【INS】食品会社と消費者を直接つなげるICOが登場

冷蔵庫を使わないコインマン

信じられない話かもしれないが、私は冷蔵庫を使わずに生活している。説明すると長くなるのだが、私は2010年から2011年までフランスに留学しており、東日本大震災を経験していない。

震災後に日本に帰国した際、東京では計画停電が行われており、「エネルギーの浪費はとんでもない」という風潮が流れていた。

自分なりに考えた結果、「常時電源が入っている冷蔵庫を使わないことがもっともエコロジーである」という結論に達し、それからずっと冷蔵庫を使わない生活をしている。

今住んでいるところの近くに24時間営業のスーパーマーケットとコンビニエンスストアがあり、必要なものがあればすぐに買いに行くことができる恵まれた状況にいるということもあるのだが。

自宅に友人などを招いて、本当に冷蔵庫を使っていない状態を見せると皆一様に驚きの声を上げるが、「なるほど、冷蔵庫はなくても大丈夫なんだね」と最後には納得してくれるようだ。

ただ、最近は近くのスーパーマーケットやコンビニエンスストアに行く時間も惜しいほど仕事の依頼を頂いており、インターネットで必要なものを家に届けてくれるサービスがあれば良いのにと考えながら日々を過ごしている。

一定金額以上であれば、日用品を配達してくれる業者などはあるのだが、私はミニマリストであり、買い物をする場合であっても、一日に消費できる分しか注文しないため配達業者に頼むことは高コストになってしまい、あまり効率的ではないのだ。

そんなことを考えている時、食品会社と消費者を直接つなげるサービスを手掛けようとしているICO企業に遭遇した。その会社は、ロシアのモスクワに拠点を構えている「INS」である。

流通市場は小売業者が支配する世界

以前も紹介したが、私は漫画「北斗の拳」の大ファンである。核戦争によって人類が滅亡の危機に瀕した時代背景の中、一子相伝の北斗神拳を巡って、愛と哀しみのドラマを繰り広げる名作である。

北斗の拳では、政府機関が崩壊しているため、法による統治が行われておらず、「暴力が支配する世界」になってしまっており、「力こそがすべて」というとんでもない世の中が描かれている。

今回紹介するICO企業であるINSは、現在の流通市場を「小売業者が支配する世界」と批判しており、さまざまな仲介者を経て食品が最終消費者に届く仕組みを変革すべく、ブロックチェーン技術を駆使していくとウェブサイト上で宣言している。

日本で生活をしているとあまり意識しないが、我々の住んでいる社会はかなり卸業者の数が多い状態になっている。

日本には昔からさまざまな卸業者が存在しており、小規模の八百屋や魚屋、食料品店などにいろいろな種類の卸業者が商品を提供していたことから、欧米の先進諸国に比べて特殊な卸業態が形成されたと考えられている。

「卸業者がたくさんあるから悪い」というわけではないのだが、仲介者である卸業者が多くなればなるほど、最終的にコストが跳ね上がり、消費者に負担がかかる仕組みになっているのは事実だろう。

スーパーマーケットなどの小売業者は、どの卸業者と取引するか選択することが可能であり、複数の卸業者に価格競争をさせて安い方と取引をすることが一般的な商慣習になりつつある。

INSはウェブサイト上で、このような「小売業者による支配」を打開し、最終的に「打ち勝つ」ことをウェブサイトで強調している。

小売業者による支配に打ち勝つこととは、食品会社と消費者を直接つなげることであり、これにより小売業者の存在価値をなくすことが、INSの最終的な目的であるようだ。

すべての決済はINSトークンで

INSは2017年11月27日から12月25日までICOを実施し、仮想通貨であるINSトークンを発行して、およそ3,000万米ドルの資金調達を目指している。

食品会社から直接商品を購入したい消費者は、あらかじめINSトークンを入手しておく必要があり、食品会社も料金はINSトークンで受け取ることになる。

プラットフォームを運営しているINSは、食品会社から売り上げの1パーセントを手数料として受け取る仕組みになっている。

INSのプラットフォームでは法定通貨が流通することはなく、INSトークンですべての決済が行われる予定になっている。

ICOでINSトークンを購入した投資家は、INS経由で食品会社から直接商品を買うことができるが、ICOに参加できなかった人はどうやってINSトークンを手に入れれば良いのだろうか?

その回答はINSのウェブサイトに掲載されており、ICOが完了する2017年12月25日のおよそ2週間後から、「仮想通貨取引所でINSトークンの流通が始まる」と説明されている。

かなり早い段階でINSトークンは流動性を確保することになるが、どの仮想通貨取引所で流通が始まるかの記載はウェブサイト上でなされていない。

「いくつかの仮想通貨取引所と交渉を開始している」とINSはウェブサイト上で述べているが、できれば具体的な取引所名を出してもらいたいところである。

INSがウェブサイトで述べているように、2018年1月中旬から仮想通貨取引所でINSトークンが法定通貨や主要仮想通貨と換金、交換できるようになれば、食品会社と消費者のやり取りが活発になる可能性がある。

消費者にとってINSトークンでのやり取りに違和感はないだろうが、受け取り側の食品会社にとっては、売り上げがINSトークンで計上されるため、それが法定通貨に換金できなければ怖くてINSの仕組みに参入することは難しいだろう。

ウェブサイトの記載によると、INSは世界的な企業と交渉を行っており、かなりの数の業者が新しい流通システムに興味を示しているという。

本拠地は世界?

私がICO企業を調べる際、ウェブサイト上に掲載されている宣伝動画とホワイトペーパーは必ず確認するのだが、「よくある質問(FAQ)」もチェックするようにしている。

今回紹介しているINSのウェブサイトでは、よくある質問の項目が非常に充実しており、ほとんどの疑問点はここで解消できると感じた。

興味深かったのは、「INSはどこに本拠地があるのですか?」という質問に対して、「INSは国際的であり、メンバーやアドバイザーは世界中(アメリカやルクセンブルク、ロシア)にいます」と回答していることだ。

現在、INSの本拠地はロシアのモスクワにあるが、実際に働いている人たちや関与している助言者などは世界中に散らばっているということだろう。

その証拠に、INSのウェブサイトは英語、ロシア語、中国語、スペイン語、日本語、韓国語の6カ国語対応になっており、ウェブサイトの内容は日本語でも確認可能になっている。

食品会社と消費者のために

INSはウェブサイト上で、新しいプラットフォームは食品会社と消費者双方にメリットが多いと力説している。

私は消費者側であり、INSのサービスが始まれば、スーパーマーケットなどの店舗よりも安く高品質な食品を入手でき、オンラインで簡単、便利に注文できることから、あらゆる食品会社の中から一番良い商品を選ぶことが可能になる。

食品会社にとっても、価格を完全に管理できることになり、小売業者による勝手な安売りなどが行われなくなるため、ブランドイメージを維持することにもつながる。

また、顧客から直接フィードバックを得られることになり、マーケティング戦略を緻密に立てられるため、INSは食品会社と消費者双方にとって良いことだらけであると述べている。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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