アメリカの不動産に誰でも投資できる「公平な」ブロックチェーン会社が登場?

アメリカの不動産に誰でも投資できる「公平な」ブロックチェーン会社が登場?

2007年から2008年にかけて、アメリカの不動産価格の調整が明らかになり、金融機関のずさんな融資行動もあって、低所得者向けに提供されていたサブプライム・ローンに関する問題が噴出した。

サブプライム・ローン問題と言うと、2008年9月に大手投資銀行だったリーマン・ブラザーズが経営破たんし、「流血の日曜日(リーマンが破産申請をした9月15日が日曜日であったため)」という言葉が新聞の紙面に躍った印象が強いかもしれない。
しかしながら、金融危機の引き金になったのは、2007年にフランスの大手銀行であるBNPパリバが発表したサブプライムローン関連ファンドの解約一時凍結だったと言われている。
2008年後半になると、欧米の大手金融機関の経営不安がニュースになり始め、各国の政府が預金保険の上限額を引き上げたり、天文学的な金額の公的資金を金融機関に注入するなど、金融危機を食い止めるためになりふり構わぬ行動を取った。
あれから10年近くが過ぎ、金融システム不安は遠のき、アメリカの大手金融機関は過去最高水準の収益を計上するまでに回復した。
各国の中央銀行による低金利政策もあって、アメリカの不動産価格は再び上昇基調に入っており、世界中からの投資マネーが押し寄せていると言われている。
そんな中、アメリカの不動産に誰でも投資できるプラットフォームを提供するブロックチェーン企業が登場した。
その名は、「SmartRE Inc.」である。

アメリカの不動産を買うと不思議なことが起こる?

アメリカの不動産バブルが全盛期になりつつあった2002年、2003年、私はニューヨークで銀行と証券会社の両方に所属しながら業務を行っていた。
当時のアメリカでは、銀行と証券の分離を義務付けていた法律が廃止され、金融機関の従業員は株式や債券の販売を行いながら、融資業務もできるという今から考えると無茶苦茶なことが行われていた。
「利益は問題を封印する」とはよく言ったもので、当時私が所属していた金融機関は200億ドル(約2兆2,000億円)近い純利益をたたき出しており、掛け目120パーセントの融資などもバンバン行われていた。
掛け目120パーセントの融資ということは、時価100万ドルの不動産物件に対して、120万ドルの融資を行うということである(結果的にこのような行動が金融危機につながることになるのだが)。
当時のCEOは、「音楽が鳴っている間、我々は踊り続けなければならない」という有名なセリフを残している。
彼は、「不動産価格が上がり続けている間、我々は資金供給を続けなければならない」と言いたかったのだ。
その後の金融危機によって、彼は事実上、更迭の形で表舞台から去ることになった。
アメリカの場合、不動産を一旦購入した後に価格が上昇すると、値上がり分について金融機関に追加融資の依頼を行うことができる。
100万ドルの住宅を購入するため、20万ドルを頭金にして80万ドルをローンとして銀行から借りた場合であっても、5年後に住宅価値が150万ドルになっていれば、50万ドル分の上昇分について、追加融資を求めることができる仕組みになっているのだ。

SmartRE Inc.であれば融機関いらずでキャッシュが手に入る?

保有している不動産価格が上昇したことによって、追加融資を金融機関から受けられた場合であっても借金であることには変わりなく、将来的に金利が上昇してしまうと、ローン金利も高くなり負担が重くなってしまう。
今回紹介するSmartRE Inc.は、自社のウェブサイトでこのような問題の解決策について説明している。
アメリカで不動産を保有している人は、SmartRE Inc.のプラットフォームを利用することによって、低金利で資金を調達することが可能になるとしている。
また、SmartRE Inc.を経由することで、世界中の投資家は、もっとも安全で流動性が高い不動産市場と言われるアメリカの住宅市場に少額から出資を行うことが可能になると述べられている。
SmartRE Inc.は、一部の富裕層だけが投資可能な不動産業界ではなく、世界の一般的な市民(the average global citizen)がアメリカの住宅不動産に投資できる環境を整備したいとしている。
一部の限られた特権階級しか利益を受けられない現在の仕組みを変革し、普通の人が1ドルからアメリカの不動産市場に投資可能な世界を実現したいとSmartRE Inc.はウェブサイトで熱く語っている。

SmartRE Inc.を使えば良いことづくめ?

SmartRE Inc.を利用することのメリットとして、国際的、低コスト、アメリカへの投資、不正予防、安全性、保証付の6点が挙げられている。
最初の国際的は分かりやすく、ブロックチェーン技術でSmartRE Inc.のプラットフォームは構築されているため、世界中から誰でも少額から投資可能になっている。
SmartRE Inc.のプラットフォームには不動産会社や金融機関などの仲介者が出てこないため、低コスト取引が可能になっている。
また、世界でもっとも安全で、最大の住宅不動産市場であるアメリカに投資できることもメリットとしている(安全かどうかは、2008年の金融危機という過去があるため微妙ではあるが)。
SmartRE Inc.が利用しているブロックチェーン技術により、不正行為を行うことが非常に難しくなっており、すべての取引は記録が行われることになっている。
さらに、イギリスの大手保険会社であるロイズの保証が付いており、万が一の時には保険が適用されるとSmartRE Inc.のウェブサイト上で説明されている。

SmartRE Inc.は少額投資可能な不動産投資信託に似ている?

私自身、金融機関の商品開発チームに所属していたことがあるため、SmartREInc.の仕組みは少額から投資することができる不動産投資信託に似ていると感じた。
SmartRE Inc.の場合、アメリカの住宅不動産市場に投資をするため、SmartRE Inc.が発行するSREトークンを購入し、不動産を保有する人に出資をする形の投資になる。
不動産投資信託になると、日本円や米ドルなどの法定通貨で投資をすることになるが、ファンドマネージャーが具体的な投資先を選ぶことになる。
SmartRE Inc.の場合は、投資家自身が投資先を自分で選べるようなので、この点が不動産投資信託との大きな違いなのだろう。
不動産投資信託の場合、取り扱っている金融機関に何かあっても信託保全が行われているため、顧客財産は影響を受ける心配がない。
SmartRE Inc.も保険会社であるロイズの保証が付いていることから、万が一の際のリスクヘッジは行われているようである。
ただ、どのような場合に保険が適用されるかまでは、SmartRE Inc.のウェブサイト上で説明がなされていない。
クロージング文:SmartRE Inc.のウェブサイトを見ていて印象的だったのは、「公平さを信じている(We believe in equality)」というフレーズだ。
誰でも投資できる世界を創造することによって、公平さを実現したいというSmartRE Inc.は、2017年8月時点でICO(仮想通貨による資金調達)を実施中である。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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