【GUTS】チケット販売の未来像を示すICOが登場

ニューヨークの格安チケット売り場は大行列

ニューヨークは、ゴールドマン・サックスやJPモルガンの本社がある金融の街というイメージを持たれている方が多いかもしれないが、実はミュージカルやバレエなどの芸術、芸能が盛んな地域でもある。

アメリカだけではなく、世界中から才能豊かな人たちがニューヨークに集まっているのだが、第一線のブロードウェイなどで活躍できる人たちはごく一握りであり、多くのダンサーなどはアルバイトをしながら、成功を夢見て日夜努力している。

ブロードウェイという言葉はほとんどの方がご存知だと思うが、実はオフ・ブロードウェイやオフ・オフ・ブロードウェイというものも、ニューヨークには存在している。

ブロードウェイのミュージカルは、マンハッタンのミッドタウンと呼ばれる中心地に劇場があるケースが多く、生のオーケストラなどが入ることもあるもっとも華やかな舞台である。

オフ・ブロードウェイはブロードウェイよりも客席の数が少なく、100から500程度の中規模な劇場で行われているミュージカルのことを指す。

オフ・オフ・ブロードウェイは100席未満の劇場で鑑賞できるミュージカルのことであり、若手や駆け出しの役者などが頑張っている舞台である。

ニューヨークに行かれたことがある人はお分かりだと思うが、ブロードウェイのミュージカルを鑑賞するためには、100米ドル以上の出費が必要になる。

しかしながら、タイムズ・スクエアの真ん中にある「TKTS(チケッツ)」と呼ばれる赤い屋台のようなチケット売り場では、安い当日券が販売されており、50パーセント割引で人気ミュージカルのチケットを手に入れることが可能になっている。

ニューヨークの観光シーズンである夏休みは、TKTSが大行列になるため、おすすめは冬場である。

マンハッタンの冬はとても寒く、マイナス10度以下になることもあるため、そのような気象条件下で並ぶ人は少なく、TKTSでチケットを入手しやすくなるのだ。

ニューヨークのTKTSの話を出したのは、今回紹介するICO企業である「GUTS」がチケット関連のビジネスを行っているためである。

オンラインで販売されているチケットは偽物が多い?

GUTSはオランダに本拠地を置いており、2017年11月15日から12月13日までICOを実施し、新しい仮想通貨であるGETトークンを発行して、最高1,500万ユーロの調達を目指している。

GUTSはブロックチェーン技術を活用し、スマートコントラクト経由でチケットを売買できるプラットフォームを構築するとしている。GUTSは、以下の5つを特長としてウェブサイト上で説明している。

確実なアクセス
転売利益不可
堅牢なブロックチェーン
正確なデータ管理
ハードウェア費用無料

最初の「確実なアクセス」は、日本に住んでいるとあまりピンと来ないかもしれない。海外のオンライン・システムでチケットなどを購入すると、偽チケットをつかまされるリスクがあり、劇場などに行っても入れないケースがあるのだ。

GUTSの場合、特別なコードがそれぞれの購入者に付与されるため、対象となるチケットが何度転売されていたとしても、劇場に入れないという事態は発生せず、確実にアクセスできることを強調している。

2つ目の「転売利益不可」は重要なポイントであり、ほとんどのチケット販売システムにはこの機能がないために、プラチナ・チケットの価格が異常なまでに上昇してしまう傾向にある。

GUTSのプラットフォームでチケットを購入した人は、いつでも転売ができるようになっている。ただ、チケットを転売する人が利益を出せないようにGUTSは設定されており、チケットが高騰しないような工夫がなされているわけだ。

3つ目の「堅牢なブロックチェーン」は、ICO企業の強みと言えるだろう。GUTSはスマートコントラクト経由でチケットの売買を行うプラットフォームであり、非中央管理型ネットワークで所有権のやり取りを行うことが可能になっている。

そのため、チケットの売買は公正に行われ、透明性の高い状態で運営がなされることになる。

4つ目の「正確なデータ管理」も、ブロックチェーン技術を活用することで可能になるGUTSの特徴と言える。

スマートコントラクト経由で運営されるため、取引履歴がブロックチェーン上に残るため、誰がどのチケットを使い、何のイベントに参加したかを細かく確認することができるようになっている。

チケットが何度転売されていたとしても、GUTSはブロックチェーンで履歴を管理することができ、この点が物理的な紙のチケットとの大きな違いと言える。

正確なデータ管理によって、GUTSは将来のプロモーションを的確に行うことができるとウェブサイト上で説明している。

最後の「ハードウェア費用無料」は、イベント・プロモーターや劇場にとって重要なポイントである。

スマートフォンがあれば、GUTSのアプリをインストールすることができ、特別なハードウェアを準備する必要がないため、チケットを発行する側は特別な設備投資が不要で、ムダなコストを使う必要もないわけである。

スマートフォンがチケットになる時代

GUTSは非常に分かりやすい形でチケットをオンラインで発行し、不正や利益目的の転売ができない仕組みをスマートフォン上で行おうとしている。

GUTSのプラットフォームでチケットを買いたい人は、アプリをスマートフォンにダウンロードし、法定通貨(ユーロ)を支払って仮想通貨であるGETトークンを用意しておく必要がある。

GUTSのプラットフォーム上で販売されている目当てのチケットをGETトークンで購入すれば、後はそのアプリをイベント会場や劇場の受付で提示するだけである。

イベント・プロモーターや劇場側は、法定通貨でチケット代を受け取ることになり、多くの関係者にとって望ましい結果をGUTSはもたらそうとしている。

イベント・プロモーターや劇場側が仮想通貨であるGETトークンを受け取る仕組みの場合、普及するスピードが落ちる可能性があるため、チケット供給側が法定通貨を受け取れるようにしているのは賢明な判断と言えるだろう。

流動性には不安あり

GUTSのプラットフォームを使う人はチケットの購入が目的であり、その手段として仮想通貨であるGETトークンを使うことになる。

そのため、GETトークンが将来的に仮想通貨取引所で法定通貨や主要仮想通貨と換金、交換できなくても、チケットの購入に充当するという方法があるため、他のICO企業と比較して流動性の部分はそれほど大きな問題にならないかもしれない。

しかしながら、GUTSのプラットフォームで流通する仮想通貨であるGETトークンは取引所で将来的に流通することが望ましい。

GUTSのウェブサイトやホワイトペーパー上には、GETトークンの流動性に関する記載は見当たらなかった。興味のある人は、GUTSのウェブサイト右下にあるチャットで、直接聞いてみると良いだろう。

GUTSに問い合わせを行ってみて、すぐに回答があるようであれば、ICO企業として投資家を重視している姿勢を確認することができる。

逆に、連絡をしてもまったく回答がない場合、投資家だけではなく、プラットフォームの利用者も重視しない可能性があるため、ICO企業としての組織運営に不安を残すことになるだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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