【あなたは大丈夫?】インチキICOにだまされたらどうする

アメリカの金融当局がICO企業を告発!

私は仮想通貨評論家としてさまざまな記事を執筆しており、海外の仮想通貨ニュースをまとめる仕事もしている。日本ではそれほど話題になっていないが、金融庁が国内の仮想通貨取引所11社の登録を完了(2017年9月29日)したことについて、海外ではちょくちょく報道されている。

中国では2017年9月に当局からICO禁止措置の発表があり、取引を停止する仮想通貨取引所が出始めている。韓国でも金融当局によるICO禁止措置が取られ、仮想通貨の信用取引も禁止するという発表が行われた。

中国と韓国がICOを禁止する中、日本では仮想通貨取引所の登録制度が始まり、2017年10月から登録済みの取引所が運営されていることについて、海外の仮想通貨投資家から評価する声があがっている。

日本の大手仮想通貨取引所のウェブサイトに入ると、英語はもちろんであるが中国語対応をしているところがあり、中国語圏の人で日本の取引所を利用するニーズがあることを確認できる。

日本の場合、「仮想通貨法」とも呼ばれている改正資金決済法(2016年成立、2017年施行)の中にICOの規定がないため、新しく仮想通貨を発行したいと考えている企業の経営者たちは、どうすればよいか分からない状況が続いていたとされる。

ただ、仮想通貨関連ビジネスによって雇用が増加し、経済が拡大することを日本政府は期待しているとされる。そんな中、日本でICOを行うことについて問題がないという見解を持った企業が出始め、ICOによって40億円以上の資金調達に成功しているところもある。

日本の場合、ICOを実施する企業があらかじめ金融庁に相談をしている可能性があり、不正な仮想通貨発行が難しいという事情があるようだ。

しかしながら、海外では当局への相談などせずに、自由気ままにICOを実施しているところがあり、その中にはウェブサイト上での説明と実際のビジネス運営が大きく異なっており、金融当局から摘発を受けるところが出てきている。

2017年9月29日、アメリカの証券取引委員会(SEC)がICO企業2社とその創業者について、法令違反が確認されたとして告発したことを発表した。

金融当局がなぜ動くか知っているか?

私は金融機関で当局対応として働いていたことがあり、その時は金融庁などの窓口になっていた。どこの国でも似たりよったりであるが、金融当局が動き出す最初のきっかけは投資家からの通報であることが多い。

金融機関と投資家がもめる最大のきっかけは、「損失の発生」である(非常に分かりやすい)。金融機関のすすめによって購入した商品が値上がりし、利益が出ているのに文句を言う投資家はいない。

金融機関とやり取りをして損失が発生した場合、すべてを納得した上で投資判断をしていたとしても、投資家は「あの金融機関が悪い」と考えがちである。金融機関側に不正の疑いがあったり、法令違反の可能性があれば、投資家は金融庁に通報を行うことができる。

アメリカなどの主要国の金融当局もウェブサイトに通報用サイトを設けており、投資家はここから連絡することが可能だ。通報を受けて金融当局がすぐに動くかどうかは国によって違うと思うが、日本の場合は比較的すぐに当局が対応する傾向にある。

今回、アメリカのSECがICO企業2社とその創業者を告発した理由として、投資家向けの説明と事実が大きく異なっていたことが述べられている。告発されたのはMaksim Zaslavskiyという人物であり、彼が経営していたDiamond Reserve Club FoundationとREcoin Group Foundationという2つのICO企業で不正が行われていたとされる。

Diamond Reserve Club Foundationはダイヤモンドに投資を行い、ICOで仮想通貨を購入した投資家に対して、ダイヤモンドをディスカウント価格で提供するビジネスモデルを説明していたようだ。

REcoin Group Foundationは不動産に投資をすることで収益を上げ、ICOに参加した投資家たちに対して、運用利益を還元する仕組みを目指していたとされる。

しかしながら、実際にはダイヤモンドや不動産ビジネスを行っていなかったとされる。REcoin Group Foundationは、20億米ドルから40億米ドルを調達済みと発表していたが、実際には30万米ドルしか集まっていなかったとSECは指摘している。

興味のある人は、SECの公表資料に詳細が記載されているのでウェブサイトを覗いてみるとよいだろう(英語しかないが)。発表資料を読むと、SECは今回のインチキICOについてかなり怒っているように感じる。

金融秩序を守る金融当局として、「似たようなことをしたICO企業は、SECが容赦なく取り締まるからな!」という強いメッセージをSECから感じる文体になっている。

アメリカのSECがICO企業2社とその創業者を告発したきっかけの詳細は不明だが、投資家が当局に通報したか、政治家に話を持ち掛けた可能性がある。

政治家にコネクションがない人の場合は、当局のウェブサイトなどから通報するしかないが、政治家にパイプがあれば、そのルートで文句を言う方が政府の動きは早くなる確率が高い(これは日本でも同じだ)。

まずは金融当局に通報

海外で行われているICOに参加し、どうやらインチキであると分かった場合、まずやることは当局への通報である。そのICO企業がある国の金融当局のウェブサイトに入り、状況を報告することが最初のステップである。

ただ、海外の当局への連絡になるため、当然のことながら日本語は使えない。英語圏であるアメリカやシンガポールに本拠地があるICO企業にだまされてしまった場合、現地の金融当局のウェブサイトに入り、英語で通報を行うことになる。

最近は日本語のウェブサイトやホワイトペーパーを用意している海外のICO企業が多くなっている。しかしながら、トラブルが発生した場合であっても日本語でやり取りをすることはほぼ不可能である。

また、海外のICOに参加する場合、その企業がどこにあるかもきちんと確認しておくことが重要だ。英語が出来るのであれば、英語圏でトラブルになっても、英語で当局に通報することができる。

しかしながら、英語圏以外にあるICO企業の仮想通貨に投資し、トラブルに巻き込まれてしまうと結構大変である。英語でも大変な当局への通報を、それ以外の言語でやることは極めて難しいだろう。

株式を公開するイニシャル・パブリック・オファリング(IPO)の場合、上場前に証券取引所の審査があり、監査も入るため不正は発生しにくい。しかしながら、ICOの場合、ほとんどの国で法整備などが行われていないため、自己責任で投資を行うしかないのが現状だ。

日本国内のICOに参加して問題が発生した場合は、金融庁のウェブサイトから通報することが最初の対処法である。金融庁は金融秩序を守る官庁であるため、インチキICOに対して何らかのアクションを起こしてくれる可能性がある。

ただ、改正資金決済法にはICO規定がないため、問題発生時にどの法律に基づいて調査を行うかなどの課題がある。どの国でもそうだが、ICOへの参加は法整備がない中での投資行動であることを肝に銘じ、余裕資金で行うことが大切である。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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