【Hire Match】コインマンもお手上げの人手不足企業をICOが救う?

日本のベンチャー企業は人が足りなさすぎ

私は仮想通貨評論家コインマンとしてICO記事を作成したり、仮想通貨ニュースを配信したりしているが、もう一つの顔として、プロジェクト管理のコンサルティング業務も行っている。

外資系金融機関で勤めていた時、最後の5年間は当局対応に従事しており、金融庁、経済産業省、関東財務局などの行政機関の窓口になっていた。当局対応の仕事というのは、報告書を提出する仕事でもある。

金融庁などに対して報告書を提出する場合、組織全体から情報を集めて、期日までに内容を固めなければならない。当局向けの報告書作成はプロジェクト管理そのものであり、その仕事を長年やったことで「何をいつまでに誰がやるか」を明確にして、それを追いかけていくことが得意分野になっていた。

私の現在の取引先はIT企業やベンチャー企業が多く、どこも忙しさが半端ではない。また、業務の量に対して採用が追いついておらず、1人の担当者が複数のプロジェクトを掛け持ちしているパターンが多くなっている。

ただ、忙しさのあまり「何をいつまでに誰がやるか」が不明確になっているケースがあり、私がプロジェクト管理のコンサルタントとして入っていき、交通整理をしているわけだ。

私がコンサルタントとして最初にやる仕事として、重要な会議の議事録の作成がある。このことを取引先の経営者などに伝えると、「議事録?コインマンは元銀行員だから官僚主義が抜けきっていないのだろう。議事録など我が社には必要ない」と言われるケースがある。

ここで言う重要な会議とは、「組織として今後何をするか決める会議」のことである。このような会議では、誰がいつまでに実行するかも決めなければならない。ただ、議事録がないとその部分があいまいになってしまうのである。

議事録では、「決まったこと、次にやること、締め切り期日」の3つを明記し、それに基づいて他の業務についてもヒアリングを行っていき、組織全体のプロジェクト管理を行っていくわけだ。

プロジェクト管理をする人がいるのといないのでは、作業効率がまったく異なってくる。期日が明確化されるため、待たされる人が少なくなり、コスト面でも格段の成果が期待できる。

ただ、適切なプロジェクト管理を行っても人が足りないケースがあるため、その場合には追加で採用をして頂くしかない。最近は、従来の人材紹介会社のようなやり方ではなく、企業と求職者が「気軽に話をする場」を提供する新しいリクルーティング・サービス業者が出てきている。

書類選考後、面接をいきなり行うのではなく、求職者の人柄を知り、オフィス環境を見てもらうため、お互いが話をする場を設ける仕組みが人気になっているのだ。

新しいリクルーティング・サービスが次々と登場する中、スマートコントラクト経由で採用活動ができるプラットフォームを提供するICO企業が、アメリカのカリフォルニアで登場した。その名は、「Hire Match」である。

日本語の宣伝動画を視聴できる

Hire Matchのウェブサイトを見て驚いたことは、日本語の宣伝動画を視聴できたことである。私はこれまで、数百のICO企業を調べてきたが、日本語の宣伝動画を掲載しているICO企業に遭遇したのはこれが初めてだ。

しかしである。日本語の宣伝動画を視聴していると、どこかおかしい。ある人が日本語で話しているのだが、どうやらこの人はHire Matchのスタッフではないようである。

その証拠に、英語の宣伝動画と日本語の宣伝動画は内容がまったく異なっている。日本語の宣伝動画では、関係なさそうな人がHire Matchの素晴らしさについて17分以上も延々と話し続けているのだ。

この時点で、Hire Matchに対して「このICO企業は大丈夫なのか?」と感じたが、ビジネスモデルなどはしっかり組み立てられているようだ。

それでも転職エージェントは必要?

Hire Matchは2017年10月1日から10月31日までICOを実施しており、仮想通貨であるHIREトークンを発行し、2018年第3四半期から採用プラットフォームをリリースする予定になっている。

Hire Matchによると、世界中のリクルーティング市場は4,040億米ドル(約45兆円)になっており、企業は1人を採用するために37,500米ドル(約420万円)のコストを支払っているとしている。

Hire Matchのプラットフォームを利用して採用活動を行うのは簡単であり、以下のステップを踏むだけである。

1.企業の人事担当者がHire Matchのシステムにアクセスし、募集要項をまとめる
2.人事担当者は10,000HIREトークンを購入し、求人情報をシステムに投稿する
3.要件を満たした転職エージェントが適切な応募者を探し出す
4.応募者が入社したら、10,000HIREトークンがエージェントに支払われる

上記の通りHire Matchの仕組みはシンプルであり、従来の採用活動との違いは企業側の支払いが法定通貨ではなく、仮想通貨であるHIREトークンであることくらいだ。

また、基本的にHire Matchはスマートコントラクトでサービス提供を行うようだが、転職エージェントは関与するのである。ここが、このビジネスの興味深いところだ。

スマートコントラクトの最大の売りは仲介者の排除のはずだが、転職エージェントという究極の仲介者をHire Matchは関係者として登場させている。この背景には、「よい人の採用のためには転職エージェントの仲介が必要」というHire Matchの判断があるのだろう。

流動性とコストの問題は残る

Hire Matchはスマートコントラクトを使って新しいプラットフォームを構築し、古いしきたりがはびこっているリクルーティング業界に対して、一石を投じたいとウェブサイトやホワイトペーパーで説明している。

中央管理されている転職サービス会社の場合、さまざまなムダがはびこっており、効率化が必要であることは多くの人たちが賛同するだろう。

ただ、Hire Matchが発行する仮想通貨であるHIREトークンについて、将来的に仮想通貨取引所で交換可能になるかどうかの言及が見当たらなかった。Hire Matchのプラットフォームで仕事をする転職エージェントは、HIREトークンを報酬として受け取ることになる。

転職エージェントからすると、仮想通貨取引所で交換されるかどうか不透明なHIREトークンを報酬としてもらって勤労意欲がわくかというとかなり微妙だろう。

仮に、HIREトークンが仮想通貨取引所で法定通貨や主要仮想通貨と換金、交換ができるようになっても課題は残る。HIREトークンの価格が将来大きく上昇してしまうと、Hire Matchで採用活動を行う企業にとってコストが高くなってしまうからだ。

Hire Matchによると、既存の採用活動で企業は1人当たり37,500米ドルを費やしているとしている。Hire Matchの利用には、1つの求人当たり10,000HIREトークンが必要になる。

単純計算で、1HIREトークン=3.75米ドル以上になってしまうと、企業にとっては既存の採用プラットフォームを使う方が経済的に効率的ということになる。この辺りのことについても解決策を示してくれると、Hire Matchは投資家と利用者を増やすことができるだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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