【Spectre】証拠金なしで金融取引可能なICO企業が誕生

ウェブサイトでICO企業の質が分かる

私は仮想通貨評論家として100以上のICO関連記事を執筆しており、多くのICO企業のウェブサイトやホワイトペーパー(ICO企業の事業計画書)を見てきている。

ウェブサイトが分かりやすくまとめられているICO企業の場合、ビジネスモデルも理解しやすくホワイトペーパーで説明されているケースが多い。これは偶然ではなく、ウェブサイトに気を使っているということは、経営者が細部にこだわってビジネスを展開している可能性が高いためだ。

ICO企業によっては、ホワイトペーパーを掲載していないところやホワイトペーパーがダウンロードできないケースもあったりして、いい加減なやり方をしている会社も結構あったりする。

ICOへの投資を検討する場合、ウェブサイトとホワイトペーパーをきちんと確認し、読みやすくできているかをきちんと吟味することが大切になってくる。また、一度ICO企業に連絡をしてみて、どれくらいのスピードで回答が返ってくるかをみてみるのもおすすめの方法だ。

最近は、チャット機能が充実したウェブサイトを用意しているICO企業がある。IDやパスワードなどの設定は不要であり、分からないことや不明点をその場で確認することができるため大変便利だ。

今回紹介するICO企業は「FIIT Trading Ltd.」というイギリスの会社で、「Spectre」というブランドのサービスを展開している。Spectreのウェブサイトにはチャット機能があり、何とCEOとチャットすることが可能になっている。

実際にSpectreのCEOがチャットに回答している可能性は低く、スタッフが代わりに対応しているのだろうが、プレゼンテーションの仕方としては非常にうまい。

ウェブサイトに住所があるICO企業は珍しい

ICO企業のウェブサイトやホワイトペーパーを読んだことがあればお分かりだろうが、所在地の住所を掲載しているICO企業はかなり少ない。今回紹介するSpectreは、ウェブサイトの最後部分にロンドンの住所を掲載している珍しいICO企業である。

レンタルオフィスの可能性があり、実際のオフィス状況がどうなっているかは行ってみなければ分からないが、ウェブサイトに住所を掲載しているSpectreは誠実な対応をしている印象を受ける。

「誠実な印象」はビジネスにおいて大変重要であり、ウェブサイト上で良い印象を与えているSpectreは、この時点で他のICO企業よりも有利な状況に立っていると考えられる。

証拠金なしで金融取引ができる

Spectreは「speculative tokenized trading exchange」の略であり、日本語に翻訳をすると「トークンによる投機的運用取引所」という感じだろう。Spectreは法定通貨、仮想通貨、株式などの金融取引が可能なプラットフォームを提供するとしている。

日本の仕組みと比較する場合、FX(外国為替証拠金取引)業者が分かりやすいだろう。FX取引を行う場合、FX業者で口座を開設して、証拠金を入金した上で取引を始めることが可能である。

日本の場合、25倍のレバレッジをFXでかけることができるため、100万円の証拠金を入れることによって、2,500万円のFX取引を行うことが可能だ(最近になって、「金融庁がFXのレバレッジを25倍から10倍に引き下げることを検討している」という報道が出ているが)。

少ない証拠金で、大きな取引を行うことができることがFXの魅力である。しかしながら、予想とは逆の動きをすると証拠金が吹き飛ぶリスクがある。Spectreが面白いのは、証拠金を入れることなく金融取引ができるインフラを提供しようとしている点である。

証拠金を入れずに金融取引を行う人に代わって、流動性を供給するのはSPECTREトークン(Spectreが発行する仮想通貨)の保有者たちである。SPECTREトークンに投資を行うことで、Spectreのプラットフォームで金融取引を行う人たちに対して資金を供給することになる。

SPECTREトークンの保有者たちがプールしている資金のうち、2パーセントだけが運用対象として差し出されることになっている。そのため、金融取引を行っている人たちが運用に失敗したとしても、残りの98パーセントの資金は影響を受けないとSpectreのウェブサイト上で説明されている。

Spectreのプラットフォームには感情をコントロールし、リスクを管理するなど金融取引を行う人たちを分析する機能が備わっているとホワイトペーパー11ページ目で説明されている。

SPECTREトークンの保有者たちは流動性を供給することによって、Spectreのプラットフォーム上で行われる金融取引から計上される収益の一部を配当として受け取る形になる。また、Spectreの経営チームは投資収益から一定の手数料を徴収し、組織運営を行っていく予定になっている。

日本にある既存のFX業者の場合、中央管理者が証拠金の状況を確認したり、相場急変時に証拠金の相殺処理を行ったりする仕組みになっている。そのため、多くの人員が必要になり、管理コストが高くなる傾向にある。

一方、Spectreはスマートコントラクトによって運営されているため中央管理が不要であり、すべて自動で手続きが執行されることになっている。最低限の人員で組織運営が可能であり、既存の金融業者よりもSpectreはコスト面で有利になっている。

当局関連手続きも準備済み

Spectreは、2017年11月17日から12月10日までICOを実施する予定である。ただ、ICO前の2017年9月に、Spectreはプラットフォームの一部を稼働させている。

また、他の多くのICO企業と違って、既にある金融商品を提供する仕組みであり、Spectreを運営するFIIT Trading Ltd.は、これまでに多くの顧客に金融取引サービスを行ってきているとウェブサイトで説明している。

さらに、Spectreは2018年第2四半期中にロンドンと欧州で、金融取引に関する免許を当局から取得する予定であると述べている。金融関連のサービスを提供するICO企業の場合、当局関連手続きについてウェブサイトやホワイトペーパーで言及しないところがある。

実際にサービスを始めても、後で当局から調査を受けビジネスを閉鎖させられるリスクが金融の分野では存在する。この点について、Spectreはきちんと考えているようで、ウェブサイト上で投資家に説明していることは評価されてもよいだろう。

SPECTREトークンの流動性が問題

Spectreは金融取引を提供するプラットフォームとして、かなり周到に準備されている印象を受けた。ただ、発行する仮想通貨であるSPECTREトークンが将来的に仮想通貨取引所で法定通貨や主要仮想通貨に換金、交換可能になる予定があるかどうかの説明がウェブサイトにもホワイトペーパーにも見当たらなかった。

金融取引を提供する企業の場合、流動性が最重要課題であり、SPECTREトークンが法定通貨に換金できるかどうかは投資家がもっとも気にするポイントのはずである。SPECTREトークンの流動性について興味がある人は、SpectreのウェブサイトからチャットでCEOに聞いてみるのがおすすめだ。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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