【Commodity Ad Network】ニッチな市場で新しいメディアを構築するブロックチェーン企業が登場?

君は「権力に立ち向かう心」を持っているか?

1999年に公開された「インサイダー(The Insider)」という映画が私は好きで、過去に10回近く鑑賞している。アル・パチーノとラッセル・クロウという名優が出演しているということもあるが、アメリカのタバコ産業の不正を告発しようとするテレビ・プロデューサーと、タバコ会社副社長の人間模様を描いている部分が魅力的な作品だ(ただ、158分と少々長い)。

「インサイダー」は実話に基づいて作成されており、タバコ業界の闇を暴いている作品としても貴重である。「インサイダー」は「内部告発者」という意味であり、タバコ会社の副社長が自ら所属している組織の不正を内部告発者として暴くストーリーになっている。

なぜ「インサイダー」という映画の紹介をしたかというと、今回紹介するブロックチェーン企業である「Structure of Success Limited.」が提供しようとしているサービス「Commodity Ad Network」のキャッチフレーズが背景にある。

Commodity Ad Networkのキャッチフレーズは、「数百万人の思考プロセスを変える(changing the thought processes of millions)」である。また、Commodity Ad Networkは多くの人の考えを変えるため、「権力に立ち向かう心」を持っているブロガーやウェブサイト管理者、コンテンツ・クリエイターなどのネットワークを構築するためのサービスであるとウェブサイト上で説明している。

映画「インサイダー」に登場するアル・パチーノとラッセル・クロウは、権力に立ち向かう心を強く持ち、巨大な利権に隠された不正を暴くために奔走した。Commodity Ad Networkも権力に立ち向かう心を持つクリエイターたちを集め、本当に社会から必要とされる情報やコンテンツを提供していくための仕組みを構築したいとウェブサイト上で述べている。

クリエイターは300人で十分?

私は仮想通貨評論家であるため、さまざまなブロックチェーン企業のホワイトペーパーを読んでいるが、Commodity Ad Networkは「ビューワー」を使ってホワイトペーパーを提供しており、非常に読みやすく設定している(これは重要なポイントだ)。

Commodity Ad Networkのホワイトペーパー5ページ目に、「ビジネスモデル」の説明が行われている。それによると、「正しいコンテンツを作成するクリエイターと適切な広告主を結び付け、ニッチな市場で新しいメディアを構築する」ことがCommodity Ad Networkのビジネス・ゴールであると強調している。

Commodity Ad Networkは広告主からの支払いを下げ、クリエイターへの支払いを上げる仕組みをブロックチェーン上で作り上げ、双方のインセンティブを高めながら、質の良いメディアを新しく創造したいとしている。

Commodity Ad Networkは、およそ300人のクリエイターと60程度の広告主でビジネスを開始する予定にしている。3年後から5年後にビジネスを見直す際、規模を拡大する可能性はあるが、当初は300人規模のクリエイターで十分ビジネスを回すことができると計算しているようだ。

Commodity Ad Networkは300人のクリエイターと2017年中に契約を締結し、ニッチな市場で高品質なメディアを構築し、良質な顧客を獲得したいとしている。

広告主は現金で支払い、クリエイターはトークンで受け取り?

Commodity Ad Networkは2017年9月9日から9月30日までICO(仮想通貨による資金調達)を実施する予定であり、仮想通貨である9,000万CDXトークンをICOで売り出すことになっている。1イーサリアム=3,000CDXトークンで購入可能になっており、この記事を執筆している2017年9月13日の1イーサリアム価格がおよそ290米ドル(約32,000円)であるため、Commodity Ad NetworkはICOでおよそ9億6,000万円(870万米ドル)を調達する予定になっている。

Commodity Ad Network上のやり取りは、トークンで決済されることになっている。ただ、広告主は現金を支払って、広告スペースを購入することになる。一方、Commodity Ad Network上でコンテンツを提供するクリエイターは、現金ではなくCDXトークンで報酬を受け取る仕組みになるようだ。

広告主は現金で支払い、クリエイターはCDXトークンで報酬を受け取る仕組みはビジネスモデルとして優れている。Commodity Ad Networkは合計1億2,000万CDXトークンを発行する予定で、9,000万CDXトークンはICO用だが、3,000万CDXトークンは運営会社であるStructure of Success Limited.のウォレットに貯めておくとしている。

Commodity Ad Networkからすると、広告主から現金を受け取り、クリエイターにCDXトークンを払う仕組みになっているため、会社のウォレットにCDXトークンがあるかぎりは、キャッシュフローを確保した上で経営を行うことが可能になる。

トークン支払いでクリエイターは働くのか?

一見すると、非常においしいビジネスモデルのように感じるCommodity Ad Networkだが、根本的な疑問が存在する。それは、「Commodity Ad Networkが発行するCDXトークン支払いで働いてくれるクリエイターが存在するのか?」というクエスチョンだ。

私自身、仮想通貨評論家という一種のクリエイター(?)だが、記事執筆に対する報酬として仮想通貨支払いを打診された場合、「ちょっと考えさせて下さい」と回答を留保するだろう。ビットコインやイーサリアムなどの主要仮想通貨であれば検討の余地があるかもしれないが、取引所で交換することができない仮想通貨の場合、報酬として了承することは結構難しい気がする。

仮想通貨の仕組みや構造を、ある程度は理解している仮想通貨評論家である私がこういう考えであるため、他のクリエイターがCDXトークン支払いで働くかというと中々難しいのではないかという感じがする。

「ニッチな市場で新しいメディアを構築する」というCommodity Ad Networkのビジネス・ゴールに共感するクリエイターはいるだろうが、彼ら、彼女らも生活していく必要があるため、流動性が低い仮想通貨を報酬として受け取るかどうかは未知数であると言わざるを得ない。

Commodity Ad Networkのビジネスが成功するかどうかは、CDXトークンが仮想通貨取引所で交換可能になるかが一つのポイントになるだろう。仮想通貨取引所で交換できるようになれば、米ドルや日本円などの法定通貨に換金することが可能になり、Commodity Ad Networkにコンテンツを提供するクリエイターの希望者も増えることにつながる。

「権力に立ち向かう心」を持つクリエイターを集め、適切な広告を掲載し、Commodity Ad Networkが「ニッチな市場で新しいメディアを構築する」までにはもうしばらく時間が必要なようだ。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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