【コラム】イーサリアムは「家を自動販売機で買う仕組み」?

決済に強みがあるビットコイン

2017年に入り、日本の大手家電量販店でビットコイン決済が可能になるなど、多くの店舗でビットコインが支払い手段として利用できるようになっている。ビットコイン発祥の地であるアメリカでは、スターバックス・コーヒーやディスカウント・スーパーであるウォルマートなどでビットコイン決済が可能になっている。

2017年に入ってビットコインの価格が急騰したことから、2016年以前にビットコインを購入した人であれば、現時点(2017年9月27日)で含み益を抱えているケースが多い。安値で購入したビットコインをそのまま持ち続け、実際の買い物で利用するニーズが高くなっているわけである。

米ドルやユーロなどを円高時に購入しておき、アメリカやフランスなどへ海外旅行へ行った際、そのまま外貨として使ってしまう感覚をイメージしてもらえれば分かりやすいだろう。

上記のような利用者側の事情に加えて、ビットコインを受け入れる店側にも仮想通貨による決済はメリットが多い。クレジットカード決済を行う場合、店舗側は2%から6パーセント程度の高い手数料をクレジットカード会社に支払う必要がある。

一方、ビットコイン決済であれば、手続きを代行してくれる仮想通貨取引所に店舗側が支払う手数料は1パーセント以下ですむ。また、クレジットカードの場合、決済後2週間から1カ月程度経過しなければ、クレジットカード会社から店側に入金されない仕組みになっている。

ビットコイン決済の場合、店舗から仮想通貨取引所に依頼をすることで最短3営業日後に振り込み処理を行ってくれる。店舗側からすると、ビットコイン決済はクレジットカード決済と比べて売り上げの入金が早まるため、経理処理上も大変助かる仕組みになっている。

ビットコインよりも優れた仮想通貨がある

日本の国会で2016年に改正資金決済法が成立し、2017年から施行され、仮想通貨による決済や取引が行いやすくなったと言われている。ビットコインなどの仮想通貨売買を取り扱う取引所は所在地がある財務局で登録を行うことが義務付けられ、日本は国レベルで仮想通貨の法整備を世界に先駆けて進めている。

関係者の努力によって、ビットコインの存在が日本で広く知られるようになり、60代後半の私の両親でもビットコインについては「聞いたことがある」と答えるまで浸透している。ビットコインは仮想通貨業界の王様と考えられており、ブランド浸透度だけではなく、時価総額でも仮想通貨業界ダントツの1位になっている。

株式や債券などの伝統的な金融商品の場合、相場が動き、証券会社などで売買ができるのは原則として平日だけになっている。あまり知られていないことだが、ビットコインなどの仮想通貨の場合、24時間365日相場が動いている。

平日忙しくて投資や運用のことを考えられない会社員の人などにとって、土日祝日でも値動きがある仮想通貨は大変便利である。インターネットにつながっているパソコンかスマートフォンがあり、仮想通貨取引所に口座を開設しておけば、世界中どこからでもビットコインなどの仮想通貨を売買することができるからだ。

ただ、仮想通貨取引所を運営している専門家などと話をすると、「ビットコインよりも優れた仕組みを持つ仮想通貨が出てきている」との声を聞くことが多い。

私自身、日本初の仮想通貨評論家として色々な記事を執筆させて頂いているが、ICO企業のウェブサイトなどを見て、一番多く目にすることが多い仮想通貨はビットコインではなく、仮想通貨業界2位の時価総額を誇るイーサリアムである。

イーサリアムは自動販売機で家を買う仕組み?

決済に強みを持つビットコインに対して、イーサリアムの最大の特徴は仲介者がいない状態で契約を自動で執行できる「スマートコントラクト」と呼ばれる仕組みである。

若干話がそれるが、仮想通貨ニュースサイトである【bit-life】に記事を提供させて頂き、さまざまな発見がある日々を送っている。

これまでの私の記事は横文字が結構多く、外資系金融マン時代の悪い癖が抜けなかった。
横文字が増えてくると、記事の内容がイメージしにくくなってしまうようで、最近は英語でしか表現ができないような言葉でも、何とか日本語にするように心掛けている。

ただ、今回はイーサリアムを紹介する記事である。仮想通貨業界では、「イーサリアム=スマートコントラクト」というイメージなのだが、仮想通貨業界以外の方にとっては、スマートコントラクト自体が何なのか分かりにくいようだ。

スマートコントラクトを一言で表現すると、「自動販売機で家を買うような仕組み」である(あくまでコインマンが考えている例え)。家を買う場合、ローンを組むのであれば金融機関とやり取りしなければならない。

購入物件が決定するまで不動産会社と何度も打ち合わせをして、登記などの作業には法律家なども登場する。

家の買う際に登場する仲介者である銀行員、不動産会社社員、法律家などは、いずれも高給取りに分類される人たちである。言い換えると、家の購入価格やローン支払い額には、これらの仲介者の人件費も含まれていることになる(マーケティングコストもそうだ)。

もしも、仲介者が登場しない世界があり、家を自動販売機で購入できればどうなるだろう。誰も最後までは読まない(読めない?)であろう分厚い契約書やハンコを押し続ける意味不明の作業などが不要になり、家を購入するためのプロセスが劇的に簡素化されることになる。

イーサリアムが提供しようとしているのは、正にこのことである。多くの仲介者がいなければできなかった契約手続きなどを自動化し、すべての作業を無人で処理する仕組みである。

イーサリアムのスマートコントラクトはコンピューターが処理を行うため、人間が不正をする余地がないというメリットもある。また、利用者同士がオンライン上で直接取引を行うため、「言った、言わない」の類の対面契約にありがちなトラブルなども避けることができる。

イーサリアムは年初から36倍以上に高騰

ビットコインの2017年1月1日の価格は、約963米ドル(約11万円)だった。現在(2017年9月27日)は、1ビットコイン=約3,900米ドル(約43万円)で推移しており、今年に入って4倍に膨れ上がっていることになる。

一方、ICOの急増に伴ってイーサリアムの需要も拡大しており、2017年1月1日に約8米ドル(約900円)だった1イーサリアムの価格は、36倍以上の約290米ドル(約32,000円)を付けている。

2017年下半期に世界中で300以上のICOが実施されると言われており、その多くがイーサリアムのスマートコントラクト・プラットフォームを利用している。このことが、イーサリアムの価格上昇に拍車をかけていると言われている。

2017年に入り、ビットコインの価格上昇は4倍になっているが、イーサリアムは36倍以上に高騰しており、この2つの仮想通貨の上昇率には大きな開きが存在している。

ビットコインの時価総額は約650億米ドル(約7兆1,500億円)で、イーサリアムは約275億米ドル(約3兆円)になっている。ビットコインの時価総額はイーサリアムのおよそ2.4倍になっているが、今後イーサリアムの価格上昇が続けば、仮想通貨業界の王様であるビットコインを脅かす存在になるかもしれない。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。