【WePower】閉ざされたエネルギー業界をICOがこじ開ける時代

非効率なエネルギー業界

「政府に近づくほどビジネスは非効率になる」というのは有名なビジネスの格言であるが、規制産業であればあるほど非効率になるのはその通りなのだろう。

2011年3月の東日本大震災がきっかけとなり、日本で行われていた従来のエネルギー行政の見直しが実施され、電力とガスの自由化が実現した。

電力は2016年4月、ガスは2017年4月から完全自由化が行われたわけだが、現時点で劇的に電力やガスの価格が下がったという話は聞いていない。

一方で、電力やガスの自由化によって停電が起こったり、ガス漏れが発生したということも聞かない。

電力の自由化に強硬に反対していた電力業界は、「自由化すると停電が起こる」と述べていたとされるが、結局そのようなことは起こらなかった。

エネルギー価格の自由化が前向きな結果をもたらすかどうかの確認には、もう少し時間が必要になりそうだが、今のところ大きな事故はなく手続きが行われているようである。

今後、電力やガスの料金について自動計算処理が行われることが期待されているが、現在でも、毎月電気代とガス代の確認のために担当者が一軒ずつ回って、紙の資料をポストに投函するという非常に非効率な作業を行っている。

普通に考えれば、人間が電力やガスの利用分を確認して紙をポストに投函するということがいかに非効率であるか分かりそうなものだが、自由化が始まってからしばらく経過してもなかなか変われないのは、規制産業であるからなのだろうか。

ただ、エネルギー業界が非効率であるのは日本だけではないようで、自由でオープンな状況で電力を取引するためのプラットフォームを提供しようとするICO企業が登場した。

それが、ジブラルタルに本拠地を置くICO企業「WePower」である。

電力生産者から消費者が直接購入するプラットフォーム

電力を生産するICO企業として、過去にHydroMinerZEUSを紹介したが、両社とも発電した電力は仮想通貨のマイニングのために使う予定にしている。

一方、今回紹介するWePowerは、再生可能エネルギーを個人間で売買できるプラットフォームを構築しようとしており、発電した電力を使って仮想通貨のマイニングを行う予定はないようである。

WePowerのウェブサイトに入り、宣伝動画を視聴すると、実際にWePowerのプラットフォームの使い方を確認することができるようになっている。

オシャレなICO企業の場合、テレビ・コマーシャルのような宣伝動画をウェブサイトに掲載しているが、WePowerの場合はサービスの使い方を動画で流すという庶民的な方法を使っている。

WePowerのやり方は好印象であり、実際のインターフェイスをウェブサイトの動画に掲載し、利用者に実体験をしてもらおうと経営陣が考えていることになる。

WePowerのサービスは非常にシンプルであり、新しく発行される仮想通貨であるWPRトークンを使って再生可能エネルギーを買ったり、売ったりするというものである。

WePowerは既にデモ版のプラットフォームをリリース済みであり、電力を買う側も売る側もデモ画面を利用できるとホワイトペーパーで説明されている。

ICOで調達した資金はインフラ開発に投入予定

WePowerは2017年2月1日から2月14日までICOを実施して、新しい仮想通貨であるWPRトークンを発行して、最低でも500万米ドルを調達したいとホワイトペーパー上で述べている。

WPRトークンの保有者は、WePowerのビジネスが拡大することによって価格上昇を期待することができるが、プラットフォーム上でやり取りされている電力の購入にWPRトークンを使うこともできる。

つまり、WPRトークンは、WePowerのプラットフォームで売買される電力がバックにある仮想通貨ということもできるわけだ。

WePowerは、3,500万米ドル相当のWPRトークンを発行する予定にしており、その内55パーセントをICOで投資家に購入してもらう予定になっている。

先程、WePowerはICOで最低500万米ドルの調達を目指すと説明したが、約3,500万米ドルの55パーセントに該当するおよそ1,925万米ドルを、ICOでの最高目標調達額にしていることになる。

WePowerはICOで調達した資金をインフラ開発に投入する予定にしており、安定的に電力のやり取りを行うためのプラットフォーム構築に注力する姿勢を鮮明にしている。

多彩な経営陣とアドバイザー

WePowerのホワイトペーパ―16ページ目から経営陣の紹介が行われており、多彩な人材を揃えており、各方面からのアドバイザーも豊富に集めているようである。

最高経営責任者であり、共同創業者でもあるNikolaj Martyniuk氏は、国際的な再生可能エネルギービジネスで経験を積み、スマート・エネルギー・ファンドの経営も別途行っているようである。

もう1人の共同創業者であるArturas Asakavicius氏は、フィンテックやブロックチェーン、仮想通貨関連のビジネス規制に関する仕事を法律事務所で経験してきたようである。

最高技術責任者であるKaspar Kaarlep氏は、エネルギーやスマート・グリッドの技術畑で経験を積んだエンジニアで、WePowerのプラットフォーム構築を担当している。

2018年8月にスペインで利用開始予定

WePowerはデモ版プラットフォームを既に公開しているが、2018年3月にはフルバージョンのプラットフォームをリリースするとウェブサイトのロードマップ上で述べている。

その後、2018年5月にエネルギー・インフラストラクチャーとプラットフォームをつなげるとロードマップで説明しており、2018年7月にプラットフォームのテストを実行すると述べている。

実際にプラットフォームが利用可能になるのは2018年8月からのようで、スペインで運用が始まるようだ。

前述の通り、WePowerはジブラルタルで登記されているICO企業である。ジブラルタルはイギリス領なのだが、スペインの南端に位置している人口3万人程度の小さな地域である。

ジブラルタルから地理的に近いスペインでWePowerはビジネスを始めて、2018年10月にポルトガルとドイツでもプラットフォームを使えるようにするとウェブサイト上で述べている。

仮想通貨関連のベンチャー・キャピタルがパートナー

WePowerのウェブサイトにはパートナー企業も掲載されており、仮想通貨関連のベンチャー・キャピタルも入っているようである。

ただ、WePowerのウェブサイトとホワイトペーパーには、WPRトークンが将来的に仮想通貨取引所で流通するかどうかの記載が見当たらなかった。

発行する仮想通貨であるWPRトークンの流動性について不安があるだけに、WePowerの経営をベンチャー・キャピタルがきちんとモニタリングすることに期待する投資家はいることだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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