モロッコ政府が仮想通貨取引の禁止を検討

モロッコからの珍しいニュース

2017年9月に中国政府と韓国政府がICO禁止措置を発表し、仮想通貨全般の価格が大きく下がり、9月はいろいろな意味でインパクトが大きい月になった。

中国政府が国内におけるICO禁止措置を発表した背景には、インチキICOや詐欺コインの被害が報告されていたことに加えて、ICO経由で中国国外への資金流出につながっていると中国政府が懸念したという見方がある。

また、韓国政府はICOの禁止に加えて、国内の仮想通貨取引所におけるレバレッジ取引(信用取引)の禁止措置も発表し、投機的な動きを制限する方向に舵を切ったとされる。

韓国政府は、日本政府が2016年に国会で成立させた改正資金決済法(施行は2017年)と似たような法律の制定に動いているという報道が以前は出ていたのだが、2017年9月のICO禁止措置発表後、目立った動きは止まっているようである。

その後、各国の中央銀行幹部や政府関係者がビットコイン取引などにコメントをしたり、金融当局が仮想通貨取引について「証券取引と見なす可能性がある」などの声明を発表する動きはあったが、仮想通貨取引やICOを全面禁止する措置を取る国はあまりなかった。

そんな中、北アフリカのモロッコで仮想通貨取引が全面禁止される可能性があるという報道が出ている。

仮想通貨業界でアフリカが登場するケースはあまりなく、アフリカ大陸からICO企業が出てくることもまれである。

仮想通貨の世界において、モロッコはほとんど登場する機会がない国であるが、珍しく北アフリカから「仮想通貨取引全面禁止の可能性あり」という知らせが届いたことになる。

今後数カ月の間に、モロッコ政府がビットコインなどの仮想通貨取引を全面的に禁止する措置を発表する可能性があると海外のニュースが報じたのだ。

ICO禁止措置と仮想通貨取引禁止の違い

前述の通り、中国と韓国ではICOが禁止されているため、ICO企業が両国で登記を行うとはできなくなっている。

ただ、中国と韓国でICO関連の仕事がまったくできないかというと、実情はそうではないようである。

中国や韓国でICOを検討していた会社は、本拠地をヨーロッパやアジアの他の地域に移し、登記だけ別の国で行うことが多くなったのだ。

また、中国政府はブロックチェーン技術開発には熱心であるとされており、ICO企業が中国に拠点を持って(本拠地は中国の外にある)、開発者を擁することは問題ないと判断しているところが多くなっている。

中国と韓国でICOが禁止されて以降、日本の仮想通貨取引所に口座を開設しようとする中国人や韓国人が増えていると言われており、大手取引所の中には中国語と韓国語に対応したウェブサイトを用意しているところもある。

ICOを国内で禁止したとしても、国外で実施されているICOに参加している中国人や韓国人は多く、その証拠に中国語と韓国語に対応しているウェブサイトを持つICO企業がたくさんある。

一方、報道されているようにモロッコ政府が仮想通貨取引全般を禁止する場合、モロッコ人やモロッコに住んでいる人たちは、仮想通貨自体の売買を行うことができなくなる。

ただ、モロッコ政府が仮想通貨取引をすべて取り締まれるかというとかなり微妙だろう。

11月22日の記事「ICO後の仮想通貨を購入する取引所を紹介 」で草コイン取引所の紹介をしたが、これらの取引所では本人確認を行っておらず、メールアドレスがあれば世界中どこからでも取引が可能になっている。

仮にモロッコで仮想通貨取引が全面禁止されても、モロッコ人やモロッコに住んでいる人たちは、インターネットにつながっているパソコンやスマートフォンがあれば、これらの取引所で仮想通貨の売買を行うことができるわけだ。

中国や韓国が行っているICO禁止措置の場合、ICO企業がこれらの国で登記を行うことができなくなっているため、当局がモニタリングすることが可能だが、仮想通貨取引を政府が全面的に禁止するのは不可能に近いと考えられている。

モロッコ財務省は既に声明を発表済み

モロッコの財務省は仮想通貨取引に対する声明を既に発表しており、仮想通貨取引が「証券取引法や関連規制に抵触する可能性がある」と説明している。

アメリカや日本、シンガポール、タイ、香港などの国でも、モロッコ財務省と似たような声明が発表されており、アメリカの証券取引委員会は9月29日に2つのICO企業とその経営者を告発している。

モロッコ政府の動きに対して、モロッコ国内の仮想通貨業界は動き出しており、仮想通貨取引の禁止を政府が打ち出すことは、経済や金融にとってマイナスであるという意見を出しているようである。

ビットコインなどの仮想通貨取引を全面的に政府が禁止することは、検閲の一種であると唱える専門家もおり、今後モロッコ政府がどのような発表を行うか注目が集まっている。

仮想通貨取引は国の自由度をはかるモノサシ

海外のニュースサイトでは、モロッコ政府が仮想通貨取引の全面禁止を検討していることについて、非常に批判的に報道しているところがあり、国民の経済的自由を脅かす間違った行為とこき下ろしているところもある。

自由に仮想通貨取引ができる社会は、経済、政治、文化面でも自由なケースが多いと述べるニュースサイトもあるくらいだ。

ただ、政府が仮想通貨取引を制限しようとするのには背景があり、国内の金融秩序を混乱させたくないという意図を金融当局は持っている。

インチキICOや詐欺コインを発行するICO企業は今後も出てくることが予想され、これらを規制することは各国政府にとって大きな課題になっているのだ。

仮想通貨取引を野放しにすることで、金融システムの安全性を脅かしたり、投資家の財産がいきなりなくなったりするリスクがある場合、それらを回避するために何らかの措置を政府が取ろうとするのはある意味自然なことだろう。

その点で、日本政府が改正資金決済法に基づいて2017年9月から仮想通貨交換業者を登録し始めたことは評価されてしかるべきだろう。

11月24日に掲載された記事「仮想通貨イベントに初参加!」でもお伝えしているが、海外のICO企業経営者は日本に注目しており、日本の投資家への売り込みを最近になって積極的に行っている。

この背景には、日本政府が仮想通貨取引の法整備を主要国として初めて実施し、ブロックチェーン技術を通じて、イノベーションを起こすことについて協力的であるという認識が海外で広がっていることもあるようだ。

仮想通貨取引所を登録制でモニタリングしている日本政府のやり方を批判する人も中にはいるが、法律である改正資金決済法に基づいて仮想通貨取引の監督が行われていることについては評価する声の方が多い。

改正資金決済法にICOに関する条項がないなどの問題は存在しているが、日本でICOを実施する企業は個別に金融庁に相談し、問題がないことを確認した上で手続きをするという暗黙の了解的なやり方が浸透しつつある。

海外のICO企業が日本に本拠地を置く場合、この行政方針はやりにくいことなのかもしれないが、ICOや仮想通貨取引を全面的に禁止するよりはましだと言えるだろう。

コインマン
日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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