【コインマンと考える】ICOの格付けは可能なのか?

投資信託評価会社がICOの格付けを開始

最近は新聞の紙面で仮想通貨やICOの話題が登場することが増えており、そのおかげで仮想通貨評論家コインマンとして、私も記事執筆の依頼を受けるケースが多くなっている。

そんな中、2017年10月11日の日本経済新聞朝刊で、投資信託を評価している会社であるモーニングスターが、ICOの格付けを10月中に開始する予定であると報じられた。この記事を読んで、私は久しぶりにエキサイトしたことを覚えている。

私は金融機関で働いていた時、運用業務にも携わっていたため、投資信託業界におけるモーニングスターの影響力を理解しており、このニュースが与えるインパクトの大きさについて身を持って感じたからだ。

投資信託を購入する人はモーニングスターのウェブサイトに入り、手数料が安い金融機関をリストアップし、その中から自分が口座を持っている銀行や証券会社を探すという行動を取るケースが増えている。

投資信託とICOの違いはいろいろとあるが、相違点の一つとして銀行や証券会社などの販売会社を通すかどうかということがある。

投資信託の場合、運用会社が顧客に対して直接商品を販売することは少ない。一方、ICOの場合は仮想通貨を発行する企業が直接投資家にトークンを販売する形態を取っている。

仮に、ICO企業が発行する仮想通貨の販売を、投資信託のように銀行や証券会社経由で行うと、仲介者(ICO企業がもっとも忌み嫌う存在だ)が入ってくることになる。

ICO企業は仮想通貨を利用してインターネット上で決済を行うが、投資信託の場合、法定通貨で売買を行うことになる。

法定通貨決済の場合、銀行や証券会社の力を借りなければならないというインフラ面の問題もあり、投資信託は販売会社を通しているということもあるだろう。

投資信託とICOの最大の違いとして、法整備があるかどうかという点がある。投資信託の場合、顧客の資産は信託銀行などの第三者が保全する仕組みになっている。

そのため、投資信託の運用会社や販売会社の経営が行き詰った場合であっても、投資家の資産が棄損しないことになっている。

一方、ICOに投資された資金の場合、ICO企業がどのように管理しているのか、よく分からないケースが多い。

「会社資産と顧客資産は分別管理します!」とウェブサイトやホワイトペーパーで宣言しているICO企業がときどきあるが、具体的にどのような保全措置を取るのかを記載しているケースはほとんどない。

モーニングスターは、これまで培ってきた投資信託の評価ノウハウをICOにも適用すると報道されている。実際に格付けが始まったら、どのようなやり方をしているか調べた上で改めて皆様に報告したい。

2008年の金融危機を読めなかった格付け機関

投資信託の評価機関であるモーニングスターが、ICOの格付けを開始すると報じられたわけであるが、格付け機関というとムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズなどを思い浮かべる人が多いだろう。

「なぜ格付け機関というものが存在するのか?」という疑問をお持ちの方がいるかもしれないが、既存の金融システムの中では、格付け機関がないと国家や企業が起債を行いにくいという事情がある。

若干マニアックな話になるが、国家や企業が発行する債券の格付けがダブルB(BB)以下になると、担保価値がない資産(投資不適格債券)と見なされる。

品のある言い方をすると「ハイ・イールド債」、品のない言い方の場合は「ジャンク債」になるが、こうなってしまうと国家や企業は起債が難しくなってしまう。

市場から、「ダブルB以下の債券=債務不履行を起こす可能性大」というレッテルを貼られてしまうからである。

そのため、国債や社債を発行する国や企業は格付け機関の動向を無視することができず、より高い格付けを得るために財政規律を正し、財務状況を改善するために努力するわけである。

但し、最高位の格付けであるトリプルA(AAA)を得ている債券が絶対安心かと言うと、決してそんなことはない。

2007年にフランスの大手金融機関であるBNPパリバがサブプライム関連ファンドの解約停止を突然発表し、これが2008年の金融危機の引き金になったと言われている。

BNPパリバがファンド解約停止の発表を行う前、これらのサブプライム関連商品のほとんどにトリプルAの格付けが行われていた。

しかしながら、サブプライム危機が明らかになると大手格付け機関は、これらの金融商品の格付けを投資不適格のダブルB以下に引き下げ、世界の金融関係者からひんしゅくを買った。

金融機関などの機関投資家だけではなく、個人投資家も格付けの高さからサブプライム商品を購入していたのである。

しかしながら、何の前触れもなく「昨日まではピカピカのトリプルAだったんだけど、今日からジャンク債になったので宜しくね!」という恐怖のカードを格付け機関から突きつけられたわけだ。

その後、サブプライム関連商品を保有していた金融機関や投資家がどのような末路をたどったかはご存知の通りである。私が勤務していた金融機関を含め、欧米の銀行などに天文学的な公的資金が投入され、大規模な人員削減が行われた。

2008年の金融危機は不動産バブルで調子に乗った金融機関と、そこで働いていた先の読めなかった従業員(私も含めて)に大きな責任がある。

しかしながら、サブプライム関連債券の格付けを最高位からいきなり投資不適格に変更した格付け機関にも問題があったことは明らかである。

この辛い過去(?)から学べることとしては、格付け機関の言うことは当てにならないということだ。

ICOをどうやって格付けするのか?

世界中でICOが活発に行われており、主要金融機関の中で仮想通貨の取り扱いを検討する動きが出始めている。金融機関が仮想通貨の取り扱いを行う場合、格付けが必要になってくる。

金融機関の仕事は流動性を供給することである。投資家が金融機関経由で仮想通貨を購入すると、それを担保にしてローンを組みたいというニーズが出てくる。

金融機関としては、仮想通貨に担保を設定するために第三者からの価値評価が必要になる。そこで、格付け機関の登場ということになる。

しかしながら、格付け機関がICOや仮想通貨を格付けするのは簡単な作業ではない。自分で言うのも何だが、私は数百のICO企業を調べてきた日本屈指のICOマニアである。

国家や企業を格付けする場合、格付け機関はチェックリストに基づいて格付けを行うことができる。

国家であればGDP比の財政赤字額や税収状態、企業の場合は財務諸表の状態や決算の見通しなど、具体的な数字に基づいて分析し、格付けをつけることが可能だ。

しかしながら、ICO企業の場合、ウェブサイトの記載方法がまちまちであり、ホワイトペーパーが掲載されていないところすらある。

ウェブサイト上に英語とロシア語が混在しており、何が何だか分からないICO企業もあったりして、チェックリストに基づいて長らく仕事をしてきた格付け機関の方々にとってはチャレンジングな局面になるだろう。

そんな時は、元外資系金融マンで日本初の仮想通貨評論家である私コインマンに相談することが解決策だ。ICOへの格付けでお悩みの関係者がいらっしゃたら、お気軽にご相談下さい。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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