【Dentacoin】国民健康保険がない社会で歯医者に行くときの恐怖を緩和する企業がICOで誕生?

【Dentacoin】国民健康保険がない社会で歯医者に行くときの恐怖を緩和する企業がICOで誕生?

世界で一番豊かで恐ろしい国?

2008年9月15日にアメリカの大手投資銀行だったリーマン・ブラザーズが破綻し、世界が金融システム不安に怯え
ていたころ、私は外資系金融機関の東京支店に所属していた。当時私がいた会社のニューヨーク本部は天文学的な
損失を発表し、アメリカ政府から数百億米ドルの公的資金が注入され、金融恐慌の引き金になるのを何とか免れた
のだった。

あれから9年が経過し、アメリカの株価は史上最高値を更新しており、不動産価格も高騰を続けている。私は仮想
通貨評論家という新しい職業に就き、好きで得意だった文章を書くことで生計を立てており、ギスギスした金融の
世界にいたころよりは笑顔が増え、人間らしい生活をしていると思う。

仮想通貨評論家という職業が成立しているのも、2008年後半にサトシ・ナカモトという謎の人物がビットコイン
に関する論文を発表し、2009年から実際にブロックチェーン・プラットフォームの運用を開始してくれたおかげ
である。

私が何を言いたいのかというと、アメリカという国の底力を甘く見てはいけないということだ。政治的には若干揺
れているかもしれないが、経済、軍事などの面でアメリカの地位を脅かす国はしばらく現れそうにない。ただ、ア
メリカの医療システムだけは何とかした方がよい。

オバマ前政権が医療保険制度改革を行ったが、日本のような国民健康保険を導入したわけではなく、国民が民間の
医療保険に入る際に、政府から助成金を出す仕組みを構築しただけだった。2017年からトランプ政権になり、オ
バマ前政権の医療保険制度改革をひっくり返そうとしているが、議会で造反者が出るなど、もめにもめている状態
だ。

私は1996年から1998年までハワイに留学し、2002年から2003年までニューヨークに駐在したことからおよそ4年
間アメリカに住んでいたことになる。ハワイにいた時は学生であったため、留学生向けの医療保険、ニューヨーク
にいた時は所属していた金融機関の医療保険に加入していた。

風邪をひいた時や肌の調子がおかしくなった時などは、普通に病院に行って保険が適用されるのだが、歯の治療に
は保険が適用されなかった。歯を少し削っただけで数百米ドルの費用がかかる可能性があるため、虫歯の恐れがあ
っても、日本に帰国するまで我慢しなければならないこともあった。

アメリカが世界で一番豊かな国であることは間違いないが、虫歯など歯の治療が必要な人にとっては、世界で一番
恐ろしい国になってしまうのである。そんな歯の治療に保険が適用されない社会に住んでいる人にとって、救世主
とも言えるブロックチェーン企業が登場した。その名は、「Dentacoin Foundation」である。

Dentacoin Foundationが言う「偽善的な」歯の医療保険制度とは?

Dentacoin Foundationはウェブサイト上で、現在の歯の医療保険制度について、「偽善的である(Hippocratic)」
と非難している。偽善的な歯の医療保険モデルによって、患者は治療費を支払うことができなくなっており、でき
るのは予防だけになっているとこき下ろしている。

Dentacoin Foundationが述べている「治療費が払えず、できるのは予防だけ」というのは一見分かりにくいかもし
れないが、アメリカで働いていたことがある人ならばお分かりだろう。アメリカの医療保険の場合、歯の治療には
原則として保険が適用されないのだが、半年に一度のチェックアップは無料になっているケースが多いのである。

私がニューヨークで入っていた保険でも、年に2回無料のチェックアップとして歯をクリーニングし、虫歯がない
かどうかを確認することができた。このチェックアップが優れていると感じたのは、レントゲンで撮影を行い、歯
の表面だけではなく、歯と歯の間、歯の中で虫歯が発生していないかも確認してくれる点だ。

日本でも、歯医者に行ってクリーニングやチェックアップを行うことはできる。この際、保険は適用されるが当然
ながら有料であり、レントゲン撮影を行ってくれるところはほとんどないだろう(自分から言えばやってくれるの
かもしれないが)。

話が若干それてしまったが、Dentacoin Foundationの言う「できるのは予防だけ」というのは、アメリカなどの国
では治療になると保険が適用されないため、「とにかく虫歯にならないように注意しろよ」と患者に警告すること
しか現在の仕組みではできないということだ。

Dentacoin Foundationはアメリカで機能するのか?

日本の場合、詰め物や差し歯は金属のものを使うことが一般的だ。金属であれば保険が適用されるためだが、アメ
リカでは金属の詰め物や差し歯は基本的に使わない。歯科治療に保険が適用されないため、セラミックを利用する
ことが基本であり、アメリカ人で歯に金属が入っている人に私は会ったことがない。

Dentacoin Foundationは2017年10月にICO(仮想通貨による資金調達)を実施予定であり、2018年第4四半期中に
独自の保険制度を開始する予定になっている。

Dentacoin Foundationが提供する歯の保険に加入したい人は、Dentacoinを購入し、それを保険料として支払うこ
とになる。歯医者側は、Dentacoin Foundationのプラットフォームに加入して、歯科治療を行うことによって
Dentacoinを受け取る仕組みである。

アメリカでは病院の倒産が結構あり、先月まで通っていたところが今月になると閉鎖されているケースがよくある
。その背景には、国民健康保険がなく、薬価を製薬会社が決定するという究極の資本主義制度があるのだ。保険が
適用されるかどうかは民間の保険会社が判断し、製薬会社は薬価をできるだけ高くしたいから、どんどん医療費が
高くなってしまう。

医師が治療に必要だと判断して投与したり処方した薬であっても、後で保険会社が保険適用を渋ったり、過剰投与
と判断するケースもあるという。そうなると、保険会社から保険金が下りず、患者も自分で払えないから、病院側
に治療費が支払われずに資金繰りが行き詰って倒産するというのが典型的なケースである。

結局はネットワーク外部性の問題を克服できるか?

経済学を勉強したり、ビジネススクールに行ったことがある人であれば、「ネットワーク外部性」という単語を聞
いたことがあるだろう。ネットワーク外部性とは、商品やサービスの利用者が増えれば増えるほど利便性が高くな
り、結局のところ数の勝負になってしまうということだ。

Dentacoin Foundationが言う通り、アメリカにおける歯の医療保険制度は「偽善的」な部分がある。ただ
、Dentacoin Foundationに登録する歯医者が増えない限り、Dentacoinを使って歯科治療を受けられる場所が少な
くなり、利用者も増えないというジレンマに陥ってしまう。結局は、ネットワーク外部性の問題に行きつくことに
なるのだ。

Dentacoin Foundationは世界中で利用可能な歯科保険ネットワークを構築したいとしており、これが実現すれば、
歯が痛いのに治療費の問題によって歯医者に行けない多くの人たちを救える可能性がある。ブロックチェーン・プ
ラットフォームは、歯の保険制度という世界が抱える問題に挑もうとしているのである。

ICOカレンダー:Dentacoin Foundation

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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