【Loci】知的財産権を流動化できるICOが登場

インターネットの登場でクリエイターは報われなくなった?

インターネットの登場によって、あらゆる取引やビジネスがオンライン上で行われるようになり、仮想通貨評論家コインマンという私のような新しく謎(?)のビジネスパーソンであっても、普通に生活ができるようになった(大変ありがたいことだ)。

ただ、インターネットがこの世に出てきたことによって、消えてなくなったり、青色吐息になっているビジネスや産業も多い。

日本は例外的にCDショップが結構残っているが、アメリカなどの主要先進国ではスマートフォンで音楽を聴く層が圧倒的に多くなり、店舗型のCDショップはなくなりつつある。

また、従来はテレビやラジオなどでリアルタイムに放送されている間に視聴しなければならなかったコンテンツについて、YouTubeなどで無断投稿されるケースが相次いでいる。

著作権を持っているテレビ局やラジオ局などがYouTubeに通報して、投稿動画の削除依頼を行っているが、日本語だけではなく、あらゆる言語で投稿されていることもあって、イタチごっこの様相を呈している。

小説や文学、漫画などの伝統的な紙コンテンツについても、最近は海賊版がインターネット上で溢れており、これが出版社の収益を圧迫し、中小の書店などは街から姿を消しつつある。

そんな中、日本はブログ大国としてプロ・ブロガーと呼ばれる職業の人が登場しており、アフィリエイト報酬などによって多額の収益を計上できているケースもある。

インターネットによって恩恵を受けているプロ・ブロガーや私のような人間がいる一方で、競争構造が根本的に変わった産業があったり、著作権を踏みにじられるクリエイターがいたりして、悲喜こもごもの状況になっているわけだ。

そんな中、インターネット上で氾濫している海賊版コンテンツを撲滅し、知的財産権を流動化して、クリエイターが報われる世界を創り出そうとするICO企業がアメリカ合衆国で登場した。その企業の名は、「Loci」である。

プロセスに革命を起こすことがLociのミッション

Lociのビジネスモデルは非常に分かりやすくなっており、ホワイトペーパーの3ページ目でLociのミッションとして、「特許や発明のプロセスに革命を起こし、イノベーターたちによる新しい波を起こす」ことを掲げている。

Lociが革命を起こそうとしている「知的財産権の利用プロセス」はあまり身近に感じない方が多いかもしれないが、結構ありとあらゆるものが特許や商標などの知的財産権と結びついているものなのだ。

こちらのニュースサイト「bit-life(ビットライフ)」で2017年11月8日に掲載された記事「【Tokenza】副業?フリーランス?簡単に資金調達するなら」で登場した私の行きつけの歯医者の先生も、知的財産権の問題で地団太を踏んだ一人である。

詳細は11月8日の記事をお読み頂きたいが、現在の特許登録システムにはいろいろな点で不備があり、紙の書類を届け出なければならないという根本的な問題もあって、オンライン全盛の現代に行政側が追い付いていないという事情もある。

今回紹介するLociはこの辺りの問題をブロックチェーンによって改善し、不正が発生しにくいスマートコントラクトで知的財産権を流動化させて、コンテンツ・クリエイターと利用者の間で自動契約を執行するプラットフォームを提供しようとしている。

クリエイターは仮想通貨をもらえればハッピー

私は現在、仮想通貨評論家コインマンとして仮想通貨関連の記事を執筆しており、こちらの「bit-life」や他の仮想通貨ニュースサイトに情報を提供している。

ただ、Lociのプラットフォームを使うことで、私が提供する情報が違う形で活用することが可能になりそうだ。

仮に、私の仮想通貨関連ニュースや記事などを、独占的に読みたいという大変心の広い読者の方がいたとしよう。その人は、Lociのインフラで「仮想通貨評論家コインマン」の知的財産権を購入することが可能になるわけだ。

この心の広い読者の方をAさんとすると、AさんはLociが発行する仮想通貨であるLOCIコインを購入し、Lociのプラットフォーム経由で「記事を買いたい」という連絡が私宛に来る仕組みだ。

私は、Aさんが提示するLOCIコイン建ての金額を確認し、同意すればスマートコントラクト上で自動的に契約が執行され、知的財産権が流動化された形になってクリエイター(?)である私もハッピーになるというシナリオをLociは描いているようだ。

しかしである。私を含め、世界中のクリエイターは法定通貨ではなく仮想通貨であるLOCIコインをもらって、モチベーションが上がるだろうか?

LOCIコインは、Lociのプラットフォーム上でやり取りされるための仮想通貨であるため、LOCIコインを報酬として得たクリエイターは、他のクリエイターのコンテンツなどを購入することができる。

しかしながら、LOCIコインは法定通貨ではないため、当然ながら家賃や光熱費などの生活費に充当することはできない。

また、LOCIコインは現時点で仮想通貨取引所で流通する予定がなく、将来的に米ドルやユーロなどの法定通貨やビットコインやイーサリアム、リップルなどの主要仮想通貨と換金、交換できるか不透明な状況である。

Lociは2017年12月6日から12月31日までICOを実施する予定で、LOCIコインを発行して最高1,900万米ドルの資金調達を行う予定になっている。

クリエイターを応援したい人や特許、商標登録などの知的財産権のやり取りを仕事で行っている人などにとって、LOCIコインは魅力的な投資先に映るかもしれない。

LociがICOを行った後、LOCIコインの価格が上昇するかどうかは分からないが、知的財産権を業務にしている場合であれば、何らかの形でLOCIコインが役立つ時が来るかもしれないからである。

スマートコントラクトは言葉の壁を乗り越えられない?

アメリカに住んでいる人や英語圏で生活している方にとって、Lociは興味深いビジネスに見える可能性があるが、英語が使われていない世界中の地域でLociが大きく受け入れられるかというとかなり微妙だろう。

スマートコントラクトは仲介者不在で、契約を自動的に執行できることが売り文句になっているが、実はこれには前提があるのだ。

商品やサービスを提供する人と利用者が、同じ言葉を使う必要があるという前提である。

仮想通貨評論家コインマンである私がいくら素晴らしい記事を日本語で提供しても、英語しか分からない人にとって、私が出す情報の価値はゼロに等しいだろう(残念だが)。

私の場合、日本語で執筆した記事を自分で英訳することも可能であるが、それをしていると手間だし、そこまでしてLociのプラットフォームを使うインセンティブがあるかというと、正直言って「ない」というのが現実である。

アメリカは世界最大の経済大国であり、訴訟大国でもあるため、Lociが提供する知的財産権のやり取りを行うためのプラットフォームは需要があるだろう。しかし、英語圏以外の地域で、Lociが拡大できるかは未知数なのである。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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