ICOのブロックチェーンでクラウドがみんなのものになる?

ICOのブロックチェーンでクラウドがみんなのものになる?

私は以前、金融機関に勤めていたのだが、退職した一つの理由が旧態依然とした「ペーパー文化」だった。

規制産業である金融機関の場合、何でもかんでも紙で資料を作り、提出しようとする傾向がある。
従業員向けの福利厚生費用などはどんどん削られていったが、莫大なコストがかかっているペーパー文化は一向に変わる気配がなく、むしろどんどん強まっていったような気がする。
あまり意識されていないかもしれないが、紙で資料を作ることは想像以上にコストがかかっており、コピー機の電気代、トナー代、紙代、メンテナンス代、そして従業員の労力(これが一番のコスト!)など、ペーパー文化の破壊によって革新的な企業が生まれそうなものだが、いまだに「紙で出せ!」と唱える頭の固い人たちが多いため、今後も紙の需要はなくなりそうもない。
そんな中、アイルランドのダブリンで「みんなのためのクラウドを創出する」と言う企業が現れた。
ブロックチェーン技術によって、特定の企業がクラウドを支配するのではなく、利用者のためのプラットフォームを構築し、使いやすさの追求を目指しているのが、今回紹介する「Cloudwith.me」である。

中央管理されたクラウドは古い?

皆さんが読んでいるこの記事はパソコンで作成されており、執筆作業に紙は一切利用されていない。
本当はスマートフォンで作成したいのだが、現時点ではパソコンでタイピングする方がスピードが速いため、このスタイルになっている。
最近は、エクセルやパワーポイントなどのツールもクラウド上で提供されており、従来のようにマイクロソフトからソフトを購入する必要性が低くなっている。
昔と比べて便利になってきてはいるが、Cloudwith.meによると、これらの仕組みは合理的ではなく、一部のインターネット企業がクラウドを中央で管理していることによる弊害が多いと主張している。

既存のクラウドと何が違うのか?

私は一人のユーザーとして感じるのだが、確かに既存のクラウドは使い勝手が悪いところがある。
例えば、取引先からパワーポイントのファイルを送ってほしいという依頼があると、Windowsのパワーポイントソフトがパソコンにインストールされていないと仕事ができないケースがあるのだ。
グーグルドライブの中に、パワーポイントと似たような機能を持つプレゼンテーション作成機能があるが、取引先がグーグルを使っていない場合、やり取りがしにくいというネックがある。
Cloudwith.meが指摘する「特定の企業がクラウドを独占していることの弊害」とは、まさにこのことを指しているのだろう。

「ネットワーク外部性」という課題

経済学やビジネスの世界で、「ネットワーク外部性」という言葉が出てくる。
かっこいい単語だが、分かりやすく言うと、「使っている人が多ければ多いほど、新しいユーザーが増え、もっと有利になる」ということだ。
グーグルの力が圧倒的なのは、ネットワーク外部性があるからである。
Cloudwith.meは、クラウドの世界で使いにくさをなくし、利用者本位のサービスを提供するとしている。
しかしながら、「利用者が増えないと、新しい参加者が来ない」というネットワーク外部性の課題をどう克服するかというチャレンジがあり、相当なイノベーションを起こさない限り、グーグルなどの牙城を崩すのは難しいだろう。

クレジットカードや銀行送金でもコインが買える?

Cloudwith.meは2017年8月にICO(仮想通貨による資金調達)を予定しており、ビットコイン、イーサリアム、クレジットカード、銀行からの送金などで投資することが可能である。
既存のクラウドシステムに対してチャレンジしようとしているCloudwith.meだが、ICOでクレジットカードや銀行送金が使えるというイノベーションを発表している。
Cloudwith.meのウェブサイトで述べているように、クレジットカードや銀行送金でICOに参加できるのは、仮想通貨界で初めてのことらしく、これはこれで画期的である。
ICOに参加する場合、主要仮想通貨であるビットコインやイーサリアム、リップルなどを購入することが前提になっているケースが多い。
しかしながら、クレジットカードと銀行送金でCloudwith.meのICOに参加できることから、世界中の多くの投資家が参加しやすい仕組みになっている。
クレジットカード決済であれば、日本円を米ドルやユーロに交換する手間が省けるため、日本の投資家にとってもメリットは大きい。
クロージング文:ヨーロッパなどではグーグルの独占に対して制限を加える動きが出てきており、クラウドを取り巻く世界に新しい力が必要とされている。
既存のクラウドを提供している巨大インターネット企業に対して、スタートアップ起業であるCloudwith.meがどのように戦うのか、一人のクラウド利用者として注目したい

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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