【Astronaut】ICO企業を分析するICO企業が誕生

コインマンが仮想通貨を買わない理由

私は仮想通貨評論家として数多くのICO企業を調査し、記事を執筆してきたが、仮想通貨に投資をしたことはない。「仮想通貨評論家であるにもかかわらず、仮想通貨に投資をしたことがないのはおかしい!」という意見があるかもしれないが、私の見解は異なる。

証券会社で株式のアナリストをしている人は、個人での株式投資を厳しく制限されている。

当たり前と言えば当たり前であるが、株式のアナリストが個人で株式投資をしてしまうと、自分で買った株式を勤務先の報告書などで推奨し、株価を吊り上げて売却し、利益を出すことが可能になってしまう(証券取引等監視委員会がモニタリングしているため、すぐに捕まることになるが)

私がICO企業などに投資をしてしまった場合のことを考えてみよう。仮想通貨評論家である私が仮想通貨の投資家の立場になって、冷静にICO企業の分析ができるだろうか?

無意識のうちに、「このICO企業は素晴らしいよ。早めに投資をしておかないと機会を失っちゃうよ。早く買っちゃいなよ」というトーンの記事になる可能性が高い。

今後もそうであるが、私は特定の仮想通貨に対して投資を行うことはない。ポジション・トークと呼ばれる自分に有利な発言が出てしまうのを抑制するためであり、取引先や読者様に対して客観的な記事を提供するためでもある。

私の投資に対する姿勢はアメリカで働いていた時に構築されたものであり、ニューヨークで証券外務員として債券の営業をしていた時の影響が残っている。日本の場合、金融機関に勤務していなくても証券外務員の試験を受けられるようになっており、難易度もそれほど高くない。

しかしながら、ニューヨークで証券外務員の資格を取る場合、原則として金融機関い勤務している必要があり、合格率も60パーセントと5人に2人は不合格になってしまう結構難しい試験なのだ。

しかも、一日かけて試験が行われるため、すべてが終わった後はヘトヘトになってしまう。シリーズ7と呼ばれる試験なのだが、受験後その場で合否が出るのもアメリカらしい。私は無事1回で試験に合格したのだが、翌日同僚たちから「外国人なのに一発で通るなんてすごいな!」と結構祝福されたのを覚えている。

私の記事でときどき登場するアメリカの証券取引委員会(SEC)は、ニューヨークの金融機関に勤める人たちにとって恐怖の存在である。若干マニアックな話になってしまうが、日本の金融庁が金融機関に検査に入る場合、「任意捜査」と呼ばれる形を取る。

任意捜査とは、担当官が強制的に机の引き出しを開けたり、資料を押収したりしない捜査のことをいう。そのため、金融庁が検査に来ても、「この机の引き出しを開けて中のものを見せて下さい」と金融機関の従業員に伝えることになる。

金融機関の担当者は、検査官の指示に従って資料を提出することになる。2013年にヒットしたテレビドラマ「半沢直樹」で、金融庁の検査官が半沢直樹の自宅に入って資料を探す場面があるが、あのようなことは基本的に起こらない。

一方、アメリカのSECは強制捜査を行う権限があるため、金融機関のオフィスに入って行って、引き出しを開けることも可能になっている。しかも、SECには逮捕権まであるため、悪事を行った人をしょっぴいてしまうことも可能なのだ。

1987年にヒットしたアメリカ映画「ウォール街」で、主人公のチャーリー・シーンはインサイダー取引でSECに逮捕されてしまうが、日本の金融庁はあのようなことをしないし、できないようになっている。

過去にニューヨークで働いていたことが影響し、自分が関与している分野においては投資をしないコインマンであるが、今回紹介するICO企業は「投資をしても利益相反にならないかもしれない」と感じている珍しいケースである。その会社はシンガポールに本拠地を置く「Astronaut」である。

複数のICO企業に投資をして収益を上げる

金融機関に勤務している人の場合、個別の株式投資などが制限されるケースが多い。ただ、投資信託については購入が認められているため、銀行員や証券会社の従業員の運用方法として利用されることが結構ある。

なぜ投資信託は問題ないかというと、複数の投資先に分散して運用を行っているためだ。また、運用判断はファンド・マネージャーが行うため、投資信託を購入する人の意向が影響しないことになっている。

今回紹介するAstronautは、複数のICO企業に投資を行って高い収益を狙う仮想通貨版の投資信託とも言える存在である。2017年9月29日にアメリカのSECが、ICO企業2社とその創業者を詐欺の疑いで告発したことを発表したが、ICOへの投資はリスクが高く、資金がまったく返ってこなくなる可能性をはらんでいる。

全財産を一つのICO企業につぎこむ人はめったにいないと思うが、余裕資金で投資することが何よりも大切である。複数のICO企業に投資をしたいと考えている人は結構いると思うが、そのプラットフォームを提供するところがこれまではあまりなかった。

Astronautは2017年9月28日から10月25日までICOを行っており、3,000万米ドル(約34億円)の資金調達を目指している。Astronautが発行する仮想通貨であるASTROトークンを購入することで、複数のICO企業に投資をすることと同じ経済効果が期待できる。

Astronautの経営陣は投資銀行出身者などで、非常に分かりやすい経歴の持ち主たちである。

創業者のことを「パイロット・コマンダー」と呼んでおり、アナリストのことを「フライト・エンジニア」と名付けるなど、「宇宙飛行士」を意味するAstronautが社名になっているこのICO企業はところどころに遊び心があって、ホワイトペーパーも読みやすく設計されている。

ASTROトークン保有者には配当が出る

株式に投資した場合、年2回の配当金を受けられるケースが多い。配当利回り狙いで株式投資を行っている人もおり、東京証券取引所に上場されている銘柄の中には、5パーセント以上の配当金を出している企業もある。

AstronautはASTROトークン保有者に対して、2017年12月30日に最初の配当を行う予定にしている。Astronautのホワイトペーパー26ページ目にそのことが記載されており、ICO実施後のおよそ2カ月後に配当を行う強気の姿勢を見せている。

また、Astronautはウェブサイトの中で、短期的にASTROトークンの価格を5倍に引き上げたいという野心的な目標を立てている。ASTROトークン購入者は、トークン自体の値上がりと配当の受け取りを期待できる仕組みになっている。

ただ、どれだけASTROトークンが上昇して、配当を受け取れても、法定通貨や主要仮想通貨と換金、交換ができなければ投資家にとってメリットが少ない。

Astronautのビジネスモデルは分かりやすく、ウェブサイトやホワイトペーパーはよく作りこまれているのだが、ASTROトークンが将来的に仮想通貨取引所で取り扱われる予定があるかどうかの記載は見当たらなかった。

何事も完璧ということはないが、AstronautはASTROトークンの流動性について説明を行ってくれれば、更に多くの投資家から評価される可能性がある。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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