【Centra Tech】仮想通貨があれば世界中で買い物できるようになる?

仮想通貨はポイントに似ている?

住んでいるとあまり意識することはないが、日本はかなりのポイント社会である。
この記事は、とあるマクドナルドの店舗で執筆されているが、アイスコーヒーを購入する際に「dポイントカードか楽天ポイントカードはお持ちですか?」と尋ねられる。
私の場合、どちらも持っていないため「ありません」と答えることになる。
スーパーなどで日用品の買い物をする時でも、「Tカードはありますか?」と聞かれることが多い。
私は、ホノルル(ハワイ)、ニューヨーク、パリの3都市で合計6年近く生活していたが、買い物や外食をする際にポイントのことを尋ねられた記憶はほとんどない。
また、日本の場合、クレジットカードの選び方もポイントの貯まり方が大きな影響力を持つと言われている。
私は以前、クレジットカード会社に出向していたことがあるが、当時の日本法人社長は外国人だった。
彼はいつも、「どうして日本ではポイントがそれほど重視されるのだ?」とつぶやいていた。
そう、日本は世界でもまれなポイント大国なのである。
私は仮想通貨評論家として生計を立てているが、仮想通貨のことを調べれば調べるほどポイントとの類似点が多いことに気づく。
仮想通貨で買い物ができる日本国内の店舗は現時点で限られており、大手家電量販店が一番有名である。
最近はあらゆる業種がポイントを導入しているが、利用できる店舗やサイトは限られている。
Tポイントを楽天市場で使うことはできず、Yahoo!ショッピングサイトでdポイントを消化することは認められていない(当たり前だ)。
仮想通貨の場合、日本ではビットコインが圧倒的なブランドを持っているが、最近ではICO(仮想通貨による資金調達)が急増していることから、スマートコントラクトを提供しているイーサリアムの需要が拡大している。
ビットコインを利用できる店舗は日本でもいくつかあるが、国内の大手仮想通貨取引所がイーサリアムの店舗決済サービスを2017年8月から開始している。
今後は、日本でもアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)で買い物できる機会が出てくると思われるが、現時点ではTポイントなどの方が使える店舗数は圧倒的に多い。
「決済可能な店舗が限られており、利用するためには特定のカードやアプリを保有する必要がある」ということがポイントと仮想通貨の類似点である。
また、店舗側もポイントや仮想通貨で決済するために、インフラストラクチャー(機器やアプリなど)を用意しておく必要がある。
「利用できる店舗が限定されている」という仮想通貨の弱点を補うブロックチェーン企業が、アメリカのマイアミで登場した。
その名は、「Centra Tech」である。

仮想通貨を使い世界3,600万店舗で買物可能?

Centra Techが提供しようとしているサービスの中で目玉になるのは、何と言っても「The Centra Card」である。
The Centra Cardがあれば、保有している仮想通貨を使って「世界中にある3,600万店舗でショッピングが可能になる」とCentra Techのホワイトペーパー(ICOを実施する企業がウェブサイト上に掲載している事業計画書)上で説明されている。
The Centra Cardはクレジットカードではなく、日本であまり使われないデビットカードの機能を提供する予定である。
クレジットカードの場合、ショッピングを行った1カ月以上後に銀行口座から利用料金が引き落とされるが、デビットカードでは決済額が銀行口座にないと買い物をすることができない。
フランスでは多くの買い物がデビットカードで行われ、クレジットカードはあまり使われていない。
アメリカのスーパーなどに行ってクレジットカードを提示すると、「Debit or Credit?」とよく尋ねられる。

「デビットカードとクレジットカードどちらにする?

」という意味だが、アメリカで発行されているカードはデビットとクレジット両方の機能を持っているケースがあるためにこのような聞かれ方をする。
2008年の金融危機以降、アメリカでもデビットカードを使う人が増えていると言われている。
リーマン・ショック後の景気後退で失職したり、家を失ったりした人などが、クレジットカードで使い過ぎた分を払えなくなるケースが相次いだためである。

銀行口座を持たない人たちを救う仕組み?

The Centra Cardの利用方法はシンプルであり、日本でも簡単に使えそうである。
まず、Centra Techのウェブサイトに入り、Centra Walletと呼ばれるアプリをスマートフォンなどにダウンロードする。
アプリからThe Centra Cardの発行を依頼することで、手元にデビットカードが届く仕組みになっている。
アメリカに住所がある人に対してはVisaのデビットカードが送付され、アメリカ以外に住んでいる利用者にはMasterCardのデビットカードが送られる。
日本の場合、銀行口座を無料で開設することができるが、アメリカをはじめとする海外では、一定額以上の資金を預けなければ口座維持手数料を取られることが一般的だ。
このハードルがあるため、アメリカのような先進国であっても、銀行口座を持つことができない「アンバンク」と呼ばれる人たちが一定数存在している。
発展途上国の場合、僻地などでは銀行の支店がないことがあり、決済機能を持てない人が多いことから、貧困から抜け出すことができないという社会的な問題がある。
また、発展途上国の場合、家族が海外に出稼ぎに行っているが、自国で銀行口座がないために送金を受け取ることができないケースがある。
インターネットにつながる環境があれば、仮想通貨経由で決済機能を提供できることから、世界が抱えるアンバンクの問題に対して、Centra Techはブロックチェーン技術を活用してチャレンジしようとしている。

問題は当局との交渉?

元銀行員であり、当局対応担当者だった私からすると、Centra Techの試みは素晴らしいと思うが、「当局が許可してくれるのか?」という疑問が残る。
Centra Techはこの点についてもホワイトペーパー上で言及しており、9ページ目で「当局がブロックチェーン・スタートアップ企業にどう対応してくるか不透明な部分がある」と認めている。
日本でCentra Techのようなサービスを始める場合、あらかじめ金融庁や財務局にお伺いを立てるのが一般的である。
アメリカの当局の場合、「とりあえず始めさせて、問題が起こったら規制する」というスタンスがあり、Centra Techもひとまず始めてみようという精神で事業をスタートさせたようだ。
Centra Techは、2017年9月19日から10月5日までICOを実施する予定である。
The Centra CardとCentra Walletのシステムは既に準備ができているようで、Centra Techの未来のために潤沢な資金を用意しておく必要があるため、ICOを行うとホワイトペーパー上で説明している。
当局との交渉という問題はあるが、Centra Techのウェブサイトとホワイトペーパーを読んでみて、新しいことに挑戦しようとするアメリカン・スピリッツを垣間見たような気がした。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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