【EventChain】ブロックチェーンでチケット販売の問題は解決?

ありそうでなかったチケット販売用ブロックチェーン

私は現在、仮想通貨評論家「コインマン」として仕事をしているが、金融機関で勤務していたころは「ペーパーレスマン」と呼ばれていた。基本的に紙の資料を利用せず、会合や打ち合わせなどでもスクリーンに資料を投影し、紙のノートを持ち運ばず、すべてパソコンやスマートフォンで議事録やメモを取っていたからだ。

お分かりだと思うが、ペーパーレスマンという呼び方に尊敬の響きはあまりなく、どちらかというと「変わり者」のニュアンスが含まれていたと思う。この記事の執筆もパソコンとスマートフォンで作成されており、チャットやクラウド経由で納品されている。会社員を辞めて自営業者になっても、私はペーパーレスマンのままである。

私が紙を使わないのはプライベートでも同じであり、移動の際に飛行機に乗る場合であっても、インターネットで予約、購入を行うチケットレス・サービスを使っている。チケットレス・サービスと言いながら、空港のセキュリティ・チェックを受けると紙のチケットが発行されるのは謎だが、まあそれは良いとしよう。

今回紹介するブロックチェーン企業である「EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.」はシンガポールに拠点を置いており、コンサートやミュージカルなどのイベントチケットをスマートコントラクト経由で提供しようとしている。

私はこれまで100近いブロックチェーン企業の記事を執筆してきたが、スマートコントラクト・プラットフォームを活用してチケットを提供する会社に遭遇したのは初めてである。

従来の仕組みでは解決できなかったチケットの問題

私の場合、コンサートやミュージカルなどにはほとんど行かないが、映画には一週間に一度くらい行っている。映画鑑賞でも、当然ながらチケットレス・サービスを使っており、インターネットで座席もきちんと指定した上で予約し、映画館に向かうようにしている。

映画の場合、チケットが高騰したりすることがあまりなく、ダフ屋が映画館の周辺をうろついているということも基本的にない。また、映画のチケットがインターネット・オークションで出回って、高値で取引されるということも聞いたことがない。

一方、人気アイドルのコンサートなどの場合、いろいろな経路で転売され、元の価格の数倍以上になるケースがある。インターネット上でもさまざまな取引が行われており、プラチナ化したチケットを売買することで大きな利益を手にしている人もいたりするらしい。

EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.が解決しようとしているのは、上記のようなこともあるが、海外では偽チケットが流通することがあり、紙のチケットが抱える一連の問題について、まとめて解決するとホワイトペーパー(仮想通貨で資金調達する企業がウェブサイト上に掲載する事業計画書)で宣言している。

また、日本ではあまり意識しないが、前売りチケットの仕組みが海外では不透明な部分があるとEventChain International SmartTickets Pte. Ltd.は指摘している。前売りチケットの仕組みがどう不透明なのかは説明されていないが、ブロックチェーンであれば、販売プロセスをガラス張りにすることができるとホワイトペーパー上で強調されている。

EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.の説明で一番分かりやすかったのは、インターネット上のチケット販売開始時にアクセスが集中する問題である。

この点についてはブロックチェーンが威力を発揮するようで、中央管理されていないEventChain International SmartTickets Pte. Ltd.であれば、一つのウェブサイトでアクセスを受け付けるのではなく、数多くのサイトで処理を行うことになる。

そのため、アイドルのコンサートチケットなどを販売する際、リリースと同時にアクセスが集中し、販売サイトがダウンしてしまうという問題がEventChain International SmartTickets Pte. Ltd.のプラットフォームであれば起きないとしている。

売り手がグローバルに管理しやすい仕組み?

EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.のホワイトペーパーを読んでいて興味をひかれたのは、「売り手がグローバルに管理しやすい仕組みになる」と説明していることだ。

チケット販売を行う場合、英語のインターネットサイトであれば、世界中の多くの人たちにアクセスしてもらうことが可能だろう。しかしながら、日本の地方都市を拠点とするマニアックなアイドルのイベントチケットをウェブサイトで販売する際、売り手は日本語の情報しか用意できないケースがほとんどである。

そのため、海外からこのアイドルのイベントに参加したいと思っている人がいるとしても、マニアックな日本語のサイトにアクセスし、書かれている内容を理解する日本語力が求められることになる。

EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.が、上記のような日本のアイドルイベントについて打開策を用意しているかどうか定かではない。この記事を作成している2017年9月時点では、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.のウェブサイトとホワイトペーパーは英語版しか用意されていない。

そのため、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.の言うグローバルの意味がどこまでの世界を指しているのかは微妙なところがある。英語が出来る人だけに対してサービスを提供するのであれば、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.が、真の意味でグローバルなブロックチェーン企業になるのは難しいような気がする。

仮想通貨でも法定通貨でも決済可能?

EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.は、2017年9月13日から10月14日までICO(仮想通貨による資金調達)を行っている。投資家はイーサリアムを利用して、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.が発行するEVCトークンを購入することになる。

EVCトークンは、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.が提供するチケット販売のプラットフォームで利用することができる。ただ、チケットを販売する側は、決済方法としてEVCトークンだけではなく、法定通貨を選ぶこともできるとEventChain International SmartTickets Pte. Ltd.のホワイトペーパー上で説明されている。

ブロックチェーン企業のプラットフォームを利用する場合、その会社が発行する仮想通貨やトークンで決済をしなければならないケースが多い。そんな中、EventChain International SmartTickets Pte. Ltd.では法定通貨も利用することができるようである。そのため、チケット販売を行う側にとっても、購入する側にとっても利便性が高いプラットフォームになる可能性がある。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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