配当重視型の企業がICOを実施してブロックチェーン業界に殴り込みをかける時が来た?

配当重視型の企業がICOを実施してブロックチェーン業界に殴り込みをかける時が来た?

最近は、全世界でICO(仮想通貨による資金調達)ブームが起きており、次から次にICOを実施するブロックチェーン企業が出てきている。

そのおかげで、私もこうして記事を執筆する仕事を頂けており、仮想通貨ビジネスは多くの雇用とチャンスを生み出していると言えるだろう。
一方、ICOに対して投資を行う側からすると、購入した仮想通貨の価格が下落するリスクがある。
また、仮想通貨は法定通貨ではないため、多くの国で政府による法規制が整備されておらず、詐欺コインと呼ばれる問題のある仮想通貨に投資してトラブルに陥ったり、内部管理体制に不備があるブロックチェーン企業が発行している仮想通貨の場合、予想外の出来事が起こる可能性もある。
リスクがありながらもICOに出資する人は多数おり、数十倍、時には百倍以上に価値が膨れ上がることがある仮想通貨を運用することで、億万長者になるケースも出てきている。
そんな中、配当重視型の暗号通貨を発行し、資金調達を行おうとしている企業がシンガポールで登場した。
その名は、「TATSUOINTERNATIONAL PTE. LTD」である。

社名からは日本人の存在を感じるが…

TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDのウェブサイトを見てみると、設立は2015年5月で、主に投資事業を行っているようだ。
社名に「TATSUO」が入っており、ウェブサイトが日本語対応になっていることから、日本人なり日系人がTATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの運営に関わっているかと思ったが、ウェブサイト上に経営陣の情報は掲載されていなかった。
私はこれまで、100社近くのブロックチェーン企業のウェブサイトを見てきたが、多くの場合、最高経営責任者(CEO)や最高技術責任者(CTO)などの経営陣の写真や略歴が紹介されていた。
しかしながら、TATSUO INTERNATIONALPTE. LTDの経営陣に関する情報を、ウェブサイトから確認することはできなかった。
不思議なことに、TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDが投資している「4DSMEMORY LIMITED」というシリコンバレーにある企業の取締役の構成が、写真付きで細かく解説されている。
「投資先企業よりも自社の経営陣を紹介すべきだろう」と、つっこみを入れたくなるのは私だけではないだろう。

ホワイトペーパーで最高経営責任者の名前を発見

ICOを実施する企業の場合、ホワイトペーパーと呼ばれる事業説明資料を、ウェブサイト上に掲載していることが多い。
証券会社や証券取引所が色々と口出ししてくるIPOとは違い、ICOは法的な取り決めがほとんどないはずだが、どの国の企業であっても、ホワイトペーパーは必ずといっていいほどウェブサイト上に載っている。
TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDのホワイトペーパーを読んでみると、これまた謎が多い資料になっている。
ホワイトペーパーの表紙で、なぜか顧問弁護士と中国語翻訳者の紹介が行われている。
この2人の紹介はあるが、ホワイトペーパーの表紙には、TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの社名すら記載されていない。
プレゼンテーションとして、TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDのホワイトペーパーはあまり上手とは言えない。
会社員やビジネスパーソンの人であれば、顧客や社内を説得するためのプレゼンテーションを行うことがあると思うが、発表時に重要なことは最初に説明を行うはずだ。
TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDは、最初のページで社名や最高経営責任者の名前ではなく、サポートしてくれる弁護士や翻訳者の人たちを出している。
サポートしてくれる人たちが企業にとって重要なのは言うまでもないが、事業説明資料の最初のページに掲載させることではないだろう。
ホワイトペーパーをめくっていくと、あったあった。
7ページ目に、ようやくTATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの最高経営責任者が出てきたのだ。
「私たちについて」という項目で、社名、登記日、登録番号、業種、最高経営者の氏名が箇条書きで書かれていた。
TATSUO USUIという人がTATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの最高経営者だが、名前がアルファベットで表記されているだけで、何をやってきた人でどういう考えを持っているかなどは、ホワイトペーパー上で確認することができなかった。

配当はビットコインで受け取れる?

TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDは2017年9月からICOを実施予定であり、投資家はRRAMコインという暗号通貨を受け取ることになる。
TATSUOINTERNATIONAL PTE. LTDのウェブサイトによると、RRAMコインはすでに仮想通貨取引所で流通しており、交換が可能になっているという(どの取引所で交換できるかは説明がなかった)。
RRAMコインの保有者は、TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの事業へ投資を行うことになり、運用益として、ビットコインを受け取れる予定になっている。
また、TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDが投資を行っている企業がM&A(合併や買収)の対象になった場合、RRAMコイン保有者は、持分相当の清算金を受け取ることができるとしている(具体的なオペレーションについては言及なし)。
TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDの投資先企業が、M&Aの対象になった際の手続きは不明な点があるが、配当をビットコインで受け取ることができるのはRRAMコインのメリットと言えるだろう。

投資方法はポートフォリオ理論の教科書通り?

TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDはウェブサイト上で投資する資金の配分を公開しており、数種類の投資先に対して分散投資を行うとしている。
内訳は、以下の通りである。
1. 4DS MEMORY LIMITEDへの投資:25パーセント
2. 変動投資:25パーセント→TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTD社内で投資効率の良い案件へ投資する
3. 暗号通貨投資:25パーセント
4. PBM株式会社への投資:10パーセント
5. 重水素減少水販売事業(社会貢献事業):10パーセント
6. その他管理費として:5パーセント

一見すると、「複数の案件に分散して投資を行う」というポートフォリオ理論の教科書通りの運用のように見える。
ただ、社会貢献事業である重水素減少水販売事業に10パーセント、その他管理費として5パーセントを費やすことについては、投資家によって賛否が分かれるところだろう(私なら反対だな)

TATSUO INTERNATIONAL PTE. LTDが発行するRRAMコインは、配当をビットコインで受け取ることができ、既に取引所で流通が始まっているという意味で魅力的な仮想通貨である。
ただ、目を皿のようにしてウェブサイトやホワイトペーパーを読み、きちんと納得した上で投資することが大切だろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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