ブロックチェーンの身分証明でモルドバの児童を人身売買から守る

モルドバ政府は国連と協力して、児童の人身売買を根絶するためにブロックチェーンを用いるという計画を進めています。
少しショッキングなフレーズですが、単なるチャリティの枠に収まりきらない大切な活動です。

モルドバの悲しい現状

東ヨーロッパに位置するモルドバは旧ソ連国家で、1989年に独立を果たしてから共和制をとっています。
しかし経済的には規模が小さく、2014年の国民総所得は2,162ドル(約22万円)でした。
現在でも親ロシアの大統領と親ヨーロッパの政府との折り合いが付かずに、政治経済の停滞が深刻化しています。

ヨーロッパの中でも貧困国であるモルドバには、他にもある深刻な問題があります。
それは人身売買が盛んなことです。

しかも女性が娼婦として売られていくことが多く、13歳以下の子供も性的な奴隷として搾取されているそうです。

人身売買されるケースは様々ですが、ここで登場するのがマフィアのブローカーです。

「海外に良い仕事があるよ」と舌先三寸で丸めこみ、売春宿などに落とし込みます。

母親が出稼ぎに行ったまま帰らず、残された子供は孤児院に連れて行かれます。
モルドバの孤児院には2年しかいることができないため、里親を探すしかありません。
しかし、国内は不景気なため外国へ里子へ出すのも止むを得ないという状況で、子供達はまたマフィアによって海外へ売られていくのです。
特に農村部の子供は身分証を持っていない子が多く、偽物の証明書を作って不法に国外に連れ出しても立証しにくいのです。

モルドバのように政府が機能不全に陥ってる国では、マフィアなどの闇組織の力が強くなってしまいます。
特に東ヨーロッパではアルバニア・マフィアの影響力が強く、東欧から南欧への人身売買ルートはバルカン・トレイユと名が付くほど。

遠く離れたタイ・UAE・トルコにも少女達は売り飛ばされます。
日本でもロシア人と偽って風俗店で働いているモルドバ人が少なくないそうです。

その他の国でも人身売買は大きな産業になっており、去年だけで4000万もの人が奴隷や望まぬ結婚のために利用されました。

子供達に身分証明書を

そこで国連はWIN(世界アイデンティティネットワーク)と協力して、ペーパーレスの身分証明書を発行することを決めました。

顔面スキャンや指紋などを採取して収集したデータを元にデジタル身分証を作ります。
さらにデータはブロックチェーン上に保存されるので、悪意ある改ざんや不正はできません。

世界中の5歳未満の児童のうちおよそ半数が戸籍や公的な身分証を持っていません。
公的な保証が受けられない14歳以下の子供の数は、6億人にも登ります。

マイクロソフト社は難民を含む、10億人が利用できるデジタルIDを開発しており、法的な身分証明として使えるように研究をすすめています。
身分証明ができればすぐ児童売買がなくなるわけではないかもしれませんが、その人の証明ができることは重要なことです。
違法に斡旋していることが証明できれば、ブローカーの検挙もしやすくなりますし、将来的には抑止力になりうるかもしれません。

人道的使用に関するサミットも

2017年11月にニューヨークのリンカーンセンターで「ブロックチェーンの人道的利用」に関するサミットが開催されました。

そこでは人身売買防止のための身分証明書の発行の他に、ブロックチェーンを使って難民への食料配布を行うというプランも明らかになりました。

これまで仮想通貨は、テロ組織や反政府組織の資金調達の温床だとされ規制の対象ですらありました。

しかし、せっかく生まれた素晴らしい技術を善意のために使うのも同じく人間の選択のひとつです。
世界中の子供達が笑顔になれるような環境を、少しずつ私たちの手で作れる時代が来たのはとても大きな意味を持つと、そう思います。

英語/美容/ダイエット/健康/映画/音楽がメイン。ライター等を勉強中。

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