ファンドマネージャー用の仮想通貨現る?

ファンドマネージャー用の仮想通貨現る?

ファンドマネージャーの仕事をしている人に直接会う機会はあまりないが、彼ら、彼女らはテレビや新聞などには時々登場する。

専門的な金融知識や高度な数学的分析を駆使して、顧客から預かった資産を大きくすることがファンドマネージャーの仕事であるが、彼ら、彼女らが取り扱ってきたのは、基本的に法定通貨だけだった(当たり前であるが)。
そんな中、ファンドマネージャー用の仮想通貨が登場し、資産運用手法の新しい形として注目を集めている。
その仮想通貨の名は「Blackmoon Crypto」である。

ローンを提供していた会社が仮想通貨業界に参入

Blackmoon Cryptoを運営しているのは、Blackmoon Financial Groupである。
この会社はロシア人によってアメリカで設立され、ニューヨークとキプロスにオフィスを持ち、ローン商品を中心に展開している金融サービス会社である。
キプロスは地中海に位置している人口100万人足らずの小さな島国だが、ロシアから地理的に近く、税率の低さもあって、ロシア人やロシア企業が多く拠点を置くタックス・ヘイブンとして知られている。
Blackmoon Cryptoのコンセプトは、「仮想通貨で投資ファンドの運用ができる環境をファンドマネージャーのために整備すること」だそうだ。
投資家は仮想通貨であるBlackmoonCryptoを購入し、2018年から運用が予定されているファンドに投資を行って、BlackmoonCryptoでリターンを受け取るという仕組みである。

仮想通貨界のアセットマネジメント会社?

Blackmoon Cryptoのウェブサイトを見てみると、2017年8月時点で運用開始予定のファンドが16個紹介されている。
その内容は、仮想通貨界のアセットマネジメント会社という感じである。
投資先としては、金融テクノロジー会社、株式指数、ICO(仮想通貨による資金調達)を予定している仮想通貨など、さまざまである。
法定通貨を使って投資ファンドを作ろうとすると、信託保全をしてくれる信託銀行を探したり、誰も読まない分厚い目論見書(正式には「契約締結前交付書面」という)を準備したり、何だかんだとコストがかかり、時間もかかるのである。
仮想通貨であれば、これらのややこしい処理がオンライン上で可能であり、運用業務だけに集中し、リターンの大部分を投資家に提供することが可能になる(不正がなければであるが)。

アメリカ当局による微妙な表現

そんな中、アメリカの証券取引委員会(SEC)が2017年6月に発表したガイダンスが注目を集めている。
SECによると、仮想通貨の売買は「証券取引法が適用されるかもしれない」というのだ。
ポイントなのは、「適用されるかもしれない(May Apply)」という微妙な表現であり、今後仮想通貨を使ってファンド運用などを行う場合、SECの検査が入ったり、運用会社に対して行政指導が行われる可能性を示唆したのである(明言はしていない)。

投資運用業務の開始

Blackmoon Cryptoは2018年の早い段階で、投資運用業務を開始する予定にしている。
最初の2つのファンドは、Blackmoon Financial Group内で運用が行われる予定であり、この方針は金融当局からにらまれない形で業務を始めるということなのだろう。
ブロックチェーン技術は匿名性という特徴があるが、裏を返せば、インサイダー取引を誘発しやすいということでもある。
日本でもアメリカでも世界中どこでもそうであるが、金融業務を行う場合は、当局の意向を見ながら動かざるを得ないのである(経験者は語る)。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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