【Tokenza】副業?フリーランス?簡単に資金調達するなら

クラウドファンディングに怒る歯科医

私は歯の状態に結構気を使っており、3カ月に一回は歯科検診とクリーニングを兼ねて、かかりつけの歯医者に通うようにしている。
そこの先生は面白い人で、自分の歯科クリニックを運営しながら、独自の折りたたみ自転車を設計するビジネスを行っている。

私は2011年4月までフランスに住んでおり、日本に帰ってきた時には計画停電などが行われていた。
エネルギーを極力使わないことが求められていた時に帰国した私は、「都内の移動をすべて自転車で行うことにしよう」と決めて、折りたたみ自転車を購入した。

ただ、自転車を折りたたんだのは箱根に行った時の一回きりだった。日本の場合、折りたたみ自転車にカバーを付ければ電車に乗れるため、旅行などに持って行くことが可能である(フランスはカバーなしで自転車を持ち込める電車が結構あった)。

ただ、折りたたみ自転車はかなり重く、移動の際に持ち運ぶのが大変であるという欠点があった。
私が通っている歯医者の先生は、自転車を折りたたんだ状態でローラーが回る設計を開発し、楽に持ち運びができる仕組みにしたのだった。

折りたたんだ自転車にローラーを付ける仕組みについて、その先生は内部構造の特許申請を中国で行っていた。
最近は、中国で多くの自転車が生産されており、特許を申請しておかなければ、すぐに模倣品が作られてしまうためである。

それにもかかわらず、その歯科医が設計した自転車にそっくりなものが中国で販売されたという。
ある中国の中小メーカーがクラウドファンディングで資金を集め、ローラー付き折りたたみ自転車の宣伝を行っており、それを歯科医の先生がインターネットで目にしたのだった。

内部構造の特許を取っていたことから、中国当局にその歯科医は問い合わせを行ったという。
ただ、中国の中小メーカーが発売したローラー付き折りたたみ自転車は、歯科医が開発した内部構造と微妙に仕組みを変えているため、「特許侵害には当たらない」という回答が中国の特許当局から来たそうだ。

その歯科医は、ローラー付き折りたたみ自転車としての商標登録や外見についての特許を取っていなかったため、内部構造を少しでも変えられてしまうと、特許侵害にはならないという現実に直面したのである。

ローラー付き折りたたみ自転車を発売した中国の中小メーカーは、資金調達手段としてクラウドファンディングを利用していた。
その歯科医は自分の発明を無断で利用されたことに憤慨していたのだが、比較的簡単に資金調達が可能なクラウドファンディングの仕組みに対しても、怒りをぶちまけていたのである。

今回紹介するICO企業は、「誰でも簡単に資金調達可能」をキャッチフレーズにしており、クラウドファンディングのサービスを提供している。その名は、「Tokenza」である。

銀行はベンチャーに冷たい

私は自営業者であるが、ビジネスのために必要なものはパソコンとスマートフォンとWifiだけであり、この3つがあれば世界中どこでも仕事をすることができる。
そのため、オフィスは不要であり、資金調達を行う必要もない。

私の兄弟は広告代理店とレストランを経営しているのだが、これらのビジネスではオフィスや店舗を用意したり、
機材を購入するための借金をすることがあり、いろいろな局面で資金調達ニーズが発生する。

その際、最初に相談するのは銀行なのだが、2017年になっても従来の担保主義から抜け出せておらず、ベンチャー企業に対して冷たい対応をする銀行がいまだに多いらしい。

創業100年以上の老舗企業ならいざ知らず、ビジネスを始めて数年の自営業者が担保など持っているはずがない。そのため、最近はクラウドファンディングで資金調達を目指す自営業者が日本でも出始めている。

今回紹介するTokenzaは、資金調達を行うクラウドファンディングの機能に加えて、フリーランスの人などが仕事をするためのプラットフォームも提供しようとしている。

人手不足も解消できる仕組み

2017年11月で、日本の失業率はおよそ3パーセントであり、ほぼ完全雇用の状況になっている。完全雇用というと聞こえは良いが、あちこちで人手不足が叫ばれている。

私は仮想通貨評論家コインマンとしてICO関連の記事を執筆しているが、プロジェクト管理のコンサルティング業務も手掛けている。
取引先の中には、「ビジネスが急拡大しており採用が追い付かない」と嘆いているところがあるくらいだ。

ベンチャー企業にとって現在は採用が難しい時代であるが、Tokenzaを利用することで、必要な労働力を集めることも可能である。うまく活用すれば、Tokenzaは人出不足というベンチャー経営者を悩ます慢性的な問題を解決できるかもしれない。

イーサリアムでのやり取りがポイント

Tokenzaを利用するためのプロセスは、以下の通りである。

1.資金調達が必要なプロジェクトをTokenzaのプラットフォームに登録
2.投資家がプロジェクトの内容を確認し、資金を供給
3.フリーランスの人などがプロジェクトを確認し、仕事に応募
4.プロジェクトが始まり、収益を生めば投資家にリターンが還元される

Tokenzaは2017年11月8日から12月8日までICOを実施予定であり、仮想通貨であるTokenzaトークンを発行して、およそ250万米ドルの調達を目指している。2017年11月中にデモ画面をTokenzaトークン保有者に提示して、12月からマーケティング活動を開始する予定になっている。

2018年第1四半期にテスト版のベータ・プラットフォームを開設し、
2018年第2四半期からフルサービスをスタートさせるとウェブサイト上で説明している。
また、2018年第4四半期からは世界展開を始めるとしている。

Tokenzaの仕組みを見ていて興味深かったのは、Tokenzaトークンだけではなく、イーサリアムもプラットフォーム上で利用できる点である。
ICO企業が提供する仕組みを利用する場合、そこが発行する仮想通貨を購入し、その仮想通貨を使って商品やサービスを利用するケースが多い。

Tokenzaが提供するプロジェクトに投資をする場合、Tokenzaトークンかイーサリアムで払い込みが可能になっている。また、Tokenzaのプロジェクトで仕事をしたいフリーランスに対しても、Tokenzaトークンかイーサリアムで報酬が支払われることになっている。

投資家やフリーランスにとって、イーサリアムでのやり取りが可能なTokenzaのプラットフォームは魅力的に映るだろう。なぜならば、イーサリアムは現時点で仮想通貨業界2位の時価総額を誇り、ビットコインの次に流動性がある仮想通貨と考えられているからだ。

また、Tokenzaトークンは将来的に仮想通貨取引所で交換が可能になる予定であるとTokenzaのウェブサイト上で説明されている。ただ、どこの仮想通貨取引所でいつから交換ができるようになるかは示されていないため、詳細を知りたい場合はTokenzaに直接問い合わせてみるとよいだろう。

アメリカでは企業に属さないフリーランスの数が増え続けており、日本でも自分で仕事をする人が多くなっている。日本の人手不足は、フリーランスの増加が一つの原因と考えられているが、Tokenzaはクラウドファンディングの機能と労働力調達手段を持ち合わせている興味深いプラットフォームである。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。