【Gradius】DDoS攻撃から守ってくれるICOが登場

サイバー攻撃がきっかけで分裂したイーサリアム

インターネットでの買い物や商取引が急拡大したことによって、サイバー攻撃を受ける個人や法人の数も増加し続けている。

政府機関もサイバー攻撃の対象になることがあり、ウェブとつながっているということは攻撃の対象になりうることを意味している。

仮想通貨業界は、残念ながらサイバー攻撃を受ける可能性が高い業界の1つである。IDとパスワードをサイバー攻撃で盗み出すことによって、仮想通貨取引所から仮想通貨を引き出せることがあり、公表されていない分も含めると天文学的な被害にあっている取引所があるとも言われている。

北朝鮮のハッカーが韓国の仮想通貨取引所にサイバー攻撃をしかけ、かなりの額のビットコインが盗難被害にあったのではないかという報道が先日出ていた。

この報道の真偽は不明のようであるが、オンライン上ですべての手続きが完了してしまう仮想通貨は攻撃対象になりやすいのである。

最近になって仮想通貨の取引を始めた方はご存じないかもしれないが、主要仮想通貨であるイーサリアムはサイバー攻撃がきっかけで分裂したことがあるのだ。

分裂と言うと、ビットコインを頭に思い浮かべる人が多いかもしれない。2017年8月にビットコインはビットコインキャッシュと分裂し、10月にはビットコインゴールドと分かれた。

この記事を執筆しているのは11月9日であるが、11月16日前後に予定されていたビットコインとSegwit2xの分裂中止が発表された。

分裂を繰り返していたビットコインだが、Segwit2xと分かれることは一旦中止になったようである。

先程も述べた通り、ビットコインに次いで仮想通貨業界第2位の時価総額を誇っているイーサリアムも過去に分裂を経験しているのだ。イーサリアムの場合、ビットコインの分裂とは事情が異なり、サイバー攻撃がきっかけで分裂することになったのである。

中央管理の非効率さがビットコインを生んだ?

多くの仮想通貨が持ち味として掲げるのが、「中央管理者不在でも自動契約執行可能な仕組み」である。

私は仮想通貨取引所やブロックチェーン技術を提供している企業などと話をする機会が結構あるのだが、多くの人たちが「中央管理」を目の敵にする傾向にある。

中央管理組織の代表格は軍隊だろう。私はフランスに留学していた時、イスラエル人の学生と一緒にグループワークをしたことがあるのだが、イスラエルでは男女共に徴兵制が採用されている。

軍隊では、基本的に口答えをしないように訓練される。上官の命令に対して、「それはおかしいんじゃないですか」と反論してしまうと、すぐに敵から攻撃されて命を失う可能性がある。

そのため、軍隊では上官の命令が正しいかどうかを考えず、「はい」と言って従う訓練を受けることになる。民間企業で似たような構造を持っているのが、私が以前所属していた金融機関である。

日系であろうと外資系であろうと、金融機関は権威主義の象徴であり、基本的に上からの命令は絶対だ。特に外資系金融機関の場合、直属の上司が人事権を握っている。

「人事権がある=退職勧告を行える」ことを意味しており、外資系金融機関で上司に歯向かうことは、退職勧告を覚悟した上での行為になるため、普通はやらないし、するメリットがそもそも存在しない。

そのため、イエスマンおよびイエスウーマンが大量に生まれることになり、「はい」か「イエス」しか言えない人間に気づいたらなってしまうのだ(私もかつてはそうだった)。

前近代的で軍隊チックな中央管理組織である既存の金融機関のやり方に疑問を投げかけたのが、ビットコインである。

ビットコインの場合、非中央管理型運営になっており、分散型公開台帳と呼ばれるシステムが採用されている。

技術的なことは省略するが、ビットコインのシステムがハッキングを受けにくいのはこの仕組みのおかげであり、ハッキングをするのがムダであるとハッカーたちに感じさせるストラクチャーになっているのだ。

分散型公開台帳により、ハッキングリスクを低減しているビットコインだが、最近はサイバー攻撃をする側も分散型の手法を使うことが増えているのだ。

複数のコンピュータから一斉に情報を送信してサーバに負荷をかけ、サービスを停止させるサイバー攻撃が世界中で発生しており、これをDDoS攻撃と呼んでいる。

DDoS攻撃の場合、コンピュータウィルスなどを使って不正に乗っ取られたパソコンから攻撃を行うため、誰が主導したのか分かりにくいという問題がある。

また、ターゲットになるサーバには不正な近づき方ではなく、通常アクセスの形で情報送信されることが多いため、事前に防ぐことが非常に難しいのがDDoS攻撃なのだ。

DDoS攻撃を安く防げるICO企業が登場

DDoS攻撃を受けた企業などはサーバがダウンすることが多く、復旧に時間が必要になるため、莫大な経済的損失を被る可能性がある。

また、顧客から「システムがしっかりしていない企業」というレッテルを貼られるリスクもあり、経済的損失に加えて、信頼という資本主義社会においてもっとも需要なものを失うことになる。

そんなDDoS攻撃の恐怖をリーズナブルに防いでくれるICO企業が登場した。それは、「Gradius」である。

Gradiusは2017年11月1日から11月30日までICOを実施し、仮想通貨であるGradiusトークンを発行して資金調達を行う予定になっている。

Gradiusは誰でも使えるインターフェイスを用意しており、個人でも簡単に設定を行える仕組みになっていて、ウェブサイトをDDoS攻撃から守るプラットフォームを構築するとしている。

Gradiusは2018年3月からベータ版をリリースして、2018年8月にフルにサービス展開を行うことになっている。また、2018年12月にはシステム強化を行って、セキュリティ面などをさらに改善していくとしている。

ホワイトペーパーがないICO企業

現代のインターネット社会が抱えている深刻な問題であるDDoS攻撃に対する処方箋を提示しているGradiusは、大きなポテンシャルを秘めたICO企業ということができるだろう。

DDoS攻撃からウェブサイトを守るためのサービスを提供しているICO企業は、私が知る限り初めてであり、他社との差別化という観点からするとGradiusは非常によく考えられたビジネスモデルと言うことができる。

Gradiusの珍しい点として、ウェブサイトにホワイトペーパーが掲載されていないことがある。

「ICO企業=ホワイトペーパーがある」とお考えの方がいるかもしれないが、ホワイトペーパーは法定書面ではないため、ウェブサイトへの掲載判断はICO企業に委ねられており、掲載せずにICOを実施しても法的な問題は存在しないと考えられている。

100ページ近いホワイトペーパーを用意しているICO企業などがあるが、そんな長い資料を読むのは私のような職業をしている人くらいで、普通の投資家は5ページくらいでやめてしまうだろう。

ホワイトペーパーをウェブサイトに掲載しないというのも1つの選択肢ではあるが、ホワイトペーパーがないと投資をしないという人もいるため、その点からするとGradiusのマイナス要因になるのかもしれない。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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