【AML Token】マネーロンダリングを心配しなくてもよいICOが誕生

ニューヨークは仮想通貨取引所に厳しい州

私は仮想通貨評論コインマンとして、世界中の仮想通貨に関する法律や規制を調べている。

日本は2016年に国会で成立した改正資金決済法(施行は2017年)に基づき、2017年9月29日に11社の登録済み仮想通貨取引所を金融庁が発表するなど、世界に先駆けて仮想通貨に対する法整備を進めている。

2017年9月に中国政府と韓国政府が国内のICOを禁止し、仮想通貨業界が騒然となった。政府の規制によって、仮想通貨価格が大きく乱高下することをあらためて痛感した出来事だった。

シンガポールやタイ、香港などの金融当局は、「仮想通貨取引やICOで発行されたトークンは証券取引を見なされる可能性がある」という趣旨の声明を発表しており、必要に応じて検査に入る姿勢をほのめかしている。

2017年9月にアメリカの証券取引委員会(SEC)が、2つのICO企業とその創業者を告発し、詐欺コインを発行する会社に対して厳しく取り締まる姿勢を明確にした。

SECが告発したICO企業の場合、仮想通貨発行で調達した資金でダイヤモンドや不動産を購入するとウェブサイトで説明していたのだが、実際にはこれらの運営が行われていなかったようである。

また、アメリカの場合は州によって法律が違うため、仮想通貨取引所などを運営する場合はどの州に本拠地に置くかということが、重要な経営判断になってくる。

世界の金融の中心地であるニューヨークでは、2015年にビットライセンスという規制が導入され、仮想通貨取引所に対して銀行並みの内部管理態勢を求める免許制度が取り入れられた。

銀行の場合、反社会的勢力への対応やマネーロンダリング予防措置など多くのコンプライアンス関連作業があり、ひどい場合だと営業要員よりもバックオフィスの人員の方がたくさんいるのではないかというところまである。

ニューヨーク州は、ビットライセンスという規制に基づいて、仮想通貨取引所に対しても銀行並みのコンプライアンス対応を求めており、ベンチャーなどの仮想通貨取引所はニューヨークから逃げ出す結果になってしまった。

その結果、ニューヨークでビットライセンスの免許を得て事業運営をしている仮想通貨取引所は大手の数社だけになってしまった。

私が2年間住んでいた花の都ニューヨークは仮想通貨に優しくない街であり、仮想通貨評論家コインマンとして将来的に移り住むことが難しい状況になってしまった。

ニューヨークで仮想通貨取引所を運営する場合は内部管理態勢の強化が責務になっているわけだが、ニューヨークに限らず世界中のICO企業にとってマネーロンダリング対策は急務になっており、経営者たちの頭を悩ます大きな課題になっている。

アメリカの大手金融機関トップの中には、「仮想通貨はマネーロンダリングに使われている可能性があるため、仮想通貨ビジネスには参入しない」と述べている経営者もいる。

匿名性が仮想通貨の大きな武器であるが、これがマネーロンダリングの温床になっていると考えている人たちがいるわけだ。

そんな中、マネーロンダリングの問題などを解決しうるICO企業がネバダ州のラスベガスに登場した。その会社名は「NAC Foundation」であり、発行する仮想通貨の名前は「AML Token」である。

自動のマネーロンダリング対策

AML Tokenの「AML」という言葉は、「Anti-Money Laundaring」の頭文字を取ったものであり、マネーロンダリング対策という意味の略語である。

NAC Foundationが提供しているAML Tokenのホワイトペーパー1ページ目で、「匿名性の高い仮想通貨取引は大きなイノベーションとして注目されているが、匿名で送金ができるために各国政府の懸念材料にもなっている」と述べている。

また、「AML Tokenを利用することで、政府が抱えていたマネーロンダリングの心配を払拭することができる」ともNAC Foundationは付け加えている。

AML Tokenは送金時などにマネーロンダリングの問題がないか確認するための審査プロセスが自動で行われ、反社会的勢力にAML Tokenが行き届かないようにする仕組みが構築されている。

日本では、暴力団員などが銀行口座を開設できないことになっている。私自身が元銀行員であるため、この辺りの仕組みはある程度理解しているが、口座開設時に銀行が事前審査を行って、申込者が反社会的勢力ではないかどうかの確認を行うことになっている。

銀行から送金を行う場合、国内外問わず受取人がテロリストではないかどうかの確認が金融機関で行われている。法定通貨を使った送金の場合、送金者が受取人の名義を銀行に表示する必要があるため、マネーロンダリング防止策を取ることができるわけだ。

一方、仮想通貨の場合、中央管理者がいないということもあるが、送金者、受取人の両方がテロリストであっても、資金移動が可能になるケースがある。

この問題点に目をつけたのが今回紹介しているNAC Foundationであり、AML Tokenの購入者や送金者、受取人などは事前に自動の審査を受け、反社会的勢力ではないことを確認した上でAML Tokenのやり取りを行う仕組みが構築されることになる。

大物経営陣によるガバナンス

AML Tokenは2017年10月1日からICOを実施しており、マネーロンダリング対策を自動で行うアルゴリズムを搭載した仮想通貨として流通が始まる予定である。

非常に分かりやすい特徴を持ったAML Tokenだが、それを運営するNAC Foundationの経営陣には大物が揃っている。

NAC Foundationの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるMarcus Andrade氏は、ビットコイン開発が始まった2009年からブロックチェーンや仮想通貨に携わっているベテランで、元海兵隊員というキャリアの持ち主である。

また、ヨーロッパ担当の副社長であるAngela Knight氏は、イギリスの元政治家であり、金融関連の業界団体代表を務めていたこともあるようだ。

Knight氏は1950年生まれで、70歳近いシニア・エグゼクティブである。私がこれまで見てきたICO企業経営陣の中で、もっとも高齢である。

中南米担当の副社長であるCarlos De La Guardia氏は、グローバル企業のマーケティング分野で要職を経験しており、現在はパナマでNAC Foundationの仕事をしている。

また、NAC Foundationのアドバイザー陣も経験豊富なシニアメンバーが揃っている。法律や政治の分野で活躍してきた人たちがアドバイザーになっており、各国政府の動きを意識しながら人選を行っているようだ。

AML TokenのウェブサイトにNAC Foundationの経営陣とアドバイザーの写真が掲載されており、経歴もかなり詳しく書かれているため興味のある方は一度見てみるとよいだろう。

ただ、どれだけシニア・メンバーを揃えても、AML Tokenが成功するとは限らない。マネーロンダリング対策を行っている仮想通貨であることは素晴らしいが、それだけでAML Tokenが流動性を確保できるわけではないからである。

コインマン

日本初の仮想通貨評論家「コインマン」として活動する元外資系金融マン。債券ブローカーとしてニューヨークで勤務し、東京では当局対応として金融庁と対峙したリアル半沢直樹。
毎朝4時に起床し、仮想通貨ニュースを執筆する日々を過ごしている。フランスに留学していた親仏家であり、ヨガインストラクターを目指していたヨガマニアでもある。

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