【GoldMint】仮想通貨で金本位制が復活?

【GoldMint】仮想通貨で金本位制が復活?

法定通貨は不換紙幣だらけ

最近は、不換紙幣と兌換(だかん)紙幣という言葉が使われなくなった。

不換紙幣とは、金や銀などと交換することができない法定通貨のことである。
兌換紙幣は、金や銀などとの交換が約束されている法定通貨のことを意味している。
日本円はもちろんのこと、基軸通貨である米ドル、EU内で流通しているユーロ、世界最大の人口を持つ中国の通貨である元など、現在の主要通貨は不換紙幣だらけである。
「何を当たり前のことを言っているのだ」と思われるかもしれないが、米ドルは、1971年まで金との交換が保証されていた兌換紙幣だったのである(米ドルを持ち込んで、金と交換することができたのは外国政府だけで、個人はできなかったが)
兌換紙幣が歴史上初めて発行されたのは、1800年代前半のイギリスだったと言われている。
この動きに欧州諸国が追随して、1800年代後半になると、兌換紙幣の流通が国際的な流れとなった。
日本においても、明治維新後の1871年から兌換紙幣である円が発行され、銀との交換が保証されていた。
日本は幕末から金の海外流出が続いており、明治維新後しばらくは円と金との交換が難しい状態が続いたため、円は銀との交換が可能な兌換紙幣だった。
日清戦争の勝利で清から得た賠償金によって、日本は金本位制への移行が可能になった。
第二次世界大戦後、アメリカが世界経済の覇権を握ることになり、世界一の金保有量を保有していたため、兌換紙幣である米ドルと各国の通貨が、外国為替市場で間接的に結びつく金本位制が採用された。
しかしながら、1971年のニクソン・ショックによって、米ドルは兌換紙幣ではなくなり、各国は不換紙幣を基にした管理通貨制度に移行していくことになる。

仮想通貨が信用できないのは不換通貨だから?

http://bitlife.cryptopie.com/wp-admin/post-new.php#category-add
日本国内で買い物をしたり、サービスを受ける場合、我々は日本円を使うことになっている。
あまり意識することはないが、これは重要なポイントである。
日本円は日本における法定通貨であり、法律によって強制通用力があることになっている。
ビットコインでも買い物ができるところが増えているが、ビットコインなどの仮想通貨は法定通貨ではなく、強制通用力があるわけでもないのに、財やサービスと交換できるところが登場しているのだ。
つまり、受け取る側が認めてくれれば、法定通貨でなくても、通貨としての役割を果たせるということだ。
「通貨とは何か?」という命題に対して、マルクスやケインズなどがさまざまな説を唱えてきたが、いまだに明確な回答は得られていないと考えられている。
そんな中、ブロックチェーン業界で金の信用力を背景にした仮想通貨を取り扱う企業が登場した。
その名は、「GoldMint, PTE, LTD」である。

金保有量以上の仮想通貨は発行しない仕組み

ビットコインが高騰を続けている理由の一つとして、発行上限の存在があげられている。
ビットコインはプログラムの中にコードが存在しており、2,100万ビットコイン以上の発行ができないことになっている。
日本円や中国元のような法定通貨が外国為替市場で高騰を続けると、自国の輸出産業などへの影響が大きくなるため、政府や中央銀行が為替介入を行うことがある。
円や元についてはビットコインのような発行上限がないため、政府は外国為替市場で自国通貨を売却することが可能なのだ。
今回紹介するGoldMint, PTE, LTDは、2017年9月からICO(仮想通貨による資金調達)を実施予定である。
GoldMint, PTE, LTDが発行する仮想通貨であるGOLD cryptoassetsは、金と同じ価値を持つとウェブサイト上で説明されている。

金への投資と何が違うのか?

GoldMint, PTE, LTDのホームページでは、「1 GOLD cryptoassets = 1 REAL GOLD」と表示されており、GOLDcryptoassets は最新の金価格で売却することが可能と説明されている。
これは金本位制そのものであり、信用がそれほどないブロックチェーン業界のスタートアップ企業が発行する仮想通貨について、金価格での売却を保証することで、利用者に安心して購入してもらうための知恵であろう。
ただ、ここまでGoldMint, PTE, LTDのウェブサイトを読んでみて、1つの疑問が沸き起こった。
「GoldMint, PTE,LTDが発行するトークンであるGOLD cryptoassetsを買うのと、金に直接投資することと何が違うのか?」という疑問である。

GOLD cryptoassetsの保有者は金価格での売却を保証されることになるが、言い換えると、金価格が下がればGOLD cryptoassetsも下落することと同じことになる。
経済効果だけを考えると、金への投資とGOLD crptoassetsの購入に違いは感じられなかったが、GoldMint, PTE, LTDのウェブサイトでは、この点についても説明がなされていた。
GoldMint, PTE, LTDによると、「本物の金への投資はコストがかかる」らしい。
本物の金を買う場合、保管する金庫が必要になり、手元で保有するとなると盗難リスクも高くなってしまう。
業者を通じて金に投資をする場合でも、保管、盗難防止対策コストが発生し、それがさまざまな手数料になって購入者が負担することになる。
GoldMint, PTE, LTDであれば、利用者は金を直接保有するわけではなく、仮想通貨であるGOLD cryptoassetsをインターネット上で購入するだけだ。
GoldMint, PTE, LTDの創業者によると、直接金を保有するのではなく、GOLDcryptoassetsのような仕組みを経由した取引が、今後5年から7年の間で活発になるだろうと述べている。
また、GOLD cryptoassetsであれば、仮想通貨取引所でビットコインやイーサリアム、リップルなどの他のトークンに交換することも可能になる。
実際の金に投資をしたり、金を投資先としたファンドなどに資金を投入した場合、当然ながら他の仮想通貨と交換することはできなくなる。

競技用プール2個分の信用?

1800年代前半にイギリスで始まった法定通貨の金本位制は、1971年のニクソン・ショックで終結した。
その後、2008年にサトシ・ナカモトが仮想通貨の構想を論文で発表し、2009年からビットコインの運営が始まった。
2014年のマウントゴックス事件などがあり、ブロックチェーン業界は紆余曲折を繰り返してきたが、今度は金の信用力をバックにした仮想通貨であるGOLD cryptoassetsが登場したわけだ。
人類が発見した金の量は、競技用プール2個分程度しかないと言われている。
発行上限があるビットコインと同じく、金についても希少性が信用の源泉となっているのだろうが、法定通貨が放棄した金本位制の仕組みを採用した仮想通貨GOLD cryptoassetsが、今後どのような方向に進むのか元銀行員の私としては非常に興味がある。
GoldMint, PTE, LTDは、2018年第2四半期からフルサービスを行う予定になっている。
人類が放棄した金本位制度を、仮想通貨を使ってブロックチェーン業界で復活させようとしているGoldMint, PTE, LTDから目が離せない。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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