【Bitrent】海外不動産への投資はICOで簡単にできる?

バブルは予想以上に長く続き、一気に弾ける

バブルが起こっている際によく聞かれる言葉として、「今回はちがう(This time is different)」というものがある。2000年代前半にアメリカでITバブルが起こった時も、ニューエコノミーと呼ばれる新しい理論が経済学界や金融界を席巻した。

現在のビットコインも「バブルである」と警報を鳴らす金融関係者がいる一方で、仮想通貨投資家は「需要があるからもっと上がる」と反論している。

バブルの研究に興味がある方は、「国家は破綻する:金融危機の800年、カーメン・M・ラインハート他(日経BP社、2011年)」を一読すると良いだろう。

「国家は破綻する」の原題は「This time is different」であり、「今回はちがう」というバブルの時に多くの人が口にする言葉が、本のタイトルになっているのだ。

1990年前後の日本におけるバブルについても本著は分析しており、600ページを超える大著であるが、仮想通貨価格の今後を占う上で読んでおいて損はない資料である。人類が最近経験したバブルとしては、アメリカの不動産バブルがある。

2000年代前半からアメリカの不動産価格上昇が明らかになっており、銀行や証券会社で働いていた人たちの中には、「遅かれ早かれ調整が起こる」と分析していたのだが、サブプライム・ローンの拡大もあって、アメリカの不動産バブルはどんどん大きくなってしまった。

2007年にフランスの大手金融機関であるBNPパリバが、サブプライム関連ファンドの解約を凍結すると突然発表し、これが金融危機の引き金になったと金融関係者は考えている。

2008年9月にリーマン・ブラザーズが破たんしたことで、世界的な金融危機に発展し、欧米を中心に、政府が天文学的な公的資金を銀行などに注入する事態になった。

「アメリカの不動産価格は高すぎ」と長らく言われていたが、結局その後、数年程度バブルは崩壊することなく続き、一気に弾けたことになる。

「バブルが弾ける前に、バブルであることを確認することはできない」というアラン・グリーンスパン連邦準備制度理事会元議長の名言がある通り、現在のビットコイン価格がバブルであるかどうかは誰にも分からない。

ただ、バブルは多くの人が考えている以上に長く続く傾向にあり、一気に弾けるという特徴がある。このことを知っているだけで、投資の失敗を防げる可能性が高くなるだろう。

アメリカの不動産バブルの話を出したのは、今回紹介するICO企業が不動産投資サービスを提供しているからである。

その会社はイギリスに本拠地を置いており、「Bitrent」という分かりやすい社名がついている。

不動産投資と相性が良いスマートコントラクト

2017年11月にフランスのGDPがイギリスを追い抜き、世界5位に浮上したことがニュースになっていたが、イギリスはヨーロッパ連合からの離脱などもあって、法定通貨であるポンドが乱高下しており、いろいろと大変な状況になっているようだ。

今回紹介するICO企業であるBitrentはイギリスに登記されているが、世界中の不動産に誰でも簡単に投資できるプラットフォームを提供するとしている。

9月15日に掲載した記事で紹介したKexcoinは、大学のキャンパス周辺の不動産に投資することが売り文句だった。

この記事を執筆しているのは11月27日だが、KexcoinはICOを行って価格がつき始めた9月下旬と比較して、現時点で倍以上に価格が上昇している。

BitrentはKexcoinと違って、居住用不動産だけではなく、ホテルやショッピングセンターなどの商業用不動産に対しても投資を行う予定になっている。

銀行や証券会社などで投資信託を購入したことがある人であれば、「Bitrentはリートの仕組みに近いのかな」と感じたかもしれない。

リートとは、不動産会社の株式に分散投資する投資信託であり、不動産を購入することに近い経済効果を得られると考えられている。

しかしながら、投資信託の場合、資産保全プロセスや法定書面作成などでコストと時間がかかるため、投資パフォーマンスを圧迫するというデメリットがある。

ICO企業の場合、自社のウェブサイトで資金調達を行い、直接不動産に投資を行うことになるため、投資信託のようなムダなプロセスやコストが不要であり、効率的に業務を行えるというメリットがある。

10月24日に掲載した記事で、「イーサリアムは家を自動販売機で買う仕組み」とお伝えしたが、スマートコントラクトは不動産と相性が良いのである。

不動産を購入するとなると、不動産会社の従業員はもちろんのこと、法律家などのありとあらゆる仲介者が出てきて(住宅ローンを借りる場合、銀行員も登場するだろう)、書類にサインをするだけで半日かかることになりかねない。

「自動販売機で家を買える」とスマートコントラクトを比喩したのは大げさではなく、オンラインで自動契約執行が可能であり、仲介者を排除できるブロックチェーンのプラットフォームは不動産投資に向いているのである。

チェック機能がききにくいことがデメリット

不動産投資にスマートコントラクトが向いており、仲介者がいない状態ですべての契約を自動で執行できることが最大のメリットなのだが、一方でチェック機能がききにくいというデメリットも存在している。

こちらのサイトでも何度か紹介しているが、2017年9月29日にアメリカの証券取引委員会(以下、「SEC」)が2つのICO企業とその経営者を告発した。

このICO企業はダイヤモンドと不動産に投資を行い、発行した仮想通貨の保有者たちに利益を還元するビジネスモデルを、ウェブサイト上で説明していたとされる。

Bitrentの場合、2017年12月にICOを実施し、2018年4月にプラットフォームをリリースして、6月に10カ国、10月に25カ国で不動産投資を開始するとウェブサイトのロードマップ上で説明を行っている。

ただ、ICO企業がウェブサイト上で宣言していることやホワイトペーパー上で予定として立てている内容が実行されなくても、法的な問題が発生するわけではない。

不動産投資信託であるリートの場合、金融機関で投資を行う前に契約締結前交付書面を投資家は確認することになっている。

投資信託は金融商品取引法などの法律によって制限を受けている金融商品であり、販売会社である金融機関が倒産した場合であっても、投資家の資産は影響を受けないような仕組みが整備されている。

一方、ICO企業の場合、「不動産に投資を行う」と宣言しながら実行できず、経営が行き詰ってしまうと、投資家の資金は返還されない可能性が高くなってしまうというリスクがあるのだ。

日本をはじめとして、世界中でICOに対する法規制が整備されておらず、このデメリットは世界共通で存在しているのだが、ICOに実際に投資をする前にこの事実を確認しておく必要があるだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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