【Internx】中央管理されているクラウド・サービスはもう古い?

中央管理されたクラウド・サービスに支配されてはいけない?

私は仮想通貨評論家として記事を執筆することを仕事にしているが、いろいろな意味でクラウド・サービスに依存した形で業務を行っている。グーグルなどの中央管理されているクラウド・サービスを活用し、取引先との記事の修正などをリアルタイムで行っており、非常に便利で重宝している。

クラウド・サービスがあるおかげで、インターネットにつながっている場所であれば世界中どこに行っても仕事ができる時代になったとも言える。逆に言うと、いつでもどこでも仕事ができるため、プライベートがほとんどない状態とも考えられなくないが、まあそれは良いとしよう。

ICO(仮想通貨による資金調達)を実施している企業の中で、中央管理者がいないクラウド・サービスを提供しようとしているところが結構あり、それらの企業はグーグルなどの既存クラウドの問題点を指摘している。その中で、実際に私がICOに投資を行い、新しいクラウド・サービスを利用したことがあるかと聞かれれば、答えは「ノー」である。

私は仮想通貨評論家として活動しており、中立の立場として記事執筆を行う必要があることから、仮想通貨やICOへの投資は行わないことにしている。仮に、私が仮想通貨評論家でないとしても、新しいクラウド・サービスを提供しているブロックチェーン企業のシステムを使う可能性は低いと思われる。

新しいクラウド・サービスを使わない理由は、ただ一つである。それは、「取引先が使っていないから」という非常にシンプルなものだ。ウェブサイトやホワイトペーパー(ICOを実施する企業がウェブサイトに掲載する事業計画書)を見ると、便利なクラウド・サービスを提供しているブロックチェーン企業はあり、自分だけであれば使ってみても良いと感じるケースはある。

しかしながら、記事を納品する先の会社がそのクラウド・サービスを使っていなければ利用する価値がないため、私は相変わらずグーグルのクラウド・サービスを使い続けているのである。これは、ミクロ経済学における「ネットワーク外部性」という理論である。

ただ、ネットワーク外部性にとらわれている私のようなタイプの人間は、新しいクラウド・サービスを提供しようとしている会社から見ると「古い」と思われているようだ。そんな古い私のようなビジネスパーソンの思考を変えるべく、シンプルで安全で使いやすく、中央管理者のいないクラウド・サービスを提供しようとするブロックチェーン企業がスペインで登場した。その会社の名は、「Internx」である。

中央管理されたクラウドには誰がアクセスしているか分からない?

Internxのホワイトペーパーによると、グーグルなどの中央管理されたクラウド・サービスではセキュリティ上の懸念があり、誰がアクセスしているか分からないと指摘している。そのため、ハッキングやクラッキング攻撃を受けた際、中央管理されたクラウドに保存されている情報が流出する可能性があると説明している。

そのため、中央管理が行われていないブロックチェーン技術を活用したクラウド・サービスが必要であり、Internxはそのためのインフラストラクチャーを構築するとしている。

私もそうであるが、クラウド・サービスで仕事をしている人の多くは、秘匿情報をグーグル・ドライブなどに入れることは少なく、基本的には公開されることを前提にした情報のやり取りがほとんどであるように感じている。

ブロックチェーン技術を提供する企業の多くは、「秘匿性の高さ」を錦の御旗(みはた)にしがちである。しかしながら、既存の中央管理されているクラウド・サービスの利用者は、そこまで秘匿性を求めていないように思える。

この意識の差がグーグルの独走を許しているような気がするし、いろいろな意味で革新的なクラウド・サービスでなければ、既存の仕組みを根本から変えることは難しいように感じる。

ICOで47億円を調達し、1年後にサービスを開始?

Internxは2017年9月7日から9月28日までICOを実施予定であり、最大150,000イーサリアムを調達したいとしている。この記事を執筆している2017年9月12日の1イーサリアム価格が、およそ290米ドルであることから、Internxは約47億円(43,500,500米ドル)を調達しようとしている計算になる。

150,000イーサリアムという数字は上限のようであるが、それでも47億円の調達目標は結構強気である。ICOで資金調達を行った後、Internxはシステム開発に投資を行っていく予定になっている。また、2018年の終わりまでに「安定したプラットフォームを構築したい」とホワイトペーパー上で説明している。

ICOを実施する企業の場合、実際のサービスを開始するタイミングはまちまちである。既に仕組みを構築しているブロックチェーン企業の場合、ICO後すぐにサービスを始めるところがある。一方で、金融サービスを提供するようなブロックチェーン企業の場合、規制当局からの免許取得や登録作業などが発生するため、ICOを行った後、数年後にフルサービスを開始するパターンもある。

今回紹介しているInternxは新しいクラウド・サービスを提供するブロックチェーン企業であり、プロジェクトを実行し、システム開発を行うために時間がかかるのは理解できる。ただ、ICOを行った後、1年近く経過してからサービスを提供しようとしているのは、結構のんびりしているなという印象を受ける。

私は100近くのICO関連記事を執筆してきたが、スペインに本拠地を置くブロックチェーン企業を目にしたのは今回のInternxが初めてである。ラテンの国であり、長めの昼休憩であるシエスタの文化があるスペインならではのゆとりを持ったプロジェクト管理を行おうとしているのかもしれない。

具体的にどのようなサービスを提供するのか不透明

Internxのウェブサイトを見ると、「Fast(速さ)」という項目があり、Internxのネットワーク・アルゴリズムはシステムの遅延時間を改善するとしている。また、Internxのプラットフォームは直感的に分かるシンプルなものになる予定であり、既存のクラウド・サービスと同じように簡単に使いこなせると説明されている。

さらに、価格設定も既存のクラウド・サービスと同程度になる予定であり、Internxへのスムーズな移行が可能であるとも述べている。

ただ、Internxのウェブサイトやホワイトペーパーを見ていて気になったのは、具体的にどのようなサービスを提供するのかが明確になっておらず、不透明な点があることだ。グーグル・ドライブのようなサービスを提供するのかと思いきや、Internxのホワイトペーパーで「利用者は使っていないパソコンなどの機器の容量を提供し、それで利益を得ることができる」とも述べている。

Internxのウェブサイトには経営陣の顔写真が掲載されているが、それを見るかぎり若手のエンジニアが多いようである。ブロックチェーン企業の場合、若い幹部によって組織が運営されているケースは多いが、マーケティングの専門家を雇い、ウェブサイトなどの内容を誰が読んでも分かりやすくすることが必要な気がした。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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