ICOから銀行口座がなくてもローンや送金が可能なサービス登場?

銀行口座がなくてもローンや送金が可能なサービス登場?

私は既存の金融機関で長く働いていたが、その時に感じたのはローン審査プロセスや送金決済システムの非効率さと使いにくさだった。

日本の場合、ローンを借りようとすると不動産などの担保を求められることが多い。
また、送金は「全銀システム」と呼ばれる恐ろしく古いシステムで処理を行うのだが、15時を過ぎると翌営業日付の決済になってしまう。
銀行が無担保カードローンを始めており、送金処理については2018年からようやく24時間対応するようだが、すべての金融機関が導入するわけではないようだ。
そんな中、銀行口座がなくても仮想通貨でローンを受けられたり、送金が可能なサービスを提供するスタートアップ企業がシンガポールで登場した。
その名は、「Everex One」である。
ターゲットは銀行口座を持っていない人Everex Oneは、2017年7月からICO(仮想通貨による資金調達)を開始しており、中国企業からの出資も受け入れている。
Everex Oneは、主要仮想通貨であるイーサリアムのブロックチェーンを利用して、インターネット上でのローンや送金サービスなどを提供している。
Everex Oneがターゲットにしているのは、アジア地域の銀行口座を持っていない人たちである。
銀行口座がなくてもマイクロファイナンスでローンを提供マイクロファイナンスという言葉を聞いたことがある人は多いと思うが、世界でもっとも有名なマイクロファイナンスを行っているのはバングラデシュのグラミン銀行である。
グラミン銀行は、バングラデシュの貧困層に対して無担保ローンを実施しており、主に農村部で業務を行っている。
Everex Oneは、グラミン銀行と同じくマイクロファイナンスで貧しい人々に対して融資を行うための仕組みを構築しようとしているが、すべてオンライン上で手続き可能な部分がグラミン銀行との違いである。
Everex Oneが開発した審査システムにより、利用者の行動パターンや消費動向などが自動的にスコアリングされ、ローン金利や貸出上限金額、貸出期間などが計算される仕組みになっている。
発展途上国で銀行口座を持っていない人たちが抱える問題として、送金をしたり、お金を受け取ることができないだけではなく、金融機関からローンを受けられないことがある。
子どもを進学させたり、事業を始めたい場合であっても、銀行口座がないことで融資が受けられず、将来のための投資を行うことができない人たちのために、Everex Oneは教育を受ける機会やビジネスを展開するためのプラットフォームを提供しようとしている。
海外送金や外国為替サービスも提供予定Everex Oneは、2016年に東南アジアで働いているミャンマー人に対してテストマーケティングを行い、実際に送金処理を行っている。
海外に住んでいるフィリピン人が自国に送金を行う際の手数料が高すぎることと、仕送りを受け取るフィリピンの家族が銀行口座を持っていないケースがあるため、独自の仮想通貨を開発した話は有名であるが、Everex Oneも同様のニーズをくみ取って、アジア地域に展開しようとしているのだろう。
Everex Oneが革新的なのは、外国為替サービスを提供し、外貨をATMで引き出す仕組みを構築しようとしている点だ。
日本の銀行の中には、日本円を口座に入れておけば、海外のどこに行っても現地通貨を引き出すことが可能なサービスを提供しているところがある。
Everex Oneは仮想通貨とブロックチェーン技術を利用して、低コストで同様のサービスを開発しようとしている。
既存の金融機関にとっては脅威だが、利用者にとってはうれしいことである。
2018年前半にアジアでの広域展開を目指すEverex Oneは、2017年中にミャンマー、タイ、ロシアでフルサービスを開始する予定で、他のアジア地域には2018年前半に進出することを予定している。
新興国の場合、金融機関の事務処理に時間がかかったり、送金や着金がスムーズにいかないケースが結構ある。
Everex Oneであれば、インターネットにつながっているスマートフォンで瞬時に送金、融資、外国為替などのサービスを受けることが可能になる。
クロージング文:日本の大手金融機関と大手通信会社が協力して、スマートフォンだけで無担保ローンを受けられるサービスを開始しようとしている。
従来の担保主義や信用情報に基づく融資ではなく、ビッグデータを活用して利用者の行動パターンを分析し、融資可能額などを自動的にスコアリングしてローンを提供する仕組みになる予定だ。
ただ、融資を受けるための銀行口座は当然ながら必要で、日本の貸金業法というしばりもあり、Everex Oneのような柔軟性のあるプラットフォームにすることは難しいようだ。
また、日本の最大手銀行が仮想通貨の実験を社内で実施しており、従業員が社員食堂で食事をする際の決済手段として用いられている。
2018年からこの仮想通貨は一般開放される予定であり、ATMなどを使って日本円との交換も可能になるという。
しかしながら、既存の金融機関が発行する仮想通貨にどれだけのイノベーションがあるかは不透明である。
日本でもEverex Oneのようなスタートアップ企業が登場し、古い銀行のシステムや商慣習を打開するチャレンジが待たれる。
銀行口座が不要な世界になれば、銀行などの既存金融機関も変革が求められるようになるだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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