ブロックチェーンへの投資で高い利回りを狙う伝統的な資産運用会社がICOを実施?

ブロックチェーンへの投資で高い利回りを狙う伝統的な資産運用会社がICOを実施?

金融機関に勤務したことがある人であれば、「ポートフォリオ理論」と呼ばれるセオリーを学んだことがあるはずだ。
ポートフォリオ理論を一言で言えば、リスク性商品に投資する場合は分散した上で運用しなければならないということだ。
金融資産3,000万円を保有している人が、すべてのお金を一つの株式銘柄に投資してしまうと、その株式が下落した場合、大きな損失を受ける可能性がある。
1,000万円を株式、1,000万円は外貨、1,000万円は国債という感じで分散して投資を行うことにより、長期的なパフォーマンスが上昇することになり、大幅な資産価値下落を回避することも可能になる。
現在、世界中で1,000以上の仮想通貨が存在していると言われており、毎日のようにどこかでICO(仮想通貨による資金調達)が実施されている。
従来の資金調達手法であるIPO(株式公開:Initial Public Offering)とは異なり、法規制の縛りをほとんど受けないICOを活用することで、中小企業でも資金を調達しやすくなったと考えられている。
その反面、詐欺コインや内部管理体制に問題を抱える会社の仮想通貨をつかまされる投資家も出てきている。
日本では、2014年に当時国内最大のビットコイン取引所だったマウントゴックスで横領事件が発生し、経営者が逮捕された。
この出来事は、「マウントゴックス事件」としてテレビや新聞などが報道し、資産の分別管理が行われていなかったことから、顧客は預けていた法定通貨も仮想通貨も引き出せない事態に陥った。
その後、国が仮想通貨取引所の整備に乗り出し、2016年に改正資金決済法が国会で成立した(施行は2017年)。
日本で仮想通貨取引を行う業者は、仮想通貨交換業者として財務局に登録を行うことが求められるようになり、監督官庁によるモニタリングの中で仮想通貨取引が行われる予定になっている。
そんな中、仮想通貨への分散投資を行うことで、投資家に高いリターンを提供しようとする資産運用会社がオランダで登場した。
その名は、「Finles Capital Management」である。

金融当局がモニタリングしているから安心?

Finles Capital Managementは最近設立されたブロックチェーン企業ではなく、伝統あるオランダの資産運用会社である。
Finles Capital Managementは、1977年に誕生したブティック系の運用会社であり、5億ユーロ(約650億円)の顧客資産を管理している。
Finles Capital Managementは、「Finles / IEX Dutch Hedge Fund Index」というヘッジファンド指数を管理し、オランダの金融当局からモニタリングされており、アメリカの証券取引委員会(SEC)へも登録しているという。
オランダとアメリカの金融当局からモニタリングされているから、FinlesCapital Managementで安心して運用できるというわけではない。
アメリカの金融機関は、SECなどの監督官庁からモニタリングを受けていたはずだが、2008年以降金融システム不安を引き起こし、当局の検査などが当てにならないという事実を露呈した。
また、Finles Capital Managementと同じように複数の仮想通貨に投資をし、リターンを狙うブロックチェーン企業の場合、金融当局から規制を受けない可能性がある。
規制を受けない方が、低コストでスピーディな経営を行うことが可能になり、既に当局の監督下にあるFinles Capital Managementが、新しいブロックチェーン企業とどのように競争していくかについて、元銀行員の私としては非常に興味があるところだ。

Finles Capital Managementのビジネスモデルは伝統的なブティック型?

Finles Capital Managementはオランダだけではなく、シンガポール、中東、極東(日本のこと?)、中国大陸、ヨーロッパ、アメリカにネットワークがあり、各地にパートナーがいるとウェブサイト上で説明している。
Finles Capital Managementの顧客としては、年金基金、保険会社、プライベート・バンク、資産運用マネージャー、ファミリー・オフィスなどがあり、典型的なブティック系の運用会社として資産管理を行っているようだ。
また、Finles Capital Managementはウェブサイト上で、ブロックチェーンに対する投資戦略についても説明している。
それによると、成長するブロックチェーン産業への投資によって、年間30パーセント以上のリターンを目標にするとしている。
年間30パーセント以上のリターンは、伝統的な投資手法であれば相当高めの目標である。
しかしながら、仮想通貨への投資によって、数十倍、時には百倍以上に資産を増やしている人がおり、ブロックチェーンを投資対象としながら、年間30パーセント以上のリターン目標で顧客を満足させられるかは微妙なところだろう。

伝統的な金融機関がICOを行う珍しいケース?

Finles Capital Managementは、2017年8月30日から9月30日までの1カ月間、ICOを実施する予定である。
Finles Capital Managementが発行するトークンであるFund Coin(FNDC)は、1 FNDC=1 ユーロで等価交換が可能になるとウェブサイト上で説明されている。
日本最大の銀行である三菱東京UFJ銀行で仮想通貨MUFJ Coinの実験が行われており、2018年に一般公開が予定されている。
1MUFJ Coinは、1円と等価交換が可能になる予定である。
金融機関が発行する仮想通貨の場合、等価交換が可能になるケースが多いようだが、利用者からすると非常に分かりやすい。
Finles Capital Managementが発行するFund Coinを購入することで、複数のブロックチェーン企業に投資をすることと同じ運用効果が期待できる。
また、1FNDC=1 ユーロで設定されているため、Fund Coinの価値がどれくらいであるかが可視化しやすい。
一般的なブロックチェーン企業の場合、ICOで発行されるトークンは、ビットコインやイーサリアムなどの価値で換算されることが多い。
そのため、ICOに参加後の運用状況がどうなっているかが分かりにくくなる傾向にある。
また、投資したトークンが、将来的にビットコインやイーサリアムなどに対して上昇するか下落するかによって、投資リターンが変わってくることにもなる。

日本では仮想通貨取引所に対する登録制度が始まっているが、欧米では国レベルで規制を行っているところは少なく、今回紹介したFinles Capital ManagementのICOに対して、オランダの金融当局がどのようにモニタリングするのか見ものである。
Finles Capital Managementは、プロのファンドマネージャーがポートフォリオを組んで分散投資をすることによって、値動きの荒い仮想通貨であっても安定した運用を狙うことが可能としている。
伝統的な金融機関が、新しい産業であるブロックチェーン業界への投資でどのようにリスク管理をしていくのか今度も目が離せない。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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