12月誕生のスーパー・ビットコインを紹介

2017年は既に3回分裂しているビットコイン

ビットコインは2017年8月のビットコイン・キャッシュを皮切りに、10月にビットコイン・ゴールド、11月にビットコイン・ダイヤモンドと既に3回の分裂を行っている。

11月中旬に予定されていたビットコインとSegwit2Xの分裂は、11月26日の記事でもお伝えした通り、メール1本でキャンセルが通知された。

仮想通貨が分裂することをハードフォーク(hard fork)と呼ぶが、これは食事の時に使うフォークの形のように、1つの仮想通貨が複数に分かれることからハードフォークと名付けられている。

今後、ハードフォークという単語を目にした場合は、テーブルの上に置かれているフォークのように分裂するということを思い出していただければ、分かりやすいだろう。

ビットコインは問題を抱えている仮想通貨

「なぜビットコインは分裂を繰り返すのか?」という疑問をお持ちの方がいるかもしれないが、それに対する一番分かりやすい回答は、「ビットコインが問題を抱えている仮想通貨であるから」ということになる。

2008年にサトシ・ナカモトがインターネット上でビットコインを提唱し、2009年から開発が始められ、2010年から実際に決済手段として利用されているビットコインだが、取引が世界中で拡大したことで、処理能力の問題を抱えることになった。

この記事を執筆している2017年12月時点で、ビットコインの決済には10分以上の時間がかかるようになってしまっているが、従来は瞬時決済に近い形で処理されていたのである。

また、日本円や米ドル、ユーロなどの法定通貨送金は手数料が高く、低コストで決済が可能であることもビットコインのキャッチフレーズの1つだった。

しかしながら、ビットコイン価格が2017年11月に10,000米ドルを突破し、日本円を銀行経由で国内送金する手数料よりも、ビットコインを送金するコストの方が高くなっており、大きな矛盾を抱える状況になっている。

現時点では、ビットコイン価格が上昇を続けていることから、この矛盾について指摘する声は小さいが、いろいろな意味でビットコインが問題を抱えている仮想通貨であることをお分かり頂けたのではないだろう。

スーパー・ビットコインは「ビットコインを再び偉大にする」

2017年に3回分裂しているビットコインだが、12月中にさらに5回分裂が予定されている。

その最初にビットコインから分裂したのが、スーパー・ビットコインである。

スーパー・ビットコインは公式ウェブサイトを公開しており、アメリカのトランプ大統領の決めゼリフをもじって、「ビットコインを再び偉大にする!(Make Bitcoin Great Again!)」と宣言している。

スーパー・ビットコインの特徴の1つに、スマート・コントラクト機能がある。スマート・コントラクトというと、イーサリアムの専売特許のようなイメージをお持ちの方が多いかもしれない。

10月24日に紹介したコラムでも、スマート・コントラクトについて、「家を自動販売機で買うような仕組み」であると説明した。

ICOに投資をしたことがある方はご存知だと思うが、ほとんどのICO企業がイーサリアムのプラットフォームを活用しており、その背景にはイーサリアムのスマート・コントラクト機能があるのだ。

ビットコインは世界でもっとも有名な仮想通貨であり、決済機能の強さから支払いなどに使われることは多くなっているが、スマート・コントラクトの作成には不向きであると考えられている。

今回紹介するスーパー・ビットコインは、ビットコインにスマート・コントラクト機能を追加する予定になっており、2018年3月31日からスマート・コントラクトが利用可能になるとウェブサイト上で説明している。

ICOならぬIFO

スーパー・ビットコインのウェブサイトを見ていると、何となくICO企業のホームページに見えてくるから不思議である。

スーパー・ビットコインのウェブサイトには、ICO企業で用意されているようなホワイトペーパーはさすがになかったが、ロードマップやよくある質問(FAQ)、経営陣の顔ぶれや特徴など、ICO企業のウェブサイトで目にするような項目が並んでいる。

海外のメディアでは、ICOではなくIFO(Initial Fork Offering)という言葉が使われており、ビットコインがあまりにも分裂するために、皮肉交じりにIFOと呼ばれ出しているようだ。

匿名性の問題も解決できる

ビットコインが抱える大きな問題として処理能力が一番にあげられるが、プライバシー性についてもさまざまな方面から指摘を受けていた。

アメリカの税務当局が、仮想通貨取引を調査する専門の業者と協働してビットコインの取引履歴を確認しているというニュースが海外で流れているが、ビットコインは匿名性がそれほど高くない仮想通貨という認識を受けている。

スーパー・ビットコインは、高いプライバシー性を実現した仮想通貨として有名なZcashと同じゼロ知識証明という技術を、2018年5月31日から導入する予定になっている。

ビットコインの場合、ブロックチェーン上でアドレスが公開される仕組みになっており、プライバシーを重視する利用者の中には、ビットコイン取引の匿名性に懸念を抱く声が従来からあったのだ。

スーパー・ビットコインに採用されるゼロ知識証明があれば、Zcashと同じく送金者や決済金額などを隠した状態で処理が可能であるため、アメリカ政府が行っていると噂されているビットコインの取引履歴確認などを心配する必要がなくなる。

処理能力はビットコインの8倍

スーパー・ビットコインはビットコインの8倍の処理能力を実現する予定であり、長い決済時間が問題になっているビットコインの弱点を克服することが期待されている。

スーパー・ビットコインの処理能力は、2017年8月に誕生したビットコイン・キャッシュと同じになっているが、スマート・コントラクト機能と高いプライバシー性を実現しているところが、スーパー・ビットコインの持ち味のようである。

スーパー・ビットコインのウェブサイト上「よくある質問」部分で、ビットコインが処理能力の問題を抱えていることを強調している。

本来であればもっと価格上昇余地があったにもかかわらず、ビットコインの処理能力が限られていることで、上値が抑えられていたとスーパー・ビットコインは言いたいようである。

また、イーサリアムのスマート・コントラクト機能とZcashのゼロ知識証明を、ビットコインはもっと早く備えつけるべきだったとスーパービットコインは主張しており、それが達成される予定であることを誇らしげにウェブサイト上で説明している。
今後もスーパー・ビットコインから目が離せない。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする