【ICOICO】政府と協働してICOをサポートする企業が登場

政府の動きを気にするICO企業

私は仮想通貨評論家コインマンとしてICO記事を執筆しているが、仮想通貨を発行するICO企業向けにコンサルティング業務も行っている。
ICOを実施する場合、投資家向けの情報提供から仮想通貨の販売まで、すべてのプロセスがインターネット上で行われる。
そのため、ICO企業の本拠地がどこにあるかは、従来それほど大きな問題ではなかった。

しかしながら、2017年後半くらいから各国政府が仮想通貨取引に対して規制する可能性について声明を発表したり、ICOを禁止する措置を出しており、ICO企業にとって本拠地をどこに置くかは重要な経営判断になってきている。

アメリカでは、2017年7月に証券取引委員会がICOなどの仮想通貨関連手続きについて、「証券取引として規制対象になる可能性がある」との声明を発表した。

シンガポールでは、8月に金融当局が「ICOはマネーロンダリングやテロリストへの資金供与手段として利用される可能性がある」とコメントし、仮想通貨取引の規制に乗り出す可能性を示した。

9月には中国政府がICO禁止措置を発表し、韓国政府も今後ICOを全面禁止する方向であるという報道がなされている。

日本は世界に先駆けて仮想通貨取引所の登録制度を開始したが、2017年に施行された改正資金決済法(別名「仮想通貨法」)にはICOに関する規定がなく、ICOに対する日本政府のスタンスを把握するのが難しいと言われている。

2017年に入ってからICO企業が急増しており、世界のあちこちで仮想通貨による資金調達が実施される予定になっている。
しかしながら、ICO企業や仮想通貨取引所は政府の動向を見ながら経営を行う必要があり、仮想通貨に寛容な国や地域に本拠地を移す動きも出始めている。

ICOに対する各国の方針が現状はバラバラであるため、ICO企業の経営者は金融当局の意向を敏感に見定めながら組織運営を行うことが求められている。
国によっては突然ICOへの方向性を変える可能性があり、企業はできるだけ少ない経営資源でICOを行うニーズが高まっている。

そんな中、ICO関連作業を外部委託できる便利な仕組みを提供する企業がジブラルタルに登場した。

その名は、非常に分かりやすい「ICOICO」である。

政府と協働しているICO企業

ジブラルタルはスペインの最南端に位置しているイギリス領土であるが、ジブラルタル自治政府が内政を掌握している。防衛部分ではイギリス政府に頼っているが、経済政策についてはジブラルタル自治政府が判断を行っているとされる。

今回紹介するICOICOはウェブサイトの中で、「政府と協働しながら、ICO企業が健全なビジネスモデルを構築するためのサポートを行う」と宣言している。

ICOICOが具体的にどのようにして政府と協働するかについては言及されていないが、ジブラルタル自治政府と良好な関係を築きながらビジネスを展開していくことを示しているのだろう。

ジブラルタルは人口3万人程度の小さな自治区であり、イギリス軍の軍事関連産業が最大の経済基盤である。一方で、低めの法人税を設定していることによって、銀行などの金融関連業務が拡大しており、オンライン・ビジネスも盛んになっている。

ICOICOはジブラルタルだけではなく、アメリカのロサンゼルス、ベラルーシのミンクにもオフィスを構えており、非常にシンプルで分かりやすいICOサポート業務を展開していくとウェブサイト上で述べている。ICOICOのプラットフォームを使って、ICOを実施する際のプロセスは以下の通りである。

1. ICOICOのウェブサイトに入り、Eメールアドレスとパスワードを設定の上、サインインする。

2. ICOを実施する企業の概要やウェブサイト、キャンペーン情報などを入力する。

3. ICOで発行する仮想通貨の詳細(総発行枚数、ICO開始日と終了日、今後のビジネス展開予定など)を入力する。

4. ホワイトペーパーなどのマーケティング関連資料をアップロードする。

短めのホワイトペーパー

上記の4ステップで、企業がICOを実施できる画期的なサービスを提供する予定のICOICOだが、自社のICOは2017年11月と2018年1月の2回に分けて実施する予定であるとホワイトペーパー上で説明している。

また、ICOICOのホワイトペーパーは10枚と比較的短めになっている。ICO企業によっては、100枚近いホワイトペーパーを用意しているところもあるが、投資家からすると長すぎて読みにくく、集中力を継続するのは難しい。

短くて読みやすいのは良いのだが、ICOICOのホワイトペーパーにはロードマップと呼ばれる今後の予定を示す項目が見当たらなかった。
また、ICOICOが発行する仮想通貨であるICOICOトークンが、将来的に仮想通貨取引所で法定通貨や主要仮想通貨に換金、交換できるかどうかについても記載がなかった。

ICOをサポートする企業であるならば、仮想通貨にとって命ともいえる流動性に関する記載、つまり「取引所での上場を目指すかどうか」についてホワイトペーパーに書いておいてほしいものである。

ICO業務のサポート依頼を検討する企業は、まずICOICOのホワイトペーパーを熟読すべきである。ロードマップなどの重要なポイントが見当たらないため、真剣にICOICOを利用したいと考える会社は、ホワイトペーパーの最終ページ部分に掲載されているICOICOのメールアドレスに連絡することをおすすめする。

また、ICOICOが2017年11月と2018年1月に実施するICOへの投資を検討している人も、不明点などがあればICOICOにメールで連絡をしてみるとよいだろう。
メールによる照会に対して、すぐに適切な回答をしてくれる場合、ICOICOは顧客や投資家に誠実に対応していく可能性が高い。

ICO企業に限らないが、顧客や投資家の問い合わせにすぐに対応する組織は、商品やサービスの改善を継続して行っていく傾向にあるからだ。
逆に、連絡をしてもなかなか返事が来ない場合やいつまで経っても回答をしない組織は、いろいろな意味で注意が必要になる。

サポート態勢への疑問

ICOICOは、4つのステップだけでICOを実施できるプラットフォームを提供する事になっている。しかしながら、ICOICOの顧客になるICO企業に対してどのようにサポートしていくかの態勢整備に関する説明が、ウェブサイトにもホワイトペーパーにも見当たらなかった。

ICOICOが提供するのは、契約を自動で執行するスマートコントラクト・プラットフォームであり、すべてコンピューターが処理する仕組みであるのは理解できる。

ただ、ICOを行う企業にとっては、人間によるサポートが必要な局面が出てくる可能性があるため、ICOICOが直接の問い合わせにどのように対応するかが今後の重要なポイントになるような気がしている。

ICOICOのスタッフとして、2人だけがウェブサイトに掲載されている。ヨーロッパでは、8月に1カ月近い休みを取る国や地域があり、あまりにも人員が少なすぎると、夏季休暇中の問い合わせなどに対応ができないリスクがある。

ICOICOは、「我々は小さなチームだが、明確な使命と価値観を共有している」とウェブサイトで述べている。それは素晴らしいと思うが、少ない人員で問題なく顧客対応ができるかどうかについても、きちんと説明してもらいたいものである。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。