ICOのブロックチェーンで「経済の民主化」が実現?

ブロックチェーンで「経済の民主化」が実現?

日本の個人投資家の間で最近人気になっている運用手法の一つに、ソーシャル・レンディングがある。

聞いたことがある人がいるかもしれないが、ソーシャル・レンディングを利用すれば、数万円からの少額投資が可能で、5パーセントから15パーセント近くの利回りが期待でき、運用が順調であれば、毎月分配が受けられる。
これだけを書くと、ソーシャル・レンディングは夢の投資手法のように感じるかもしれないが、実際にはさまざまなリスクが含まれている。
日本の場合、ソーシャル・レンディングの投資先は、複数の不動産案件であることが多く、ソーシャル・レンディング業者が倒産してしまった場合、投資した資金が返ってくるかどうか分からないリスクが存在している。
2017年に入って、ソーシャル・レンディング業者が金融当局から行政処分を受け、事業運営に支障が発生していると言われており、投資家や融資先が混乱しているというニュースが流れている。
ソーシャル・レンディングは、従来、金融機関や不動産会社などしか投資できなかった不動産投資案件を、個人にも提供して、高めの利回りを実現するための仕組みである。
ソーシャル・レンディングとは仕組みが異なるが、これまで富裕層以外は投資できなかった不動産物件を、ブロックチェーン技術によって少額から投資できるような仕組みを提供する企業が韓国で登場した。
その名は、「Proof」である。

仮想通貨で1ドルから案件に投資?

Proofは、2017年10月にICO(仮想通貨による資金調達)を予定しており、利用者はProofが発行する仮想通貨であるProofトークンを購入し、不動産物件に少額投資ができるようになる。
これまでの不動産投資では、多額の資産を保有している富裕層しか参加するチャンスがなかった。
500万米ドル(約5億5,000千万円)の不動産物件がある場合、現金で投資できる個人は限られており、将来の値上がりが期待できる場合であっても、普通の人はこのような不動産に投資することは従来できなかった。
しかしながら、Proofのプラットフォームを利用することによって、1米ドルから不動産物件への投資が可能になると言う。
ブロックチェーン技術によって、少額投資を行った場合であっても、将来の値上がりによる分配を受け取ることが可能になった。
Proofの大きな目標は、「経済を民主化すること(Todemocratise the economy)」である。
民主主義の原則は、誰でも一票を投じることができることである。
Proofが言う「経済の民主化」とは、誰でも1米ドルから不動産に投資できるプラットフォームを構築することである。
1米ドルを投資した人も、100万ドル(約1億1,000万円)を投資した人も、出資額に応じて利益を受け取ることができる仕組みをProofは作り出そうとしているのだ。

ブロックチェーン技術は不動産投資を変える?

古今東西同じだが、不動産の取引には多くの書類が必要になってくる。
取引先として、不動産会社だけではなく、融資を受ける場合は金融機関、登記作業を代行する法律家などの関係者も多数登場し、すべての契約書や関係書類に目を通し、理解するのは現実的に難しく、よく分かっていない内容であってもサインし、ハンコを押すというプロセスにならざるを得ないのが実情である。
ブロックチェーン技術は中央管理者がいないだけではなく、スマートコントラクトを可能にした点が革新的だったという識者がいる。
スマートコントラクトをフル活用したProofのプラットフォームを活用することで、従来の不動産投資の際に必要だった第三者の関与が不要になり、1米ドルからの少額投資ができるようになったのである。
不動産投資に関与する第三者は高給取りが多く、彼ら、彼女らが打ち合わせやミーティングに一度でも出席したら、1米ドルでの不動産投資は不可能になってしまうだろう。
Proofが目指している「経済の民主化」とは、特権階級であった第三者の関与を省略していくということなのかもしれない。

投資前のリスク確認は万全?

日本でもアメリカでもそうだが、個人が金融機関でリスク性商品に投資する前には、その人がどれだけのリスクを取ることができるかの確認作業が行われる。
金融業界では「プロファイリング」と呼ばれているが、投資家にいくつかの質問を投げかけて、リスク許容度をスコアリングする手続きである。
Proofではプロファイリングがきちんと行われる予定で、ブロックチェーン技術を活用して、投資家のリスク選考に合致した商品のみ購入可能になるという。

Proofは不動産仲介業者ではなく、投資家と不動産案件を提供する人はブロックチェーン経由で直接取引を行うことになる。
スマートコントラクトの発達によって、この仕組みが実現できたわけだが、Proofが目指す「経済の民主化」に向けて、一つの重要な取り組みであることに違いはない。
願わくば、日本でも同様の動きが出てきてほしいものだ。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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