ICOで将来のスーパースターを養成するためのプロジェクトを開始?

ICOで将来のスーパースターを養成するためのプロジェクトを開始?

今や日本を飛び越え世界各地でも活躍しているAKBグループだが、2005年に活動を始めたころは「会いに行けるアイドル」として、ファンと共に成長していくことをコンセプトにしていたと言われている。

ただ、初回講演はたった7人しか顧客が入らず、集客に苦悩する日々がしばらくは続いたとされている。
現在は、年に一度の総選挙やCD購入によって入手可能な握手券などで多額の収益を上げていることで知られ、さまざまな話題を提供しながら、一大産業としてエンターテイメント界を牽引する存在になっている。
総選挙や握手会などに参加することで、ひいきのアイドルの人気が上昇し、ファンと共に喜びを得られるということになっているが、株式投資などと違い、AKBのファンに金銭的なリターンが入ることは基本的にない(具体的な喜び、効用としては握手できることくらいだろう)。
現在は無名であっても、今後成功する可能性がある若いタレントに対して、ブロックチェーン・プラットフォーム上で投資し、彼、彼女が将来有名になればリターンを得られる仕組みを提供する企業がシンガポールで登場した。
TokenStarsCompanyが提供するACE Projectである。

ACE Projectはスポーツ界や芸能界の青田買い?

大学卒業者を企業が一括採用する文化がある日本では、「青田買い」という言葉がある。
ポテンシャルの高い学生を早めに見つけて、他の会社に行かさないようにすることだが、ACE Projectはスポーツや芸能の分野で高い潜在能力を持つ若手に仮想通貨で投資を行い、将来の成功でリターンを得るビジネスモデルである。
TokenStars Companyは、2017年8月31日からACE Projectに関するICO(仮想通貨による資金調達)を行う予定であり、ウェブサイト上で若いテニスプレーヤーへの投資を募っている。
TokenStars Companyによると、若いテニスプレーヤー1人が活動する資金として、年間10万ドル(約1,100万円)が必要であるとしている。

ACE Projectの仕組みは分かりやすい

ACE Projectに参加したい人は、TokenStars Companyが発行しているACEトークンを購入し、スター候補の若者はTokenStars Companyからサポートを受けられる仕組みになっている。
スター候補はサポート受けられる代わりに、TokenStars Companyに対してエージェント手数料を支払い、スター候補が将来成功すればACEトークンの値上がりが期待でき、利用者もリターンを受けられるようになるわけだ。
ACE Projectを通じて成功したスターが広告などに出る場合、スターが受け取る広告契約収入の内、いくらかをエージェント手数料として、TokenStarsCompanyが受け取れるようになるとウェブサイト上で説明されている。
TokenStars Companyと将来のスター候補は契約を結ぶことになるのだろうが、ACE Projectのウェブサイト上ではどのような契約を行うかの説明は行われていない。
ただ、ACEトークンは以下のような使い道もあるという。

・スター候補とのトレーニング時間
・スター候補が出場する試合のチケット
・スター候補とのビデオチャットやメッセンジャーチャットなど

ACE Projectはスポーツ、芸能の分散投資モデル?

TokenStars Companyはウェブサイトの中で、全世界にスカウティングネットワークを持っており、スポーツや芸能の才能を持つ若い人たちを発掘する仕組みを持っているという。
世界中にいるスター候補に投資をしておき、1人でも成功者が出れば、それで投資を回収するという一種の分散投資モデルだろう。
TokenStars Companyは、2017年3月にテニスコーチ、プレーヤー、エージェントなど50人以上でミーティングを開催し、2017年7月にテニスプレーヤーと初めての契約を締結したとしている。
また、ICOが始まる前の2017年8月10日に、ACEトークンの先行販売で150万米ドル(約1億6,500万円)を調達したとしている。
ACEトークンのICOは2017年10月31日に終了予定で、その後の購入希望者のために、2017年11月中にACEトークンを仮想通貨取引所で交換可能にするとウェブサイト上で説明している。
TokenStars Companyは第1ステージとして、テニスとサッカーの才能を持つ若者のサポートを開始することになっている。
テニスは2017年8月31日から、サッカーは2017年9月14日からスタートし、第2ステージとして、バスケットボールやホッケーなどの選手についても、2017年9月からサポートを行っていく予定である。
第3ステージは俳優、女優、ミュージシャン、モデルのサポートを行うことになっているが、この部分については開始時期の掲載がウェブサイト上にない。

ACE Projectにちらつく「アイドルファンド」の苦い過去

TokenStars CompanyがACE Projectを開始する14年前の2003年、日本のジェット証券という証券会社が「アイドルファンド」という商品を開発し、大々的に宣伝しながら販売を行った。
「投資でアイドルをプロデュースする」というのがアイドルファンドのキャッチフレーズだったが、運用は上手くいかず、金融商品としては失敗だったとされている。
アイドルファンドが失敗した原因として、無名のアイドルが人気になるまでの時間がある。
アイドルファンドの仕組みは基本的に株式投資と同じであり、商品であるアイドルが人気になり、CDやグッズなどが多くの人に購入され、テレビなどのメディアに登場するなどして利益を出さなければならない。
アイドルが行う芸能活動の収益の中から、投資家にリターンが還元されることになるからだ。
ほとんど知られていない地方のアイドルなどが全国区の存在になるには、早くても5年以上かかるという意見もある。
広島のローカルアイドルだったPerfumeは2000年に結成されたが、紅白歌合戦に出場したのは、2008年12月31日である。
現在は世界的なアイドルに成長したPerfumeでさえ、音楽界の一つの目標と言われる紅白に出場するのに、結成から8年以上の歳月を要しているのだ。
当たり前の話だが、「8年経って、ようやくプラスになりました」では金融商品として失格である。
結果的に、アイドルファンドを販売していたジェット証券は別会社に吸収され、2009年に消滅することになった。
2011年にイニシア・スター証券という証券会社が、こりずにアイドルファンドを販売している。
しかしながら、2012年12月にイニシア・スター証券は、金融庁から法令違反を指摘され、金融商品取引業者の登録取り消しという前代未聞の行政処分を受けている。
その後、2013年2月にイニシア・スター証券は破産開始手続き決定を受け、この世から消滅した。
過去2回アイドルファンドを売り出した証券会社は、もう存在していない。
この事実は、若いスター候補を発掘し、収益を上げるまでサポートし、投資回収することの難しさを物語っていると言えよう。

現在はアイドル界のドル箱となったAKBグループだが、発足当初の数年は巨額の赤字が出ていたと言われている。
TokenStars Comapanyが開始したACEProjectに「継続する意志」がどこまであるかは、5年後明らかになっているだろう。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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