの「壊し屋」が登場?

「腐敗した音楽業界」を変革するブロックチェーン・ベースの「壊し屋」が登場?

「音楽業界は腐敗している(The music industory is broken)」と自らのウェブサイト上でぶちまけているブロックチェーン・ベースの企業が登場した。

これから参入しようとしている業界について、「腐敗している」と批判するのはなかなか勇気がいることであり、下手をしたら業界全体でつぶしにかかられるリスクのある勇気ある行為である。
私が以前、所属していた金融業界で同じことをしたら、あらゆる嫌がらせに合う可能性が高い。
自主規制団体などの業界組織への加入をしぶられたり、ありとあらゆる手法でビジネスを邪魔されたり、情報を遮断されるなどのリスクがある。
そんな危険性を覚悟した上でのことかどうかは不明だが、「腐敗した音楽業界」の世直し(?)をしようと立ち上がったのは、ポーランドと中国をベースにするブロックチェーン企業である「Opus foundation」だ。
「Opus foundation」の「Opus」は音楽作品のことOpus foundationは、2017年7月からICO(仮想通貨による資金調達)を開始しており、2017年8月中に資金調達を完了する予定である。
ICOを行う企業の場合、ウェブサイト上の表記は基本的に英語になっている。
最近は、英語に加えて、中国語表記のウェブサイトを提供しているブロックチェーン企業が増えている。
この事実は、仮想通貨を購入する中国人や中国系の人たちが多いことを物語っており、ブロックチェーン企業に出資する中国人や中国系企業が多くなっていることも背景にあるようだ。
今回紹介するOpus foundationも、英語と中国語でウェブサイトが表記されている。
Opus foundationの場合、ベースがポーランドと中国にあり、最高経営責任者(CEO)や最高技術責任者(CTO)などの経営陣に中国系の人がいることも中国語表記になっていることの要因だろう。
また、韓国語表記のウェブサイトを提供しているブロックチェーン企業に遭遇することも時々あるが、残念ながら、日本語対応しているブロックチェーン企業は非常に限られているのが現状だ。
今回紹介する「Opus foundation」の「Opus」という英単語を見たのは久しぶりだった。
私にとってOpusとは、カリフォルニアで製造されている高級ワイン「Opus One(オーパス・ワン)」の印象が強いが、「Opus foundation」のOpusとは、「音楽作品」という意味のようだ。
私の記事を読むと、仮想通貨の研究になるだけではなく、英語の勉強にもなるのである(自画自賛)

Opus foundationは搾取されているミュージシャンやアーティストを救うためのプロジェクト?

Opus foundationのウェブサイトに入ると、最初のページの上段部分に「Theproblem(問題)」という大きな見出しがあり、そこで現在の音楽業界に関する不平不満が「これでもか!」というように述べられている。
冒頭で「音楽業界は腐敗している」と宣言しており、アップル・ミュージックなどの既存プラットフォームが、最大80パーセントのアーティストの収益を搾取していると暴露している。
Opus foundationによると、有名なアーティストは80パーセントの収益をしぼり取られても生活していけるが、無名のアーティストやこれから名を上げようとしているミュージシャンにとって、既存の音楽業界の仕組みでは生計を立てられないようになっていると説明している。
また、利用者である音楽ファンも「とんでもない経験(terrible experience)」をさせられているとまくし立てており、Opus foundationの音楽業界に対する怒りはとどまることを知らない。
現在、音楽ファンは、複数の異なるプラットフォームの中から、自分の好みのミュージシャンやアーティストを探す仕組みになっている。
音楽ファンは、ただ好きな音楽を聴きたいだけであるにもかかわらず、多大な労力を割かされていると、Opus foundationは手厳しく既存の音楽業界における仕組みを非難している。

プレイリスト・メーカーも搾取されている?

Opus foundationのウェブサイト上で、「働き者のプレイリスト・メーカーたちも、現在の仕組みでは報われないようになっている」と表現されている。
「プレイリスト・メーカー」という言葉はあまり聞きなれないが、再生音楽をリスト化することを仕事にしている人たちのようだ。
私が金融業界で働いていた時、ミュージシャンやアーティストなどに会ったことはあるが、プレイリスト・メーカーと呼ばれる人たちには遭遇したことがない。
私が所属していたのは、プライベート・バンクと呼ばれる富裕層向け部門であり、成功したミュージシャンやアーティストを担当することがあった。
大富豪になったミュージシャンやアーティストなどのニュースは時々耳にするが、音楽のプレイリスト・メーカーで大成功した人というのは聞いたことがない。
華々しい成功者の陰で、プレイリスト・メーカーたちが搾取されていることをOpus foundationは訴えたいのだろう。
Opus foundationによると、「オンラインで音楽が聴けるようになったのは、プレイリスト・メーカーの貢献が大きい」のだそうだ。
ミュージシャンやアーティストだけではなく、裏方であるプレイリスト・メーカーもきちんと報われるための仕組みを、Opus foundationはブロックチェーン技術を活用して構築しようとしている。
既にオペレーションを開始済みのOpus foundationICOを行っていたり、これからICOをしようとしているブロックチェーン会社の場合、実際のオペレーションを開始するのは1年先、2年先の予定になっているケースがある。
参入する業界などによって、業務開始時期がずれるのは当然のことだが、実際に仮想通貨に投資する側からすると、オペレーションの始まる時期があまりに遠い先だと不安になってしまうことがある。
その点、Opus foundationは既に業務を開始しており、ウェブサイトからデモ画面を試すことが可能になっている。
デモ画面を見る限りにおいては、実際に音楽を聴いた人のコメントを確認することができ、購入後、自分でもコメントを入れられるようになっている。

デモ画面でオペレーションを体験できるOpus foundationは、投資家の立場からすると安心材料が多いブロックチェーン企業と言える。
私は金融機関で働いていた時、ベンチャーキャピタリストやエンジェルと呼ばれる投資家たちと話をする機会があったが、彼ら、彼女らがIT系企業に出資する際、最重視していたのは、「インターフェイスの質」だった。
インターフェイスとは、実際に利用者が接する画面のことで、その質が高ければ高いほど、購入者が増えることになる。
Opus foundationは、ミュージシャンやプレイリスト・メーカーたちが報われる仕組みを構築するため、デモ画面で潜在顧客の意見を集めている段階である。
「腐敗した音楽業界」を打破するための「壊し屋」として、Opus foundationが目にしている現時点の視界は良好のようだ。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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