【Snip】ネット広告からサヨナラできる方法って?

ネット広告から逃げられない?

私の職業は仮想通貨評論家であるため、ICO(仮想通貨による資金調達)や仮想通貨関連ニュースを毎日のように調べている。そうすると、パソコンやスマートフォン上のネット広告が仮想通貨やICOだらけになってきている。

ネット広告の場合、「利用者が興味を持っていそうな内容」を提示することが原則である。私がICOや仮想通貨に興味を持っているのは確かであるが、実際に投資を行うことはないため、あまり効率的な広告の提示方法とは言えない。

多くのブロックチェーン企業は、このネット広告の仕組みを非難し、新しいプラットフォームを提供しようとしている。

ホワイトペーパー(ICO企業がウェブサイト上で掲載する事業計画書)上で、「ニュースは崩壊している(News is broken)」と不満を漏らし、「良質なコンテンツを提供している人々が報われていない」と世直しをしようとする企業が登場した。その会社の名は、「Snip Network」である。

中央管理型のコミュニティが運営するニュースサイト

最近は、さまざまなニュースサイトが登場しており、自分の好みに応じていつでもネット経由でニュースを閲覧できるようになっている。しかしながら、これらのニュースサイトの多くは中央管理型であり、コミュニティが運営しているものはほとんどない。

Snip Networkは非中央管理的なアルゴリズムによって、最適なニュースが提供される仕組みになっている。また、Snip Networkでは検閲や自主規制が行われないため、いつでもどこでも誰でも自由に表現することが可能になる。ただ、法に触れるような内容は掲載が認められず、Snip Networkコミュニティの運営基準に沿って、秩序だった形でニュースが提供される予定である。

公正なプラットフォームで誰でも記事が書ける

Snip Networkの大きな特徴として、誰でも記事を執筆することができる点がある。Snip Networkのホワイトペーパー6ページ目で、「現在の仕組みで一番苦しんでいるのは、個人のブロガーや小さなニュースサイトである」と述べている。

Snip Networkは、個人のブロガーや小さなニュースサイトがどれだけ素晴らしい記事を提供しても、利益を上げることが難しい環境になっていると強調している。大手メディアに所属しなければ、ジャーナリストとして活動していくことは困難であるともSnip Networkは説明している。

現状を打破するために登場したのがSnip Networkであり、読み手に価値あるニュースを提供し、透明で公正なプラットフォームで運営され、素晴らしいコンテンツを作り上げるクリエイターがきちんと報われる仕組みを構築すると宣言している。

ニュースとソーシャル・ネットワークが主戦場

Snip Networkが主戦場と定めているのは、ニュースとソーシャル・ネットワークの2つである。アメリカのFoxやCNN、ニューヨーク・タイムズなどの主要メディアでは編集部があり、多くのジャーナリストを一元管理する仕組みになっている。

現状の仕組みでは、利用者のためになる情報提供が難しいとSnip Networkは考えており、テレビ局や新聞社などが導入している少数の編集者によるニュース管理を根本から変更することが重要であるとホワイトペーパー上で強調している。

読み手が必要としている情報よりも、長い記事を既存メディアは提供しがちであり、その背景にはスポンサーの広告を記事の間に挟み込みたいというニュースサイトの経営的なインセンティブがあるとSnip Networkは指摘している。

FacebookやTwitterなどのソーシャル・ネットワークでは、利用者がコンテンツを作成しているが、彼ら、彼女らが提供した文章や動画などには対価が支払われていない。

ソーシャル・ネットワークの利用者は、知り合いなどが作成したコンテンツを読むたびに強制的に広告を目にすることになり、スポンサーの意向から逃れられることができない仕組みになっている。

スポンサーの意向を無視できない既存のニュースやソーシャル・ネットワークとは違って、Snip Networkであれば広告を排除した上で情報収集することが可能になる予定である。

ロードマップに期日がない事業計画書

Snip Networkは、2017年9月29日からICOを開始する予定であり、最大800万米ドル(約8億8,000万円)の資金調達を目指している。Snipコインの購入者は、Snip Networkに広告を出すことができたり、Snip Networkのニュースやソーシャル・ネットワークを広告のない環境で楽しむことができたり、コンテンツ・クリエイターに投げ銭(チップ)をすることも可能になっている。

音楽配信ブロックチェーン企業の場合、ミュージシャンに対して利用者が投げ銭をすることが可能なプラットフォームを提供しているところがある。しかしながら、ニュースやソーシャル・ネットワークを提供しているブロックチェーンで、利用者がクリエイターに対して投げ銭をする仕組みは珍しい。

Snip Networkのホワイトペーパーによると、4段階を踏んでフルサービスの提供まで持って行くようだ。一つ気になったのは、フルサービスまでの工程を示しているホワイトペーパー15ページ目に、時間軸の記載がまったくなかったことである。

時間軸の記載がないということは、各工程の期日が決まっていないことを意味し、「いつになるか分からないが、その内にやります」と言っていることと同じである。ホワイトペーパーはICO企業にとっての事業計画書であり、時間軸を示さないSnip Networkの姿勢には疑問が残る。

金融機関などに融資を依頼する際、事業計画書のロードマップに期日が掲載されていない場合、お金を貸してくれるところはないだろう。ブロックチェーン企業の場合、ロードマップ上に期日を明記しないケースが結構あり、Snip Networkもその一つのようだ。

Snip Networkは利用者をどこまで増やせるのか

Snip Networkが警鐘を鳴らしている既存メディアの問題はもっともであり、できることであれば煩わしい広告から解放されたいと多くの人は考えているだろう。しかしながら、実際には大手ニュース・メディアやソーシャル・ネットワーク企業が強大な力を持ち続けている。

その背景には、多くの人が利用しているから自分も使わざるを得ないという「ネットワーク外部性」の問題がある。全世界でFacebookの登録者が20億人以上いるため、さらに多くの人々が利用しようとしているのである。

私が2010年にFacebookを使い始めたのは、フランスに留学していた時だった。授業のグループワークでクラスメートとコミュニケーションを取る必要があり、Facebookがあれば顔を合わせることなく課題を進めることができたためである。

「周りが使っているから、利用し始める」パターンがソーシャル・ネットワークの場合には多く、「自分だけが使い始めて他の人にも勧める」ケースはまれだろう。

Snip Networkが提供しようとしているニュース・サイトにしても、読み手と書き手、広告主をこれから集める作業はかなり大変だろう。ただ、私は1人のライターとして、Snip Networkのチャレンジを応援したいと思っている。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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