10月25日にビットコインゴールド誕生!分裂は仮想通貨の運命?

金融機関の歴史は合併の歴史

私は現在、仮想通貨評論家コインマンとして活動しているが、以前は外資系金融機関の企画部門で勤務していた。

金融機関の企画部門が何をしているか外から見ると分かりにくいと思うが、一言で言うと「経営者のための何でも屋」である。

ニューヨークやロンドンから社長や会長が来れば通訳をし、日本の経営陣がスピーチをするとなれば原稿を書き、
金融庁に報告書提出が必要になれば作成して霞が関に持って行くなど、あらゆることをやっていた。

15年以上外資系金融機関で働いたが、その間で3回の合併があった。
「金融機関の歴史は合併の歴史」とも言われているが、合併を繰り返す産業は将来性がない可能性が高い。

今後伸びる業界であれば、合併などをする必要がなく、新しい競争相手が次々と入ってくるはずだからだ。

その点からすると、合併が多い既存の金融業界は斜陽産業と言えなくもない。逆に新規参入が多い業界は、これからも伸びしろがあるビジネスと考えられるだろう。

仮想通貨の歴史は分裂の歴史

新規参入が多い業界の代表例は、私が所属している仮想通貨業界だ。日本では仮想通貨取引所の新規参入が相次いでいる。また、世界では毎日のように仮想通貨による資金調達であるICOが実施されている。

ICO企業については玉石混合であると考えられているが、長期的に見ると詐欺コインや問題のある仮想通貨を発行しているところは淘汰されることが予想されている。

法整備が未熟で規制がゆるいという事情はあるが、あらゆる業界から仮想通貨ビジネスへの参入が行われており、今後もしばらくはこの状態が続くだろう。

新しい仮想通貨が次々に登場している中で、ビットコインやイーサリアムなどの主要仮想通貨については、問題が発生するとハードフォークと呼ばれる分裂が行われてきた。

中央管理者不在で運営が行われている仮想通貨の場合、方向性を決定する際に関係者が話し合うという方法が取られることが多い。中央管理がいないということは、1人の人間や1つの組織で物事を決められないということを意味する。

利害が対立する人や業者間で話し合いを行う必要があるビットコインなどの仮想通貨の場合、意見の集約が難しくなると分裂という結果になりがちなのだ。

その観点からすると、「仮想通貨の歴史は分裂の歴史」と言えるのかもしれない。

イーサリアムも分裂経験済み

日本の場合、仮想通貨というとビットコインのイメージが強いと思うが、仮想通貨業界関係者の間では、スマートコントラクトと呼ばれる自動契約執行の仕組みを持つイーサリアムの評価が高い。

イーサリアムは仮想通貨業界第2位の時価総額を誇っているが、2016年7月に分裂を経験している。

イーサリアムから分裂した新しい仮想通貨はイーサリアムクラシックだが、この記事を執筆している2017年10月23日時点で仮想通貨業界12位の時価総額を持つ立場になっている。

イーサリアムクラシックが登場した背景には、2016年6月に発生した「THE DAO」と呼ばれるイーサリアムの不正持ち出し事件があった。

THE DAO事件によって数十億円単位のハッキング被害が発生したことから、対応策として盗まれたイーサリアムを無効にするため、仮想通貨のコードを変更することをイーサリアムは決めたのである。

THE DAO事件発覚後、わずか1カ月でコード変更の決定を行ったイーサリアムの素早い動きを評価する意見が仮想通貨業界にはあった。

一方で、決定プロセスが中央管理的であると非難する声があり、コード変更を行う前のイーサリアムの仕組みを残すべきという意見が一部に存在していた。

そこで誕生したのが、イーサリアムクラシックである。クラシックという名前がついている背景には、「前のイーサリアムのまま」というニュアンスが含まれており、非常に分かりやすいネーミングであると言えるだろう。

2016年7月にイーサリアムクラシックが誕生した際、「遅かれ早かれ消えるのではないか」という意見が仮想通貨業界にはあった。

ただ、大手仮想通貨取引所がイーサリアムクラシックの取扱いをはじめたことで流動性が向上し、仮想通貨業界時価総額トップ15に入るところまで成長したのだった。

ビットコインキャッシュの夢よもう一度

2017年10月に入ってから1ビットコインの価格が6,000米ドルを突破し、9月にあった一連のごたごたなど投資家は忘れてしまったかのようである。

9月に中国政府や韓国政府がICO禁止措置を発表し、アメリカの大手金融機関トップによる「ビットコインは詐欺」発言などがあって、1ビットコインは一時3,000米ドルを下回る局面まで落ち込んだ。

ビットコインが急落したところで売却した投資家もいたようだが、「人の行く裏に道あり花の山」という証券業界のことわざの通り、下がったところで買っておけば、2倍以上になっていたのである。

ビットコインが再び上昇している背景には、10月25日に誕生する予定のビットコインゴールドがあると考えられている。

ビットコインは8月1日にビットコインキャッシュと分裂したばかりだが、3カ月も経っていないのに、今度はビットコインゴールドと分裂する予定になっているのだ。

ビットコインがビットコインキャッシュと分裂する直前の2017年7月は、仮想通貨業界全体の価格が下がる傾向にあった。

当時は、ビットコインとビットコインキャッシュの分裂によって大きな混乱が起こる可能性がささやかれており、仮想通貨業界の未来自体に懐疑的な見方が広がっていたからだ。

しかしながら、大きな問題が起こることなくビットコインはビットコインキャッシュと分裂した。また、ビットコインキャッシュは仮想通貨業界4位の時価総額を誇る地位を占めるようになったのである。

10月に入ってビットコインを購入している投資家は、ビットコインゴールドがビットコインキャッシュと同じような成功をしてくれると期待しているようである。

ただ、無条件に付与されたビットコインキャッシュとは違い、ビットコインの保有者にビットコインゴールドが付与される確証はなく、波乱が発生する可能性があり、油断は禁物である。

ビットコインは問題のある仮想通貨

2017年8月にビットコインキャッシュが生まれた背景には、ビットコインの決済スピードの遅さがあった。2010年にビットコインで最初の決済が行われ、ピザが購入された際にはスピーディな決済が可能だった。

その後、ビットコインの取引が世界中で拡大したことで決済にかかる時間が長くなっていった。

2017年10月時点で、ビットコインの決済には10分以上かかるようになっている。
処理能力に問題を抱えているビットコインに代わって、8倍の処理能力を持ち、スピーディな決済が可能なビットコインキャッシュが誕生したわけである。

時価総額が1,000億米ドルを超え、仮想通貨業界の王様として君臨しているビットコインだが、
実はさまざまな問題を抱えており、機能だけを見ると他の仮想通貨の方が優れているケースが少なくないのである。
10月25日に誕生する予定のビットコインゴールドは、マイニングが難しくなったビットコインの問題を解決する新しい仮想通貨としての期待が高まっている。
度重なる分裂はビットコインの信頼を損なうと唱える専門家が出てきており、ビットコインゴールドに対して市場がどのような評価を下すのか関係者が固唾を飲んで見守っている。

コインマン
日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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