ビットコインの適正価格は100米ドル?

17世紀のオランダではチューリップなしでも生きていけた

2017年12月に入り、ビットコインの価格が10,000米ドルを超えたことによって、いろいろなところから、「ビットコインはバブルなのか?」という質問を受けるようになった。

この質問に対する回答は、「バブルの時はバブルであると誰にも分からない。バブルは、はじけた後に初めてバブルと分かる」となる。

ビットコインがバブルであるかどうかについては、2017年9月11日のアメリカの不動産バブルを経験した元外資系金融マンがビットコインがバブルなのか考察してみた で検証しているため、詳しくはこちらをご覧頂きたい。

2017年11月16日に東京で「ロイター・グローバル・インベストメント・2018・アウトルック・サミット」が開催され、国内外の金融機関関係者が出席し、さまざまな議論が行われた。

その中で、ビットコインの価格に関してコメントを出す金融機関の幹部がいて、いろいろな意味で興味深かったので、皆様にも報告したいと思う。

まず、前提としてお伝えしておくと、既存の伝統的な金融機関に所属している人たちは、ビットコインなどの仮想通貨を毛嫌いする傾向にある。

なぜ銀行員などがビットコインを嫌うかについては、2017年9月30日の記事銀行が仮想通貨を嫌うのはなぜ?をお読み頂きたい。

決済機能を持つビットコインなどの仮想通貨は、既存の銀行などにとって脅威の存在であり、ビジネスを奪われる可能性のある商売敵であるため、存在自体を認めなくないという深層心理(?)があるようだ。

また、銀行などは既存の権威主義の象徴であり、法定通貨の番人のような地位を占めているため、ビットコインなどの仮想通貨が台頭してくることによって、自分たちが消えてなくなるリスクを感じているとも言えるだろう。

仮想通貨評論家コインマンとして、私は仮想通貨業界側に現在はいるが、ほんの少し前まではバリバリの銀行員で、あちら(金融機関)側の人間だった。

私は以前、「ビットコイン?何だそれは?」と感じる側にいたため、彼ら(銀行員のことね)の考えはある程度理解しているつもりである。

私の場合、仮想通貨評論家という立場上、ビットコインなどの仮想通貨には投資を行わないスタンスを取っている。

既存の金融機関に勤務している人たちも、私と同じく「ビットコインなどの仮想通貨には投資しない」と明言しているケースが多い。

「ロイター・グローバル・インベストメント・2018・アウトルック・サミット」に参加した関係者からも、「ビットコインはバブル」とか「あんなものには絶対投資しない」などの辛辣なコメントが相次いでいた。

興味深かったのは、ICICI Prudential Asset Management Companyの最高投資責任者であるサンカラン・ナレン氏の発言だ。

彼は、「ビットコインへの投資をせずに生きていけるかどうか?生きていけるに決まっているだろう。17世紀にオランダで発生したチューリップ・バブルが良い例さ。チューリップの球根がなくても、当時のオランダで生きていけたかどうかを考えてごらんよ。生きていけたに決まっているだろう」と皮肉を交えて答えた。

2017年9月にアメリカの大手金融機関JPモルガンのジェームズ・ダイモン最高経営責任者も、「ビットコインは詐欺である。オランダのチューリップ・バブルよりもひどい」とコメントして、ビットコインなどの仮想通貨価格が暴落した。

どうやら既存の金融機関で働いている人たちは、17世紀のオランダで起こったチューリップ・バブルと現在のビットコイン価格を結びつけるのが好きなようだ。

オランダでチューリップ・バブルがピークを迎えたのは、1636年から1637年だったと考えられている。

1636年11月から1637年2月にかけての3カ月間で、オランダのチューリップ球根価格はおよそ200倍上昇したと言われている。

その後、1637年5月までのこれまた3カ月で、200分の1に急落したことで人々はチューリップ・バブルの夢から覚めることになった。

17世紀のチューリップ・バブルの研究で興味深いのは、「貴族がほとんど取引に参加しておらず、金持ちの商売人や職人などがチューリップを買いあさっていた」というものだ。

現代の既存の金融機関は、チューリップ・バブルに参加しなかった17世紀のオランダにおける貴族に該当するのかもしれない。

17世紀のオランダでチューリップを買いまくっていた商売人や職人などは、現在ビットコインを購入しているITに詳しいビジネスパーソンやエンジニアに該当するのだろうか。

どちらにせよ、ビットコイン価格がチューリップの球根価格のようにバブルとして今後はじけるかどうかは誰にも分からない。

ビットコイン・バブル崩壊が怖いとお考えの方がいる場合、取りうる方法は手持ちの仮想通貨を売却することしかない。

最終的には自己責任であり、利益を確定する場合でも、損失を被る際でも人のせいにしないということが大原則になる。

ビットコインが100米ドルになったら買ってもいい?

「ロイター・グローバル・インベストメント・2018・アウトルック・サミット」には、日本の金融機関の幹部も参加していた。

元ゴールドマンサックス日本法人副社長で、ゆうちょ銀行副社長兼最高投資責任者の佐藤勝紀氏は、「仮想通貨の価値はゼロではないと考えている。ただ、個人的に、ビットコインの適正価格は良くて100米ドルくらいだろう」とコメントしている。

この記事を執筆している2017年12月5日時点で、ビットコインの価格は11,000米ドルを突破している。

ゆうちょ銀行の佐藤副社長の考えるビットコイン価格は、現在の80分の1である100米ドル程度ということで、「バブルだと感じたら、近づかないのが正しい」とも付け加えている。

Aviva InvestorsのMulti-Asset責任者であるピーター・フィッツジェラルド氏は、「過去の例を調査してみても、多くの人が予想する以上にバブルというものは長期化し、信じられないくらいに膨らむ傾向にある」とコメントしている。

2008年にアメリカで金融危機が発生するまで、アメリカの不動産価格が異常なまでに高騰し、バブルが膨れ上がったケースを私は実際に目にしたが、フィッツジェラルド氏のコメントはなかなか含蓄があるように感じた。

一方で、イギリスのヘッジファンド会社であるMan Groupは、シカゴ・マーカンタイル取引所でビットコインの先物取引が開始されれば、ビットコインを投資対象に追加する意向を表明している。

ヘッジファンドの場合、価格が上がっても下がっても、方向性がある程度固まっていれば利益を出せるという特徴がある。

Man Groupがビットコインを投資対象に入れる可能性があることを示唆したことは、「ビットコインが上がっても下がっても、自分たちは利益が出せる」と考えている可能性があるからであり、ビットコインが上がり続けると考えているとは限らないところにポイントがありそうだ。

私自身は、仮想通貨評論家コインマンとして中立の立場からビットコイン価格を見続ける予定である。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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