【Red Pill Coin】人民による人民のための仮想通貨が誕生

この仮想通貨の登場によってもう銀行はいらない?

私は長年外資系金融機関に勤務してきたが、いろいろな意味で非効率なことが平然と行われている組織だった。日系、外資系に限らずだが、金融機関は権威が大好きである。役職が絶大な存在である権威主義の組織においては、上からの命令は絶対である。

権威主義的な組織では「はい」か「イエス」以外を言ってはならない。上司や偉い人に反論する場合、「はい、ですが」か「イエス、バット(Yes, but)」という言い方にしなければ、永遠に陽の目をみなくなる可能性がある。

今から考えると、よくあんな組織に15年以上もいたものだと自分の我慢強さに感嘆するが、徐々に既存の銀行や金融機関は存在意義が薄れてきているようだ。まず、都心や駅前の一等地に本店や支店を構えている意味がなくなりつつある。

インターネット専業の銀行や証券会社の場合、今後も存続する可能性はあるかもしれないが、伝統的な金融機関はコスト面でも苦しい状況に置かれてくるだろう。さらに、ビットコインなどの仮想通貨の登場によって、古い体質を抱えている金融機関はますます追い詰められていくだろう。

そんな中、「もう銀行はいらないよ!」と叫ぶICO企業が現れた。その名は、「Red Pill Coin」である。

銀行は信用できず、ゴールドは不便

Red Pill Coinの仕組みの中では「利用者自身が銀行になる」ため、仲介者を経ることなく決済が可能になるとウェブサイト上で説明されている。Red Pill Coinは銀行のことが嫌いなのかウェブサイト上で痛烈に非難している。

Red Pill Coinは、2010年以降のギリシャでの経済危機について以下のように言及している。

「ギリシャではATMの前で何時間も待たされたあげく、一日に50ユーロしか引き出せなくなったんだよ!自分のお金を預けている銀行へのアクセスを制限するなんて考えられないよ!」

既存の銀行システムから人々を解放するための手段として、Red Pill Coinを提供するとウェブサイト上で説明している。

一方で、実物資産として「金(ゴールド)は素晴らしい」とRed Pill Coinは述べている。しかしながら、金は供給が極めて限られており、輸送が大変であるため、ほとんどの人にとって運用先として現実的ではないことをRed Pill Coinは認めている。

Red Pill Coinは金と同様に供給が限られているが、購入や保存、取引がボタン一つで可能であり、Red Pill Coinを手にすることが「自由を手に入れることにつながる」とウェブサイト上で高らかに宣言している。

目標はRed Pill経済圏の構築

Red Pill Coinは、2017年10月1日から10月31日までICOを実施している。Red Pill Coinは、FacebookやTwitter、YouTubeのようなSNSや動画投稿サイトなどのコミュニティで送金したり、受け取ったりすることができるようになる予定である。

YouTubeなどに面白い動画を投稿しているYouTuberは、再生回数に応じて報酬を受け取っている。Red Pill Coinのプラットフォームを利用することで、YouTuberはチップや投げ銭などをRed Pill Coinで受け取ることが可能になる。

Red Pill Coinは、オンライン・コミュニティをもっと豊かにするために設計された仮想通貨であるとウェブサイト上で説明している。Red Pill Coinを使えば、表彰などをオンライン上で簡単に行うことができ、従来の法定通貨のように銀行システムを経由する必要がなく、低コストで送金したり決済することが可能になる。

流動性への対応は50点

インターネットにつながっているパソコンかスマートフォンがあれば、Red Pill Coinの取引が可能になる。また、Red Pill Coinは複数の仮想通貨取引所で交換可能になるとホワイトペーパー14ページ目で説明されている。

Red Pill Coinは、仮想通貨交換所でビットコインと交換可能になるとも書かれているが、具体的にどこの取引所でいつから交換できるようになる予定であるかの期日は明示されていない。

ICO企業にありがちなのだが、「これをやります」とか「あれを成し遂げます」と元気よく宣言していても、期日や具体的な方法が書かれておらず、ただの希望的観測に見えるケースが多い。

仮想通貨取引所での交換について「予定あり」とホワイトペーパー上に書くのはよいのだが、肝心の期日が記載されていないと投資家としては不安になり、Red Pill Coinを購入したとしても、いつまで経っても法定通貨と交換できないリスクを抱えてしまうことになる。

この点を明らかにしたい投資家は、「いつどこの仮想通貨取引所で交換可能になりますか?」とRed Pill Coinのウェブサイトから確認することはできるだろう。

しかしながら、その作業に費やす時間が無駄であり、あらかじめウェブサイトやホワイトペーパーなどで、Red Pill Coinの流動性について詳細を記載しておいてくれれば面倒なことをしなくてすむのである。

ICO企業によっては、「どの仮想通貨取引所でいつから交換可能になるか」を明示しているところがある。この場合、流動性への対応は100点と言えるだろう。

しかしながら、Red Pill Coinの場合は「仮想通貨取引所で交換可能になる予定」という記載しかない。肝心の「いつどこで」の部分が欠けているため、流動性への対応としては50点の評価ということになるだろう。

72時間以内に対応するICO企業

一方、Red Pill Coinの顧客対応への考え方は、数あるICO企業の中でトップクラスである。Red Pill Coinのウェブサイト上で、「顧客からの質問や照会に対して、72時間以内に回答する」と説明しているからだ。

海外の場合、大手企業であっても顧客からの問い合わせに対して、きちんと回答しないところがある。ICO企業の場合、連絡をして回答が返ってくるまでの時間によって、経営陣が顧客や投資家を大切にしているかどうか、ある程度把握することができる。

すぐに回答をしてくれる企業の場合、顧客や投資家の意見を組織が吸い上げ、内部で確認して返事をするためのプロセスが構築されていることを意味する。

顧客や投資家に対して過剰に反応する企業が多い日本に住んでいる人からすると、72時間以内というのは3日以内であり、若干長めに感じるかもしれないが、海外の企業が照会に対応する時間としてはかなり短めである。

政府や銀行が管理していない通貨

Red Pill Coinはウェブサイトの中で、「人民による人民のための仮想通貨」を目指すと述べている。これまでは、政府や銀行が中央で管理する法定通貨に人々は頼らざるをえなかった。

「人民による人民のための」は1863年にアメリカ大統領だったリンカーンが行った演説の言葉であり、民主主義の原則について語ったものである。政府や銀行のための通貨ではなく、Red Pill Coinは人民による人民のための仮想通貨であることを強調しているのだ。

そして、ウェブサイトの最後を「Red Pill Coinの真の価値はあなたである」と締めくくっている。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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