【Bitindia】インドの社会問題を解決するICOが登場

借金ができないと豊かになれない?

日本は識字率がほぼ100パーセントの国であり、どんな地方都市に行っても新聞が配達されており、NHKが全国津々浦々で番組を放映していることから、情報から完全に遮断されるということが難しい社会である。

一方、世界に目を向けると水道やガス、電気が通っていないところに住んでいる人たちが結構おり、情報がほとんど入ってこない地域は発展途上国を中心にかなり存在している。

インドというと人口13億人の大国であり、経済発展が著しいというイメージがあるかもしれないが、地方に行くと貧困層が多く住んでおり、いろいろな社会問題を抱えている国でもある。

貧富の差が激しいと言われるインドであるが、地方に住んでいる貧しい人たちが金融サービスにアクセスできないという問題を抱えている。

日本に住んでいると、無料で簡単に銀行口座を開設することができるが、世界的に見ると日本の仕組みは結構珍しいのである。

過去の記事でも書いているが、アメリカやフランスなどの先進国であっても、一定額未満の残高しかない預金者に対して、口座維持手数料を求める銀行が多く、それが払えないために銀行口座を持てずにいる人たちも存在するのである。

発展途上国の場合、地方都市に銀行の支店がないケースがあり、これらの地域に住んでいる人たちの多くは、金融システムにアクセスすることができなくなっている。

銀行口座を持つことができず、金融システムにアクセスできない人たちのことを「アンバンク(Unbanked)」と呼ぶが、この問題を解決すべく、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が財団を設立するなど、さまざまな動きが出てきている。

無料で簡単に銀行口座を持つことができる日本に住んでいる我々からすると、「銀行口座がないということは、仕事があっても給料を受け取ることすらできないのか」と思いがちだが、本当の問題は借金ができないということなのだ。

自分でビジネスを始めたり、子供を学校に行かせたいと考えていても、手元にお金がなければ何もすることができない。

お金がない以上、どこかから借りるしかないが、その前にお金を受け取るための銀行口座がないために、アンバンクの人たちは最初の一歩である融資申請そのものができないのだ。

また、銀行などの伝統的な金融機関からお金を借りる場合は、信用情報がなければローンの審査がおりない。

日本の場合、1人平均3枚のクレジットカードを持っていると言われており、クレジットカードを使って買い物をし、請求日に予定通り引き落としが行われることによって、信用情報が蓄積されていく。

あまり意識することはないかもしれないが、先進国で経済活動を行っていると、自然と信用情報が構築されるようになっているのである。

しかしながら、インドなどの発展途上国で銀行口座を持つことができないアンバンクの人たちの場合、信用情報を蓄積する機会が与えられないために、ローン申請すらできない状態に置かれているのである。

経済学の父と呼ばれるイギリスのアダム・スミスは、「道徳感情論(1759年)」という本の中で、「幸福とは、健康で借金がなく、心にやましいことがない状態のことである」と述べている。

これは一見もっとものようだが、発展途上国のアンバンクの人たちに、アダム・スミスの言葉は当てはまらない。

なぜならば、アンバンクの人たちは、幸福になるために借金をしたいにもかかわらず、金融システムにアクセスできないためにローンを申請することすらできず、ずっと貧しく、不幸な状態を続けなければならない境遇に置かれているからだ。

そんなアンバンクの問題を、インドで解決するためのICO企業が登場した。その会社の名は、「Bitindia」である。

インド人の0.5パーセントしかビットコインを知らない

Bitindiaによると、インド人の0.5パーセントしかビットコインのことを知らないという。インドの人口はおよそ13億人であり、Bitindiaの言うことが本当であるならば、およそ650万人しかビットコインのことを知らないということになる。

つまり、インドの12億人以上の人たちは仮想通貨の存在そのものを認識していないことになり、Bitindiaがそのギャップを埋めるとウェブサイト上で宣言している。

Bitindiaは、インドの都心部に住んでいる20パーセントの人口にアプローチし、ブロックチェーンと仮想通貨に関する教育を行うとしている。

その目的は、「インドにおいてもっとも簡単でスピーディな仮想通貨プラットフォームを構築するため」とBitindiaは述べている。

伝統的な金融機関は時代の流れについていけない?

Bitindiaは、2017年11月11日から12月11日までICOを実施しており、2018年4月からサービスを開始する予定になっている。

また、2022年以降、世界中でBitindiaのサービスが使えるようにするともホワイトペーパー上で説明している。

従来の中央管理型の金融機関の場合、都心部に本店を設置して、地方都市に支店を配置するという伝統的な金融サービスしか提供できなかった。

中央管理型の金融サービスの場合、人口が集中している都心部に経営資源を投入する方が効率的であるため、インドに限らず、世界中の伝統的な金融機関は都心回帰の傾向を最近になってますます強めている。

私自身、伝統的な金融機関に長く身を置いてきたが、監督官庁が中央集権的組織の権化のような存在であるため、従来の銀行や証券会社などの動きが古くさくなってしまうのはしょうがない側面もある。

スマートコントラクトを活用したブロックチェーン企業の場合、中央管理側の仕組みではないため、インターネットにつながっている全世界の人たちにどこからでも商品、サービスを提供することが可能になっている。

インドのようにスマートフォンは普及しているが、銀行口座を持っていない人たちがたくさんいる社会では、スマートコントラクトの金融サービスが拡大する余地があるのである。

海外に出稼ぎに出ている家族から仕送りをしてもらう際、従来は銀行口座がなかったためにお金を受け取ることができなかった人たちが、Bitindiaのプラットフォームを使うことによって、スマートフォンで資金のやり取りをできる可能性が出てきたのである。

Bitindiaを使う人が多くなればなるほど、利便性が高まってさらにBitindiaを使う人が増えるという好循環に入る可能性がある。

「ビットコインのことを知っているインド人はわずか0.5パーセント」というBitindiaの唱える統計は若干信憑性に欠けるような気がするが、本当であれば、Bitindiaがインドの仮想通貨業界を席巻し、一気に顧客を獲得できる可能性は高いと言えるだろう。

Bitiindiaは送金手段だけではなく、将来的に日常的な買い物でも使える決済通貨としての機能も目指すとしている。

しかしながら、Bitindiaのホワイトペーパーにはあいまいな表現が多く、かなりアバウトな記載もある。

ホワイトペーパーの25ページ目では、「Bitiindiaは手数料無料のサービスを利用者に提供するかもしれない」と述べており、「かもしれない」というのはビジネスであまり使わない表現である。

おおらかなお国柄かもしれないが、Bitindiaのオペレーションがロードマップ通りに進められるかどうかを今後も注視する必要がありそうだ。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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